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1億人が待ち望んだ新・抗認知症薬『アデュカヌマブ』は世界を救えるか?! https://ninchiyobou.net/archives/4415 https://ninchiyobou.net/archives/4415#comments Tue, 22 Jun 2021 13:26:06 +0000 https://ninchiyobou.net/?p=4415 Copyright © 2024 一般社団法人認知症協会 All Rights Reserved.

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アルツハイマー病研究の大きな一歩が踏み出された!

アメリカ現地時間で2021年6月7日、認知症の薬としては18年ぶりの新薬である「アデュカヌマブ」がFDA(アメリカ食品医薬品局)で承認されました。

この薬は今までの抗認知症薬と違い、

アルツハイマー型認知症の根本的な治療薬の誕生か?!

ということで世界中が注目した出来事となりました。

2050年には世界の認知症人口は1億3000万人を超えると予想されています。

アデュカヌマブは世界を救う薬となるのか?今後の動向に注目です。

今回はこの新薬についての解説と、現時点(2012年6月8日)でわかっていること、今後の展望、認知症協会としての見解をご紹介します。

動画でも解説していますのでそちらも参考にしてください。

アデュカヌマブってどんな薬?

アデュカヌマブは、日本のエーザイ株式会社と、アメリカのバイオジェンが共同で開発した薬です。

商品名はADUHELM®︎(アデュヘルム)です。

認知症にはアルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性、前頭側頭葉型と大きく4つありますが、アデュカヌマブはその認知症の中でも約7割を占めるアルツハイマー病の薬として承認されました。

その他の型の認知症には効果がないの?というと

残念ながら効果はない

と考えていいでしょう。

それは、アデュカヌマブがアルツハイマー型認知症の原因と考えられているアミロイドβを標的として作られているからです。

アデュカヌマブはどうやって効果を発揮する?

どうやって効果が出るかについてですが、今までの抗認知症薬とは全く違う仕組みになります。

今までの抗認知症薬は、いわゆる対症療法の薬です。

意欲が低下してきた場合に、脳の情報伝達物質である”アセチルコリン”を増やして意欲を出させるような薬や、周辺症状(BPSD)を落ち着かせるような薬でした。

どちらも出てきた症状に対してそれを抑えるように働く薬でした。

ですが、アデュカヌマブはそれとは全く異なり、アミロイドβを直接減らせる薬となっています。

それはなぜかというと、アデュカヌマブはヒトモノクローナル抗体製剤という薬だからです。

ヒトモノクローナル抗体を簡単に説明しますと、ヒト由来で作られた、1つの種類の抗体の集合体という意味です。

抗体というのはもちろんアミロイドβに対する抗体ですが、アミロイドβに対してだけくっつく抗体を薬として体に入れて、その抗体を目印として食べてくれる免疫細胞を誘います。

だから、抗体で目印のついているアミロイドβがどんどん優先的になくなっていくという仕組みです。

抗体を使った治療法は抗がん剤の分野ではすでにたくさん使われています。

標的となる異物をとらえて分解するという方法ですので、アミロイドβそのものがアルツハイマー病の原因だとするならば、根本治療法になるということなのです。

アデュカヌマブはどうやって開発された?

アデュカヌマブが発見されたのは2006年で、もともとはアルツハイマー病になりにくい人の血液中から見つけられた抗体です。

アデュカヌマブは自然にできていた抗体というわけです。

それをバイオジェンが薬として開発していくことになります。

2012年から臨床試験が行われて、第2相試験では、認知機能低下抑制効果というものが初めて認められて話題となりました。

2015年には臨床試験の最終段階である第3相試験では日本のエーザイも参加して、1350人規模の治験を2回行っています。

ですが、2017年には有効性判断のために規模を増やしています。

結局合計1700人以上のの患者に対して試験をして、そこで中間段階評価が行われました。

その結果が実はよくなかった、つまり臨床的に効果がなかったと判断されたわけです。

細かくいえば2つの大規模臨床試験で一方は効果あり、一方は逆に効果なしとなったわけです。

それでアデュカヌマブは一度、開発中止ということになりました。

ですが、その中間段階評価から中止になるまでにまだ臨床試験を終えた300名以上のデータを合わせて解析し直したら、一転してこれは効果がある、と発表したという経緯があります。

そして今回FDAで承認されたということで、まさに逆転ホームラン、もしくは微妙なデータだが強引に承認にこぎつけた、というさまざまな意見があり、世界中の期待が高まっているわけです。

アデュカヌマブはいつ使えるようになるのか?

現在(2021年6月8日)の時点ではアメリカでのみ承認されている状況です。

アメリカでは早ければ今年中に発売されると思われます。

そのほか、EUや日本でも承認申請は済んでいます。

日本は厚生労働省が承認するかどうかを決める機関にあたりますので、その判断を待ってからの発売となります。

早ければ今年度中、来年には承認がおりる可能性がありますが、日本の場合は時間が長くかかる傾向にあります。

発売はその先となるでしょう。

アデュカヌマブはだれが使えるのか?

アデュカヌマブは誰が使えるのか?いわゆる適応範囲についてですが、これは臨床試験で行われたデータがそのまま使われることとなるでしょう。

実際行われた臨床試験は、50歳から85歳までの軽度認知障害(MCI)と初期のアルツハイマー型認知症の方です。

よって、適応もその範囲になると考えられます。

つまり、重度の認知症の方や、アルツハイマー型以外の認知症の方には使えないということになります。

新薬を使えるのも早期発見を心がけたひとのみ、ということになりそうです。

アデュカヌマブはどうやって使うのか?

ではアデュカヌマブは実際にどのように使う薬か?ということですが、これは静脈への点滴です。

月に1回点滴をして、試験では1年6ヶ月投薬されています。

外から入れる抗体ですので、体が自然にどんどん作ってくれるわけではありません。

ですので定着はせずに、点滴をしなければまたどんどん抗体は減っていきます。

ですのでいつまで点滴をし続けるのかですが、おそらく半永久的に続ける薬となります。

長く薬を入れることで効果が落ちていく可動化についてですが、長期継続投与試験では48ヶ月効果が継続するとしています。

その後はどうなるかわかりません。

バイオジェンも年単位でのコストを発表していますので、少なからず年単位で点滴をし続けることは間違いないようです。

アデュカヌマブの副作用とは?

臨床試験の段階で起きた副作用として、アミロイド関連画像異常(ARIA)というものがありました。

この副作用は簡単に言うと脳内の一時的な浮腫とこれに伴う出血です。

これがアデュカヌマブを点滴した人の約40%み見られたということです。多くは無症状で時間とともになくなりますが、その中のさらに24%が重篤になる可能性もあるということです。

これはきちっとモニタリングすることで危険を回避できるということで大きくは取り上げられていません。

実際に脳の浮腫に伴って、頭痛、錯乱、めまい、視力低下、吐き気などが現れる人がいたとのことです。

あとは蕁麻疹とか腫れなどのアレルギー症状も副作用として報告されています。

アデュカヌマブの実際の効果はどうなのか?

実際に臨床試験では、脳内のアミロイドβがどれくらい減ったかを調べています。

用量依存的・投与期間依存的に、つまりたくさん投与して長く続ければそれだけアミロイドβを減らせるということですが

各試験をまとめて59~71%減少させたと発表されています。

ではそのアミロイドβの減少が実際どういう効果として目に見えて現れたかというと、

まず前提として、臨床試験の対象はMMSEという認知機能テストの点数が24点から30点までの方です。

そしてアミロイドPET検査でアミロイドβが溜まっていると確認できている方です。

(MMSEは30点満点で、23点以下は疑い、27点以下は軽度認知障害疑いですので、認知症の方は対象外となっています。)

そして対象の方にアデュカヌマブを投与して78週でCDR-SB(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)スケール

が22%抑制されたということです。

CDR-SBスケールというのは、本人以外の周りの方や、診察での問診で客観的に評価されるものです。

結論としては、アミロイドβが脳内に溜まっている人で、少し物忘れの始まった軽度認知障害の方、初期の認知症の方に1年半アデュカヌヌマブを投与すると、脳内のアミロイドβが半分以上なくなり、記憶、見当識、言語などの認知機能悪化が抑えられたということです。

また、金銭管理、家事、単独での外出などの日常生活動作の悪化が抑えられたということです。

気になるアデュカヌマブのお値段は?

アデュカヌマブを試したい場合いくらになるのでしょうか?

日本での薬の値段つまり薬価はまだわかっていませんが、アメリカでは年間コストが56000ドルとなっています。

日本円で約610万円です。

おそらく日本もこれに近いかもしくはこれ以上となる可能性があるので、月に50万円以上かかりそうです。

保険適応となりますのでその分負担は軽くなりますが、それでも月に1回10万以上はかかると予想されています。

さらにアデュカヌマブを投与するにはアミロイドβが溜まっていることが条件ですので、そのためにアミロイドPETという画像検査を受ける必要があります。

日本ではこの検査は保険適応外となっていて、実施する場所によりますがだいたい20万から30万円くらいになります。

この検査も投与条件になっているのでこれも含めて保険適応になるかは今後の発表に期待です。

ちなみにアミロイドPETは非常に大掛かりですが、血液中のアミロイドβを調べることで脳内の蓄積量を予測する方法も開発されています。

そうした革新的な技術で投薬前検査は費用を抑えられるかもしれません。

アデュカヌマブの問題点は?

非常に期待されているアデュカヌマブですが、実は問題点がたくさんあります。

まずは今回のFDAの承認が、条件つきの承認であるということです。

通常の承認と違って迅速承認という審査の時間が短い方法をとっていますので、承認後も臨床試験の結果を継続して報告しなければなりません。

それで臨床的に効果がないとなれば、承認は取り消しとなります。

次に適応範囲が限られているということです。

軽度認知障害(MCI)と早期アルツハイマー病の方が対象なので、できるだけ早期発見が必要になります。

そして重度の方は残念ながら対象とならず、効果もないということです。

アミロイドβを取り除いてもすでに失われた細胞は取り返せない、ということです。

そして費用の問題です。

抗体製剤というのは非常に高価です。

薬の値段はかけた研究費に比例しますが、今回も開発に莫大なお金がかかっていますので薬価は高くなるでしょう。

しかもそれを継続的にずっと打ち続けないといけないとなると、負担は増すばかりです。

アデュカヌマブがもたらす大きな影響とは?

迅速承認という形ですが、FDAはアデュカヌマブを「期待値が高い」ということで承認しました。

要は、効果がきちんとあるという判断は現時点ではできないが、

アルツハイマー病の薬に対する政界の期待値が大きく、それに応える必要もあるということです。

すっきりとしない承認ですが、いったんはアルツハイマー病に効果があると認めたわけです。

これがどういう意味を持つか、です。

今回、アミロイドβを標的とした薬がアルツハイマー病に効果あり、とされたことで長年研究者の中でも議論の中心であった、

『アミロイド仮説』が正しいということが証明されることになります。

つまり、アルツハイマー病の原因はアミロイドβである、と言えてしまうわけです。

そうなると、今後はこんアミロイドβを標的とした薬が一気に開発されると予想されますが、

実はアミロイドβを除去するような、今回のような抗体製剤はかなり前から開発されています。

そして実際にアミロイドβを減少させることもできています。

しかしながら臨床的に効果はなく、すべてが開発中止に追い込まれています。

今までと今回の薬の違いで臨床的な効果の違いを説明することは難しいでしょう。

今回の承認で、今までダメだった薬がもう一度試される可能性もありますので抗認知症薬の未来はどうなるか楽しみです。

アデュカヌマブは根治療法とは言えない?

抗認知症薬であるアデュカヌマブについて説明してきましたが、ここからは私の意見になります。

確かにアデュカヌマブは今までにないような仕組みの薬です。

アミロイドβも確実に減らしてくれるでしょう。

ただし、それが根治療法と言うのは無理があります。

根治療法とは、アミロイドβがたまりすぎる原因を突き止めて、それを改善することだからです。

アミロイドβは加齢によって誰しもがアルツハイマー病が発症するレベルまでたまるというわけでなく、アミロイドβが作られる量とたまる量は個人差が大きいものです。

個人によって原因が違いますが、その原因に立ち向かうことこそが本当の意味でアルツハイマー病を克服することです。

そしてアミロイドβがたまる原因はいろいろとわかってきています。

その原因の多くは生活習慣からきています。

新しい薬はこれからもどんどん出てくるでしょう。

医学の進歩はめざましく、そして頼もしいものですが、忘れてはいけないのは薬を使うことに頼ってはいけないということです。

あくまでも薬は補助的なもので、薬を使わない体のまま長く健康に保つことこそが健全な脳の土台となります。

一緒により若々しい脳を保つ秘訣を学んでいきましょう。

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兵庫県但馬ブロック栄養士・調理業務職員研修にてオンライン講演を実施 https://ninchiyobou.net/archives/4398 https://ninchiyobou.net/archives/4398#comments Mon, 08 Mar 2021 02:48:07 +0000 https://ninchiyobou.net/?p=4398 Copyright © 2024 一般社団法人認知症協会 All Rights Reserved.

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2021年3月5日(金)に、特別養護老人ホーム出石荘様からのご依頼で認知症予防講演を実施しました。

この講演はZOOMによるオンライン講演会として開催されました。

認知症協会代表理事である山根一彦が、「世界最前線の研究からわかった 認知症にならない最強の食事」という題目で150分にわたり講演をさせていただきました。

但馬ブロック老人福祉事業協会の21施設、約30名の方々にオンラインにて参加いただき、皆様から好評をいただきました。

今回の講演では、前半で認知症についての基礎知識から認知症を起こす疾患の中で一番多いアルツハイマー病の真実についてお話しし、後半で「これが認知症にならない最強の食事!」と題して食べてはいけない食材からオススメの食材まで幅広くお話ししました。

当協会の目標は、まず正しい知識を持ってもらいそれを実践していただき、自分の体と向き合いながら家族全員の生活に応用していただくこと、そしてそれを社会全体に広げていくことです。

認知症はその一歩手前である軽度認知障害(MCI)の段階でしっかりと生活習慣の改善に取り組めば、最大4割が回復するといわれています。

ということは、認知症予防になる生活習慣を家族全員であたりまえのように実践することで、将来的な認知症のリスクはぐっと下がるはずです。

もちろん何か1つだけすれば認知症を防げるというわけではありません。

できるだけ幅広く認知症予防になる行動を取り入れていく必要がありますので、そのための知識と実践のサポートに対する取り組みを強化していきます。

オンライン講演という形で機会を与えてくださった但馬ブロックの関係者の皆様に感謝申し上げます。

今後はリモート講演が多くなると予想されます。

施設様も初めてのリモート勉強会ということで手探りで進められていましたが、トラブルなく無事に終えることができました。

利便性も高いので是非ご活用くださいませ。


認知症協会では認知症予防に関する講演を、講師派遣による現地講演、オンライン講演ともに行っております。

認知症予防研究の専門家や講演歴豊富な認知症予防活動支援士などが、「物忘れと認知症との違いは?」「認知症予防のメカニズム」「認知症になっても、人生の質をさらに上げるには?」や、ご依頼にテーマに沿った内容を最新の研究事例を踏まえながら、わかりやすくお伝えします。

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兵庫県淡路ブロック老人福祉事業協会様の給食関係研修会にてオンライン講演を実施 https://ninchiyobou.net/archives/4344 https://ninchiyobou.net/archives/4344#respond Wed, 14 Oct 2020 05:02:08 +0000 https://ninchiyobou.net/?p=4344 Copyright © 2024 一般社団法人認知症協会 All Rights Reserved.

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2020年10月9日(金)に、社会福祉法人壷阪寺聚徳会、養護盲老人ホーム五色園様からのご依頼で認知症予防講演を実施しました。

この講演はZOOMによるオンライン講演会として開催されました。

認知症協会代表理事である山根一彦が、「世界最前線の研究からわかった 認知症にならない最強の食事」という題目で90分にわたり講演をさせていただきました。

淡路ブロック老人福祉事業協会の21施設、約60名の方々にオンラインにて参加いただき、皆様から好評をいただきました。

今回の講演では、前半で認知症についての基礎知識から認知症を起こす疾患の中で一番多いアルツハイマー病の真実についてお話しし、後半で「これが認知症にならない最強の食事!」と題して毎日の生活で気をつけるべき食習慣についてお話ししました。

 

当協会の目標は、まず正しい知識を持ってもらいそれを実践していただき、自分の体と向き合いながら家族全員の生活に応用していただくこと、そしてそれを社会全体に広げていくことです。

認知症はその一歩手前である軽度認知障害(MCI)の段階でしっかりと生活習慣の改善に取り組めば、最大4割が回復するといわれています。

であるならば、認知症予防になる生活習慣を家族全員であたりまえのように実践することで、将来的な認知症のリスクはぐっと下がるはずです。

もちろん何か1つだけすれば認知症を防げるというわけではありません。

できるだけ幅広く認知症予防になる行動を取り入れていく必要がありますので、そのための知識と実践のサポートに対する取り組みを強化していきます。

 

オンライン講演という形で機会を与えてくださった淡路ブロック老人福祉事業協会の関係者の皆様に感謝申し上げます。


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認知症になりたくなかったら、今すぐ小麦をやめなさい?!〜グルテンがあなたの脳を破壊する仕組み〜 https://ninchiyobou.net/archives/3664 https://ninchiyobou.net/archives/3664#comments Fri, 04 Sep 2020 09:38:28 +0000 https://ninchiyobou.net/?p=3664 Copyright © 2024 一般社団法人認知症協会 All Rights Reserved.

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認知症のタイプの中でも一番割合が多いアルツハイマー病ですが、

最新の研究でアルツハイマー病は予防が有効な病気だということが次々にわかってきています。

たとえば神経変性疾患の権威であるデール・ブレデセン博士は、

アルツハイマー病の特徴であるアミロイドβという脳のゴミが作られるのは、

脳が脅威にさらされた時である、としています。

では脅威とは何か?

ということですが、大きく3つに分けられます。

1、炎症

2、酸化

3、栄養不足

です。

特に炎症は外敵に対する体の防御反応ですが、外敵が常に押し寄せている状態だと、脳もダメージを受けます。

この外敵とは、傷による細菌感染だけでなく、ストレスや睡眠不足なども含まれますが、

その中でも最も身近でかつ、脳にダメージを与えるような炎症を引き起こすものは、私たちが日々口にしている食べ物です。

 

そんな食べ物の中でも、今回は認知症になりたくなかったらいいますぐやめるべき食材である小麦について、

解説していきます。

ぜひこの記事をお読みいただき、パンや麺類を食べるたびに思い出してもらえれば幸いです。

体を壊す、小麦の怖さとは?!

小麦が含まれる食品としては、いつでもどこでも手に入るパンが代表的ですが、

そのほかにも日本人の大好きな麺類やお菓子や、

加工肉、アイスクリーム、調味料、増粘剤、乳化剤などの添加物としても配合されています。

小麦の中に成分で問題となるのは、グルテンというタンパク質です。

グルテンは主に、弾力のあるグルテニンと、伸びをよくするグリアジンが結びついたものです。

小麦に水を加えて練ったときにできるグルテンは、麺やパンのふわふわ感、もちもち感となり、食感がブームとなる日本人には欠かせない食材と言えるでしょう。

しかし、このグルテンが実は私たちの体を破壊している可能性が高いことがわかってきました。

グルテンはあの粘りのおかげで単純に消化しにくい、ということだけでなく、

認知症につながる大きな問題を抱えています。

その問題点は、大きく以下の4つがあげられます。

1、腸漏れを起こす

2、血糖値を上げる

3、中毒性がある

4、農薬や添加物の問題

 

では、順に説明していきましょう。

グルテンは腸に穴を開け”漏れ”を引き起こす

私たちが日々使っているスーパーでも、グルテンフリーの食品を置く店が増えてきました。

グルテンが体に悪いというのは、なんとなく聞いたことがある方も多いかと思います。

グルテンが体に対して一番大きな悪影響を及ぼすのは、

グルテンが腸に穴を開け、腸から異物の侵入を許してしまうからです。

この腸に穴が空いてしまい、本来入るはずのないものが体に入る状態を「リーキーガット(腸漏れ)」といいいます。

このリーキーガットの状態は、程度の差こそあれ、日本人の約7割以上が陥っているとされています。

リーキーガットを引き起こすのは、グルテンの分解物の特にグリアジンで、

グリアジンが腸の壁を作っている細胞にくっつくと、細胞にゾヌリンというタンパクを作らせるような刺激を与えます。

作られたゾヌリンは、それ自体がまた細胞に刺激を与え、

通常はぴったりとくっついていた腸の細胞同士を離して、”あな”を作ります。

Zonulin and its regulation of intestinal barrier function:The biological door to inflammation, autoimmunity, and cancer.
Phisiol Rev. 91: 151-175 (2011)

この穴から漏れ出るのは、未消化の食べ物や、腸内細菌、病原体や毒素など、本来は体内に入ることのなかったものです。

このような異物が体内に入ると、体は侵入者とみなして攻撃します。

これが免疫反応であり、炎症の引き金となります。

血流にのった異物は、全身で炎症を引き起こし、炎症で作られた炎症性サイトカインは、脳のバリアもゆるくします。

そして脳にまで異物が流入し、炎症を起こし、アミロイドβが過剰に作られる原因となります。

リーキーガットを引き起こす原因は小麦だけではありません。

乳製品や、トランス脂肪酸、糖質、加工食品、殺虫剤、アルコール、抗生物質、ステロイド、抗炎症剤、ストレスなどたくさんあります。

ただその中でも、腸に穴をあけ、さらに分解されにくいためにそれ自体が未消化物という異物になり、炎症を引き起こす小麦は、まず避けるべき食材といえます。

甘いパンでなくても要注意!パンは血糖値を急激に上昇させる

例えば食パンは、白米よりも「GI値」が高い食べ物です。

GI(グリセミック・インデックス)値は、食品中の炭水化物50gを摂取したときの血糖値上昇の度合いを、ブドウ糖を基準とした相対値で表したものです。

食パンも白米もほぼ炭水化物ですので、同じ量を食べれば食パンの方が血糖値を上げるということになります。

ただの食パンでも血糖値をあげやすいので、砂糖がたっぷり入った菓子パンなどはさらに血糖値をあげやすく、なおさら危険です。

血糖値が急激に上がると、上がりすぎた血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが膵臓のβ細胞から大量に放出されます。

インスリンに反応した細胞は血液中の糖分であるブドウ糖を取り込んで血糖値を下げようとしますが、

あまりにインスリンが多く流れると、細胞はインスリンに対して反応しなくなります。

これをインスリン抵抗性といいます。

インスリン抵抗性は、細胞にブドウ糖を取り込む反応を鈍らせるだけでなく、インスリンがもつ脳の神経細胞であるニューロンを保護するような作用も鈍らせます。

Protection of synapses against Alzheimer’s-linked toxins:insulin signaling prevents the pathogenic binding of Abeta oligomers : Proc Natl Acad Sci USA. 106(6): 1971-6  (2009)

この作用に対してもインスリンが常に多くあると、反応が鈍くなり、神経細胞を守れなくなります。

さらに、血糖値が下がり、仕事を終えたインスリンを分解するために出るIDE(インスリン分解酵素)は、アミロイドβも分解することが知られています。

Characterization of insulin degrading enzyme and other amyloid-β degrading proteases in human serum: a role in Alzheimer’s disease? : J Alzheimers Dis. 29(2): 329-40 (2012)

インスリンが多くあると、IDEはこちらに手を取られてしまって、アミロイドβが分解されにくくなる、ということが起きます。

これがインスリン抵抗性によってアミロイドβが蓄積する理由の1つです。

血糖値が急激に上がることの害はまだまだあります。

血糖値が上がった状態が続くと、糖は体中のいろいろな物質とくっつき、最終糖化産物(AGE)を作ります。

AGEは体がサビる原因となり、いたるところで酸化と炎症を起こす原因となります。

パンは血糖値を急激に上げ、炎症をひきおこし、アミロイドβがたまる環境を作ると説明しました。

これはパンだけではなく、餅やうどんでも同じことが言えます。もちろんパンを米粉のパンにしても危険性は変わりません。

 

「パンが好き」は依存症を起こしている?!

パン屋さんの前を通ると小麦とバターの混ざった幸せな匂いがします。

この匂いでついついお店の中に入る方も多いのではないでしょうか?

パンやラーメンを食べる人の中には、食べると幸福感が増し、さらに食べたいという食欲も増す人がいます。

これがグルテンのもたらす依存性の中毒効果です。

グルテンが分解されるときに作られるグリアドルフィンという物質があります。

この物質は、小さなタンパク質の破片なのですが、簡単に脳のバリアを突破して侵入します。

そして、脳内でオピオイド受容体に結合しモルヒネのような中毒症状を示します。

パンや麺が繰り返し食べたいと思う欲求は、実はこの中毒作用からきている可能性が高いのです。

さらには精神的な不安定さや神経障害が引き起こされるともいわれています。

The opioid effects of gluten exorphins: asymptomatic celiac disease: J Health Popul Nutr : Nov 24;33:24 (2015)

ちなみに、グリアドルフィンは脳だけでなく全身でも作用します。

その結果、便秘や排尿トラブル、眠気や吐き気などの消化器症状もあらわれることがあります。

輸入小麦に含まれる禁断の農薬とは?

日本の小麦の自給自足率は約10%ですので、残りは輸入に頼っていることになります。

輸入先は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、フランスなどですが、

アメリカ産とカナダ産のほぼ全てからグリホサートという農薬が検出されています。

グリホサートは、除草剤として使用されている農薬ですが、その毒性についても話題となっています。

例えば、グリホサートは正常な腸内細菌を殺して、病原体を増やし、炎症を起こすことでリーキーガットを引き起こしたり、

脳に酸化ダメージを与えることが知られています。

日本でグリホサートは、農薬残基準値以下なので安全である、と説明されていますが、

少しでも不必要なものは体の中に入れないという選択が正しいと思います。

これは、国産小麦であっても注意が必要です。

なぜなら、「国産小麦」と表示できるのは、50%が国産であれば良いからです。

50%をこえていたら、そのほかは国産でなくても良いことになります。

殺虫剤も問題です。

世界で一番使われている殺虫剤のネオニコチノイド系農薬は、神経障害を引き起こし、記憶などの脳機能低下を引き起こします。

さらに輸入小麦には、ポストハーベスト農薬として防カビ剤などの農薬が使われています。

この洗っても焼いても落とせない農薬まみれの小麦を食べることは、とても脳に良いとは言えません。

その不調は全て小麦のせいかも?!

小麦の問題点を大きく4つ紹介しましたが、これだけでも小麦が全身に悪影響を及ぼすということがよくわかります。

ですので、認知機能の低下だけでなく、自己免疫疾患から日頃のだるさなどの不調まで、なんらかの形で小麦が関与している可能性が否定できません。

もし何か体調に悩みがありそれが継続しているなら、小麦をやめてみることをおすすめします。

例えば、

・便秘しやすい

・お腹周りが太りやすい、膨満感がある

・食後だるくなる

・食後に眠気が襲う

・原因不明のかゆみがある

・疲労感、倦怠感

・慢性鼻炎・喘息

・アレルギー

説明した通り、小麦には中毒性があり、さらに中毒性のある砂糖入りのパンをやめるのはなかなか大変だと思います。

全く食べてはいけない、とまでは言いませんので、せめて

・食べる頻度を減らす

・パン屋さんで良質のパンを買って食べる

この2点を意識してみてください。

良質のパンというのは、国産小麦や有機酵母など、こだわりのあるパンという意味です。

小麦を食べながらリーキーガットを防ぐにはどうしたらいいですか?

とか、ついついコンビニでパンを買ってしまいますがどうしたらいいですか?

という質問は多いですが、まずは自分をコントロールすることは認知症予防には大切ですので、

知っておいてください。


今回は小麦のグルテンを取り上げましたが、小麦と同じようにリーキーガットを引き起こし認知症予防には避けたほうがよい食品があります。

それが牛乳です。

牛乳についてはまた別の記事でまとめます。

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1日3食で認知症になる?!今日からするべき食生活の基礎はケトフレックス12/3にあり! https://ninchiyobou.net/archives/3042 https://ninchiyobou.net/archives/3042#comments Thu, 27 Aug 2020 01:59:34 +0000 https://ninchiyobou.net/?p=3042 Copyright © 2024 一般社団法人認知症協会 All Rights Reserved.

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「断食で治らない病気は、他のどのような治療でも治らない」   ドイツのことわざ

「腹八分に医者いらず」    貝原益軒

世の中の様子がいろいろと変わっていく中、日本の皆様も毎日家で過ごされている方が多くなっていると思います。

そうなると中には、

好きな時に寝て、好きな時に起きる

そんな生活をしている方もいるかもしれません。

・ストレスがない

・睡眠をしっかりとれる

という点では非常に良いのですが、ここに

”食事の間隔の管理”ということを頭に入れていただきたいと思います。

「食事の時間が不規則」

「何時にご飯を食べたらいいのかわからない」

という方や、

「1日3食きちんと食べているから大丈夫」

と考えている方も、読んでいただきたい内容です。

ただし、後述しますが、糖尿病などの基礎疾患、栄養障害や食事制限がある方は実践するには注意が必要なので、主治医の先生に相談してください。

アルツハイマー病にならないための食生活「ケトフレックス12/3」

認知症の代表といえばアルツハイマー病ですが、40代からの生活習慣がアルツハイマー病の発症に大きく関わるといわれています。

アメリカのデール・ブレデセン博士が考え出した「リコード法」は、早期のアルツハイマー病患者の9割が回復する、という驚きの成果をあげています。

リコード法は患者ごとに、その人に合った治療計画に沿ってプログラムを進めますが、

プログラムの内容は生活習慣の改善がメインです。

患者ごとに違うプログラムではあるものの、リコード法の考え方による生活習慣のあり方は、

実は誰もが健康的な脳と体を維持するために今日から自分の生活に取り入れるべき習慣だといえるのです。

今回は、アルツハイマー病にならないための食生活で重要な、ケトフレックス12/3について紹介します。

ちなみにケトフレックス12/3は、肥満気味の方は、継続することで効率の良いダイエット法となりますので,

体型が気になる方にもオススメです。

ケトフレックス12/3とは?

ケトフレックス12/3とは、

✅ケト

✅フレックス

✅12/3(トゥエルブスリー)

という3つの食事法を1つにまとめたものです。

この3つを頭に入れて、できるだけ毎日続けてみましょう。

では、順に説明しましょう。

「ケト」とは?

ケトフレックス12/3の「ケト」とは、「ケトーシス」のことです。

ケトーシスというのは、ケトン体が増加している状態のことです。

では、ケトン体は何か?というと、

「アセト酢酸」「β-ヒドロキシ酪酸」「アセトン」

の3つの物質のことをいいます。

これらのケトン体は、肝臓で脂肪が分解されたときに作られます。

つまりケトーシスというのは、肝臓で脂肪が分解され、血中にケトン体が増えている状態だということです。


※厳密には、ケトーシスというのは高ケトン血症という症状を伴う疾患名としても使われます。

これは、ケトーシスが糖尿病や過激なダイエットとしての結果で起こることが多く、ケトーシスがどんどん進むと、吐き気や嘔吐、腹痛などがおこる場合があり、

さらに進行すると、ケトン体が増えることによって血液が酸性になる「ケトアシドーシス」という危険な状態になることがあるからです。

認知症予防で考えるケトーシスは、症状が出るほどではないが、血中にケトン体が少し増えている状態ということで理解してくださいませ。


このケトン体が血中に増える状態が、アルツハイマー病にならないために大事であるということですが、なぜケトン体が脳に良いのでしょうか?

それは、ケトン体が脳のエネルギー源になることと、脳の神経細胞を成長させるといった脳を守っていくような作用がある、ということがわかってきたからです。

脳のエネルギー源といえば「ブドウ糖」である、というのは、常識となっていますが、脳はブドウ糖だけをエネルギー源にしているのではなく、ブドウ糖が少ないときは、ケトン体もエネルギー源として使うことがわかっています。(Anssi H Manninen. Metabolic effects of the very-low-carbohydrate deiets: Misunderstood “Villains” of human metabolism. J Int Soc Sports Nurt 1(2):7-11(2004))

そして、ケトン体の特にβヒドロキシ酪酸は、脳の神経細胞であるニューロンや、ニューロンから伸びた情報を伝える手であるシナプスが成長するのに必要なBDNF(脳由来神経栄養因子)を増やします。(Erling Hu., et al.Beta-hydrokybutyrate Promotes the Expression of BDNF in Hippocampal Neutons under Adequate Glucose Supply. Neuroscience 21;386:315-325(2018)

他にも、実験レベルでは、アルツハイマー病で溜まるアミロイドβが溜まるのを抑えたり、長寿遺伝子を増やしたり、炎症性物質の産生量を減らしたりと、

脳だけでなく体全体にも良いという結果がたくさん出ています。

脳は体の中で一番エネルギーを消費する臓器です。

糖質はすぐに脳のエネルギーとなるグルコースになるので、すぐに脳の活動を高めることはできますが、

グルコースが常に多くあるとケトン体は使われないため、脳の機能を守ったり、成長させたりする効果は期待できないことになります。

つまり、軽いケトーシスな状態が、認知機能には最適だということです。

では、ケトーシスを促進するためにはどうすれば良いのでしょうか?

ケトーシスを促進するためには、

✅糖質を抑える

✅適度に運動する

✅12時間以上の絶食

✅オリーブオイル、えごま油、亜麻仁油、アボカドなどの不飽和脂肪酸を取り入れる

というのが日常生活で実践できる方法です。

このすべての方法が、血中のグルコースを減らして、肝臓からのケトン体の生成を増やします。

・糖質を抑える、というのは、

白米、パン、麺、じゃがいも、ソフトドリンク、アルコール、お菓子、加工食品といった砂糖やでんぷん質の多いものをできるかぎり減らすことです。

・適度な運動については、リコード法では早歩きやもっと激しい運動を1週間に150分以上、となっていますが、

激しめの運動を少し長めにやるべき、と考えれらます。

なぜなら、運動するときはまず肝臓や筋肉のグリコーゲンという糖質から使われます。

そのグリコーゲンを使い切ったあと、脂肪が燃やされてケトン体が出るからです。

肝臓のグリコーゲンが使い果たされるのはジョギングだと20分以上はかかりますので、そこからやっとケトン体が作られることになります。

筋肉のグリコーゲンは、蓄えられている筋肉の場所のみで使われるため、筋トレなどの激し目の運動で筋肉をしっかり使うと、

グリコーゲンがなくなって脂肪を燃やすようになります。

・オリーブオイル、えごま油、亜麻仁油、アボカドなどの不飽和脂肪酸を取り入れることですが、

大事なのは、エネルギーが作られる材料が糖質から脂肪に変わるとき、良質な脂肪酸を体に入れておく必要がある、ということです。

痩せている方は特に、糖質がなくなって脂肪もなければエネルギーが作れずに細胞は機能できません。

良質な脂肪酸を蓄えて、それを使える体になることが重要というわけです。

良質な脂肪酸とは、オリーブオイル、アボカド、えごま油のオメガ9脂肪酸であるオレイン酸、亜麻仁油などに豊富なオメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸があります。

ナッツ類にもα-リノレン酸は含まれますが、オメガ6脂肪酸のほうが豊富ですので食べ過ぎは禁物です。

ここでは、食卓に取り入れやすいオリーブオイルとアボカドを覚えておきましょう。


リコード法では、体をケトン体をエネルギー源として十分に使える脂肪燃焼優位モード(ケトン体質ともいう)に変えるまでの間におこる、

糖質がすごく食べたくなる症状に対して、ココナツオイルなどのMCT(中鎖脂肪酸)オイルの摂取をすすめています。

それは、MCTオイルが分解されやすく、エネルギーになりやすい脂肪酸であり、ケトン体質を促進できるからですが、

中鎖脂肪酸は遺伝子的にアルツハイマー病になりやすい人や、動脈硬化をおこしやすい人には害になる可能性があるため、毎日摂取することはおすすめしません。


・12時間以上の絶食に関しては、後述の「12/3」で説明します。

「フレックス」とは?

ケトフレックス12/3の「フレックス」とは、緩やかな菜食主義(flexitarian diet)のことです。

菜食主義といえば、「ベジタリアン」とか「ヴィーガン」という言葉が頭に浮かぶ人も多いかとおもいます。

「ヴィーガン」はかなり厳密な菜食主義ですが、「ベジタリアン」は幅が広いので、フレックスはベジタリアンに近いと思っていただいていいでしょう。

では、何が”緩い”のか?というと、フレックスは、野菜などの植物だけでなく、魚や鶏、肉も食べても良いところが緩いところです。

野菜に関しては、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、ルッコラなどのアブラナ科の野菜、ケール、ほうれん草、レタスなどの葉物野菜とキノコ類を中心として、じゃがいもやカボチャなどのデンプン質の多いものは避けます。

もちろん有機栽培のものが望ましいので、スーパーで買い物をするときは多少高くても有機栽培のものを購入するべきです。

調理方法は、サラダとして生で食べたり、茹でたり蒸したりして調理したものを混ぜるのがいいとされています。

サラダはドレッシングを使わず、少量の塩とオイルで味付けしたものが最適です。

魚、卵、肉類もタンパク源として取り入れるべきですが、質と量に注意が必要です。

質に関しては、魚はマグロやカジキなどの大型魚や、キンメダイやムツなどの深海魚はメチル水銀を多く持っている可能性が高いので避けて、イワシ、アジ、サンマ、サバなどの小型の魚を食べるようにします。

卵はストレスなく育てられた平飼い鶏の卵、肉類も、平飼い鶏の肉や、抗生剤入りのエサではなく、自然の草を食べ、成長ホルモン剤を使われていない牛や豚の肉を選びましょう。

最近ではこれらの卵や肉もスーパーで見かけるようになりましたので、手に入りやすくなっています。


逆にいうと、安価な卵はストレスのある鶏舎でぎゅうぎゅうにつめられた鶏から採卵されています。

牛や豚のエサに関しては、成長を促進させるという経験則で抗菌剤などの飼料添加物が入っており、その肉を食べることで私たちの体にも抗菌薬が入ることになります。

日本でも2016年から、内閣府食品安全委員会が、抗菌薬を含む飼料添加物を加えたエサを家畜に与えると、「家畜の体内で耐性菌ができ人の治療に影響する可能性がある」と評価しています。実際に2018年には、農林水産省が飼料添加物としての抗菌薬2薬の使用を禁止しています。


量の問題ですが、体重1kgあたり1gのタンパク質を一日に食べるようにするべきです。

これ以上タンパク質を多く取り入れても、今度は炭水化物に変換される量が多くなりますので逆効果です。

例えば50kgの人ならば50gのタンパク質が必要ですが、魚、鶏、牛、豚肉ともだいたい100gあたりタンパク質は20gなので、

魚や肉でタンパク質を食べるなら250gほどになります。

卵は1個で約6gのタンパク質ですので、卵と他のタンパク源を組み合わせる必要があります。

もちろん野菜にもタンパク質は含まれています。

豆類なら100gあたり30gほど、野菜なら100gあたりだいたい2〜5gは含まれていますので、

一度おおまかな数値で自分に合う量のタンパク質を計算すると、なんとなく感覚はつかめてくるでしょう。

12/3とは?

ケトフレックス12/3の「12/3」は、空腹時間を表しています。

数字の”12”は、その日の最後の食事と、次の日の最初の食事の間の時間の数字です。

そして”3”は、夕食と就寝の間の時間の数字です。

つまり、夕食から3時間はあけてから寝て、次の日の朝食まで12時間はあけてください、という意味です。

睡眠時間は8時間は確保したいところですので、夜11時に寝るとすると、夜8時には夕食を食べ終えて、

次の日の朝食は朝8時以降、ということになります。

夕食後から就寝までの3時間は、お菓子はもちろん、カフェイン入りのコーヒーも緑茶も控えて、飲むなら水のみになります。

これは、インスリン値を上げないように就寝することが脳の機能を健全に保つことに必須だからです。

インスリン値を上げないメリットはいくつかありますが、メラトニンと成長ホルモンとの関係について紹介します。

・メラトニン

夜になり日が落ちて、目からの光刺激がなくなると、メラトニンと呼ばれるホルモンが脳内から放出されます。

このメラトニンは、季節のリズムや概日リズム(サーカディアンリズム)の調節作用をもっていて、催眠作用もあります。

メラトニンの作用が十分なときの睡眠は、しっかりと深い眠りができますので、脳を休ませ、脳細胞を修復することができます。

・成長ホルモン

睡眠中は、体を修復して疲れをとる成長ホルモンが分泌されます。

成長ホルモンというと、大人になったらいらないホルモンだと思われがちですが、そうではなく、体のあらゆる代謝を助けていて、

脳だけでなく体全体を良好に保つには欠かせません。

成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されて、脂肪からのエネルギー代謝を促進します。

寝る前にインスリンの値を上げてしまうことは、インスリン抵抗性の原因となるだけでなく、メラトニンや成長ホルモンの作用と拮抗することで、

その分泌が抑えられてしまい、体の修復ができない可能性があります。

12時間以上の断食の効果もたくさんメリットがありますが、

認知機能に関しての大きなメリットは、細胞の自食作用(オートファジー)をうながすことです。

自食作用が起きることで、ダメージを受けた細胞を自ら壊して、またリサイクルします。

この自食作用で、蓄積したアミロイドβも不必要なタンパク質のかけらも掃除されます。

また、絶食によって記憶を調節するグレリンの分泌を増やしたり、肝臓のグリコーゲンを使うので、ケトーシスを促進できます。

ケトフレックス12/3を実践するにあたっての注意点

ケトフレックス12/3は、いきなり厳しい絶食をしてしまうと挫折してしまう場合もあります。

睡眠時間をしっかりと確保して、少しずつ時間を調節しながら理想の状態に近づけましょう。

その他にも、注意が必要な場合があります。

✅糖尿病などの持病がある場合や、栄養摂取不良、食事制限がある方

糖尿病などで薬を飲まれている方は、薬の服用のタイミングで低血糖を起こしやすくなる可能性があります。

まずは、絶食期間を設けず、運動や糖質を抑えることから始めていただいて、薬をなくすことを目標にしてください。

持病により栄養摂取障害や、食事制限がある方は、治療を優先してください。

治療の際にも口に入れるものは厳選していただき、食事の内容を整えることを優先してください。

✅痩せている人

痩せている方は、もともとケトン体の材料となる脂肪が少ないので、ケトフレックス12/3をすることで絶対的にエネルギーが不足する可能性があります。

そうなると、細胞のエネルギーがなくなり、細胞が働けなくなります。

良質な脂肪を取り入れることと、適度に糖質を食べることも重要になります。

✅アルツハイマー病になりやすい遺伝子を持っている人は12時間の絶食では足りない可能性がある。

リコード法によると、アルツハイマー病になりやすい遺伝子であるApoE4を持っている方は、絶食時間は16時間が良いとされています。

✅絶食後はレモン水

空腹時間から体に食べ物を入れる時は、血糖値を急激に上げないように注意が必要です。

リコード法では、絶食後は解毒水としてレモン水を飲むことをすすめています。

✅食べるものを厳選しないと体調が悪化することもある

空腹時間が長いと、体を食べ物からエネルギーを余すところなく吸収しようとします。

そこで口に入れるものにトランス脂肪酸、食品添加物、人口甘味料、農薬、水銀などの体に不必要なものが含まれていると、それらもしっかりと取り込まれます。

食べるものにもこだわってこそのケトフレックス12/3です。

ケトフレックス12/3を実践するには1日3食は食べ過ぎ?

いかがでしたでしょうか?

今回は、アルツハイマー病予防のための食生活の基本、食事のタイミングについて、リコード法のケトフレックス12/3を紹介しました。

考えてみると、1日12〜16時間も絶食するとなると、最短8時間のうちに1日の食事を全て終える必要があります。

これは要は最近話題のダイエット法である「間欠的ファスティング」と同じことです。

8時間で3食となるとしっかり1食ずつ3回食べるのは空腹にならないことと時間の配分的に難しくなります。

これもカロリー制限や、消化による疲労を避けるのに良い作用になります。

だいたい、12〜16時間空腹の時間を作って、8〜12時間で2食を食べるのが良いバランスだと考えます。

昔から断食は健康に良いことは知られておりましたが、脳にも良いという研究結果はたくさん報告されております。

軽い断食で体の修復機能をひきだすことで、認知機能を維持していきましょう。

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認知症と頻尿の関係は?!夜間頻尿をチェックしよう! https://ninchiyobou.net/archives/2997 https://ninchiyobou.net/archives/2997#comments Tue, 24 Mar 2020 04:12:29 +0000 https://ninchiyobou.net/?p=2997 Copyright © 2024 一般社団法人認知症協会 All Rights Reserved.

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認知症の予防として大事なことに、質のよい睡眠があげられますが、

寝ている間にトイレに行きたくなって眠りが妨げられるという経験はないでしょうか?

どこかへ出かけてもトイレが気になって思い切り楽しめない、ということはありませんか?

頻尿は、時に生活の質を下げてストレスの原因となります。

今回は、夜にトイレに起きる夜間頻尿について紹介します。

頻尿についてまず知るべき知識、夜間頻尿とは?

最近なんだがトイレが近いような気がしませんか?

もちろん加齢によるものもあります。

ただ、そのせいで例えば夜眠れなかったりすれば、質の良い睡眠が取れているとは言えませんよね。

質の良い睡眠が取れていないと認知症に少しづつ近づいて行くことになり兼ねません。

まずは知りましょう。そしてチェックと予防も覚えていきましょう。

夜間の頻尿が気になる!

夜間頻尿とは、就寝中に排尿のために1回以上起きなければいけないという状態であり、生活の質を落とすものです。

おそらく1回は起きるという方も多いかと思いますが、それで特に日常生活に支障がない場合は経過観察ですが、

夜間に2回以上トイレに行く場合は、生活に支障が出ますので、治療の対象になることが多いようです。

年齢が高くなればなるほど夜中にトイレに起きる回数も増加する傾向があります。

夜中にトイレに行くのは転倒リスクも高まるという危険も伴います。

では、夜間頻尿の原因について考えてみましょう。

膀胱が小さくなる

尿は膀胱で溜められますが、膀胱は筋肉でできています。

加齢に伴って筋組織が弾力を失ってくると、膀胱は広がらなくなってきます。

そのために膀胱内で溜められる尿の量が減って、頻尿の症状が出ます。

夜間の尿量が増える

通常寝ている間は尿の回数が少ないです。それは、脳からの指令で尿を作る量を減らしているからです。

具体的には、脳の下垂体から分泌される抗利尿ホルモンであるバソプレシンの働きで、尿を作る量が減ります。

このバソプレシンは、加齢によって夜間の分泌量が減ってしまいます。

そうすると寝ている間につくられる尿の量が増えて、夜間に排尿する必要が出てきます。

このバソプレシンの働きの加齢による変化は、高齢者で脱水になる要因にもなりますので侮れません。

また、心臓や腎臓の機能低下によって下半身に水が溜まってむくむことも夜間頻尿の原因となります。

寝ているときは体が横になりますので、下半身に溜まっていた水分が心臓や腎臓に戻ってくることで排泄しないといけない尿量が増えます。

もちろん、寝る前に大量の水を飲んでいたり、糖尿病がある場合や塩分の取りすぎで喉が渇いて水分を摂りすぎると尿量は増えてしまいます。

睡眠がしっかりとれていない

以前の記事、

あなたは大丈夫?認知症のリスクを高める睡眠時無呼吸症候群を解説!

でも紹介しましたが、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害も夜間頻尿の原因となります。

眠りが浅くなることで夜間に起きる回数が増え、膀胱にさほど尿は溜まっていなくとも尿意で起きたと感じることがあります。

また、眠りが浅いと抗利尿ホルモンも分泌されにくくなるので尿の量が増えることに繋がります。

夜間頻尿にどう立ち向かうか?

夜間頻尿の治療のためには原因を知らなければなりません。

気になる場合は排尿記録をつけることをおすすめします。

排尿記録とは?

排尿記録とは、丸一日排尿のたびに、目盛付き容器で尿量を測り、排尿した時刻とともに記録することです。

チェックすべきは、

①1日の尿量の合計

1日の尿量の合計を出して、それに対して就寝してからの間と起床したときに出した尿量(夜間尿量)が何%占めているかを計算します。

33%以上なら夜間多尿が原因であるといえます。

②1回の尿量

これは、夜間に限らず頻尿気味で、起床時から就寝時までに8回以上の排泄、1回の尿量が200mL以下となることが度々ある場合には、

膀胱が小さくなっていることが原因であるといえます。

③排尿の多い時間帯

夜間にだけ排尿の回数が多い場合は、睡眠障害が疑われます。

医療機関でできる検査は?

医療機関ではより精密に検査することが可能です。

①尿検査

腎臓に疾患がある場合や、尿路感染症、膀胱炎、糖尿病などの夜間頻尿の原因となる病気がわかります。

②腹部超音波検査

超音波検査では、膀胱や前立腺、腎臓の形がわかります。

変形性の病気から頻尿になることもあります。

排尿後に膀胱内に残った尿の量も測定します。

夜間頻尿を改善するには?

夜間頻尿の改善には、原因によって治療法を変えていく必要があります。

まず基本は生活習慣で正せるところを正す、というのが肝心です。

日本泌尿器科学会では、生活習慣の改善で夜間の排尿回数が半減したという研究結果が発表されています。

水分の摂取過多、摂取不足に注意

高齢者の水分の摂り方は非常に難しいというのが正直なところです。

認知症の患者様でもしばしば水分補給の難しさが問題となりますが、水分は寝る前に一気に飲むのではなく、日中満遍なく少しづつ飲むことが大切です。

適切な水分量は、体重(kg)x25mL を目安にしてください。覚えにくい場合は、1日1〜1.5Lの水は飲むようにします。

1日の尿量の合計が1L未満だった場合は、さらに水分摂取量を増やす必要があります。

これはアルコールや緑茶、コーヒーでなく、水のみでこの水分量とします。

アルコールや緑茶、紅茶、コーヒーなどは脱水を起こすことがあるので避けましょう。

夜間頻尿で水分摂取過多に注意はしたいですが、認知症の方は多くの方が水分摂取不足になっていることもありますので、周囲の方の適切な水分コントロールが大切になってきます。

適度な運動を心がける

夕方以降の散歩などの運動は、下半身に溜まった水分を心臓に戻すことができるというメリットがあります。

余った水分を汗として排出できますので、汗をかくくらいの早歩きは効果があります。

夕方になると足がむくむ人は、寝る前までに足をマッサージするなど、ある程度むくみを改善してから就寝することも有効です。

膀胱が小さくなっていたら?

膀胱が小さくなるというのは、筋肉のしなやかさの問題ですので、下半身を中心に筋トレをするというのも効果があります。

しかしながら、効果が出るのに時間がかかり、継続が困難ということで、薬物治療が検討されることが多いです。

抗コリン薬やβ3作動薬という種類の膀胱の収縮を抑えることを目的とした薬剤が検討されますが、副作用も多く、

認知症予防の観点からは薬物治療はおすすめしません。

なんとか生活習慣とトレーニングで改善したいところです。

睡眠障害が起きていたら?

睡眠時無呼吸症候群については、

あなたは大丈夫?認知症のリスクを高める睡眠時無呼吸症候群を解説!

にも治療法を紹介していますが、重症の場合は専門の医療機関に相談することも重要です。

しかしながら、睡眠障害も生活習慣病やストレス等が問題の場合が多いので、まずはこれらを取り除くことが先です。

夜間頻尿と認知症の関係は?

夜間頻尿は高齢になればなるほど症状が出てきます。これは認知症と無関係に増えます。

後述しますが、認知症による機能性尿失禁と合わさると、排泄がいよいよ難しくなってしまいます。

早めに状態把握がポイントです。

認知症が進行して現れる症状としても、尿失禁があります。

これは特に機能性尿失禁といいますが、これは排尿機能に問題はなく、身体機能の低下による歩行障害や、トイレで排泄する意識の消失、やり方がわからなくなる、といったことで起こります。

こうなった場合は、時間を決めてトイレに行くようにするなどの行動療法がある程度有効です。

やむを得ない場合はオムツになりますが、できるだけ前向きに対処します。

稀に認知症発症の初期から尿失禁が見られる場合はありますが、その場合は膀胱の活動を抑制している脳の前頭前野が萎縮している可能性があります。

その他、今回は紹介していませんが、過活動膀胱も認知症で多い傾向があります。

本格的に認知症が発症してからでは、夜間頻尿に対処するのは困難になりますので、今のうちから体の状態を知っておくのは非常に大切です。


今回は、悩みの多い夜間頻尿について紹介しました。

夜間頻尿は質の良い睡眠を妨げる可能性が高く、認知症予防としてもしっかりと知っておくべき知識です。

また、夜間頻尿には隠れた基礎疾患もあることが多く、認知症予防のための生活習慣の改善と重複できることがほとんどです。

気になる場合は早めに自分でチェックして見ましょう。

大好評いただいております、無料の書籍はこちらからダウンロードしてください。

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パーキンソン病は認知症のリスク?見逃せない初期症状と認知症との関係とは? https://ninchiyobou.net/archives/2799 https://ninchiyobou.net/archives/2799#comments Tue, 10 Mar 2020 10:54:43 +0000 https://ninchiyobou.net/?p=2799 Copyright © 2024 一般社団法人認知症協会 All Rights Reserved.

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今回はパーキンソン病について紹介していきます。

というのも、最近多くの方とSNSを通じて対話をさせていただいておりますが、パーキンソン病で悩んでいらっしゃる方が非常に多いということがわかりました。

そしてパーキンソン病の皆様はやはりこの先の認知症のリスクについて関心があるということもわかりました。

パーキンソン病を知ろう!>

パーキンソン病と認知症は大きな関わりがあります。

知ることで回避できること、安心できることもありますので、参考にしてみてください。

パーキンソン病とは?

パーキンソン病は、脳の神経細胞に異常が起こり、手の震えや歩行困難などの運動症状が現れる病気です。

パーキンソン病をお持ちの方は、稀に40歳代で若年性パーキンソン病を発症する方がいらっしゃいますが、ほとんどが高齢者です。

日本では約20万人ほどパーキンソン病の患者さんがいらっしゃるということです。

パーキンソンはドパミンと呼ばれる神経伝達物質が減少することが主な原因です。

ドパミンは脳からの信号そのものとなる物質です。

私たちが体を動かすときは、脳の大脳皮質から全身の筋肉への運動の指令が伝えられます。

ドパミンはその調節を担っているので、ドパミンが減少すると運動の指令をうまく調節できないため、運動症状が現れます。

ドパミンを作っているのは、脳の黒質線条体という部位です。

パーキンソン病では、その黒質の神経細胞が減少してしまうので、作られるドパミンの量が減ってしまうのです。

パーキンソン病でも元気な生活は続けられる

パーキンソン病では黒質の神経細胞が減少するということでしたが、なぜ減少してしまうかどうかはまだはっきりとわかっていません。

そして神経細胞がなくなってしまっては、神経細胞をもとに戻す治療薬はありません。

これは認知症とよく似ています。

ですので現在のところ、パーキンソン病は発症すると病気そのものを治すことはできない疾患です。

しかしながら、神経細胞の減少がどんどんと進んで行く前に病気を早く発見して早期治療を開始すれば、病気をコントロールして長く元気な生活を送ることができます。

早期発見のために特徴的な症状を知ろう!

パーキンソン病をQOL(生活の質)を下げずにコントロールするには、早期発見が必要と言いました。

では、早期発見のためにパーキンソン病の特徴的な症状を進行度別に知りましょう。

進行度1、体の片側に症状が現れる

パーキンソン病の最も初期から見られる症状は、手足が震えることです。

最初は片側から現れます。何もしないでじっとしている時に震えやすいのが特徴で、

多くの場合は、震えを意識したり体を動かしたりすると軽くなったり症状が消えたりします。

ただ、この症状は必ず出るものでもないので、

震えが出ないからパーキンソン病ではない、とは言えません。

進行度2、体の両側に症状が現れる

先ほどの手足の震えも、最初は片側だったものが、症状が進行するにつれて徐々に両側に見られるようになっていきます。

そうすると、日常生活での動作もどんどん遅くなっていきます。動きも小さくなります。

歩くのが遅くなったり、足を引きずったり、服を着るのに時間がかかる、ということで周囲の人たちに気づかれる場合があります。

無表情になる、声が小さくなるといった症状が出ることもあります。

筋肉の緊張が高まるために、筋肉が硬くなってしまいます。

首や肩をうまく回せない、とか、手や足をスムーズに動かせないと感じるようになります。

進行度3、バランスが保てなくなる

体のバランスが保てないために、姿勢を立て直すことが難しいとか、方向転換が難しいというのは、パーキンソン病がかなり進行した状態と考えられます。

初期からバランスを崩すことは稀なので、初期からバランスを崩す場合は他の病気を疑います。

進行度4、介護が必要になる

いよいよバランスが保てないとなると、介助が必要となります。

手足も思った通りに動かせなので一人で何かをすることが難しくなります。

進行度5、車椅子が必要になる

さらに進行すると歩行できなくなり、車椅子での移動になります。

転んでしまうと一人では起きられないので、付き添いの方が必要になります。

そのほかの症状は?

パーキンソン病は運動症状の他にも様々な症状が現れます。

便秘、頻尿、立ちくらみなどの自律神経障害や、睡眠中に夢に合わせて体が動いてしまう「レム睡眠行動障害」などの睡眠障害、嗅覚の低下などの感覚障害、嚥下障害などが起こりこともあります。

不安感や”うつ”などの精神症状や、認知機能障害が現れたり、幻覚などが現れるレビー小体型認知症を合併することがあります。

早期に現れる症状を見逃さないことがQOLを落とさない鍵

パーキンソン病に早く気付くためには、最初に現れることが多い手足の震えなどの症状を見逃さないことが大切です。

周りの方から、歩き方が変わったとか、動作が遅くなった、表情が暗くなった、などと言われた時は要注意です。

最近わかってきたことは、前駆症状、いわゆる前触れが現れることがあるということです。

運動症状に先行して、嗅覚低下、レム睡眠行動障害、便秘、うつなどがあれば、少し疑って見るものいいかもしれません。

ただ、今まで説明してきた症状は、高齢になると、年のせいや、骨や関節の病気、さらには認知症ではないか?と思ってしまって

受診が遅れる場合があります。

認知症とパーキンソン病は重複する部分もありますが、パーキンソン病の方がより特徴的な症状ですので、

思い当たることがあれば脳神経内科を受診しましょう。

画像検索で早期の診断が可能です。

パーキンソン病の治療法は?

パーキンソン病はその原因がドパミンの減少と分かっているので、そのドパミンを薬で補うということが治療の基本となります。

それを効率よく行うための薬や、症状に応じて改善のための薬が加わることもあります。

このドパミン補充療法で震えなどの運動症状をかなり抑えることができます。

進行しても薬を適切に組み合わせて使うことで、より長く自立した生活を送り、QOLを維持することを目指します。

早くから薬を使うと耐性がついて薬が効かなくなる、と言われていたこともありますが、現在ではその心配はないと考えられています。

使用される薬はどんなもの?

パーキンソン病と診断されたら迷わず薬を使い始めることになりますが、

現在はどういったお薬が使われるのでしょうか?

基本はドパミンの不足を補う薬で、レボドパなどのドパミンそのものに変わる成分の薬と、ドパミンアゴニストと呼ばれるドパミンに似た物質でをの働きを補うものになります。

実際は年齢や症状で使い分けがありますが詳細は割愛させていただきます。

その他、MAO-B阻害薬と呼ばれるドパミンを長く脳内にとどめておくような薬もあります。

効き目は弱いですが、副作用が起こりにくいのが特徴です。

その他、現れている症状によって症状を抑える薬が使われますが、多剤併用は副作用を生みますのでできるだけ薬をコントロールすることが目指されています。

薬で症状をコントロールできなくなったら?

症状が進行していって、薬物治療では症状をコントロールできなくなった場合は、機器を使ったデバイス支援治療が検討されます。

脳の奥の運動を調節する部位まで細い電極を入れ、胸部の皮下に埋め込んだ装置から弱い電気刺激を送って、

神経細胞の働きを調整することができます。

他には、胃ろうを介して腸から持続的にレボドパを送り込む方法もあります。

これらの治療は、適応条件もありますので、気になる方は専門の先生にお尋ねください。

治療と並行してリハビリやドパミンを出すことが大事

リハビリはパーキンソン病の悪化を防ぐ効果があることが確かめられています。

パーキンソン病と診断された場合は薬物治療と合わせてすぐにリハビリを始めます。

リハビリはウォーキングや筋トレなど運動機能を維持するためにできるだけ毎日行うことです。

日常生活では、周囲の人は、本人ができることは時間がかかっても本人にしてもらって、できないことを手助けするようにしましょう。

そのほか、ドパミン不足で起こるパーキンソン病ですが、ドパミンを出すような行動をすることも有効です。

ドパミンは実は生きるための意欲のホルモンです。意欲的な生活を送ることでドパミンの生成量を増やすことができます。

また、幸福感でもドパミンは放出されますので、やる気と感動するような体験があると、幸福を感じ、ドパミンが多く産生されます。

新しいことに興味を持ち、実際に出歩くことが大切だということです。

認知症とパーキンソン病

では、パーキンソン病と認知症はどのような関係があるでしょうか?

結論から書きますと、

パーキンソン病の患者さんの約3割が認知症を合併されており、さらにパーキンソン病を発症すると認知症のリスクは6倍にもなると言われており、認知症とパーキンソン病は関係があると言えます。

その関係性について詳しく見てみましょう。

パーキンソン病から始まる認知症と認知症から始まるパーキンソン病

パーキンソン病は認知症のリスクと書きましたが、その症状の進行には、

パーキンソン病から始まる認知症と、認知症から始まるパーキンソン病があります。

つまり、運動障害からだんだんと認知機能障害が表れるパターンと、認知機能の低下から運動機能が衰えてくるパターンがあるということです。

運動障害から認知機能障害が表れるパターンは、認知症を伴うパーキンソン病と呼ばれ、高齢者になるほど発症率が高くなり、妄想や幻聴も出てきます。

一方、認知機能の低下から運動障害が表れてくるパターンは、いわゆるレビー小体型認知症と呼ばれ区別されています。

レビー小体型認知症は、認知症の中ではアルツハイマー型認知症についで患者数の多い認知症です。

日によって波のある、軽いもの忘れから始まるのが特徴で、その後幻視、幻聴、睡眠時異常行動が表れます。

パーキンソン病から始まる認知症と、認知症から始まるパーキンソン病は、病理学的には同一の病気となっています。

それは、黒質の神経細胞が減少するにつれてレビー小体が増えるという相関関係があるので、

両方とも進行すれば黒質の神経細胞がどんどん減っていき、レビー小体はどんどん増えていく病態であるからです。

パーキンソン病と認知症、特にレビー小体型認知症は非常に大きく関わっているということです。

パーキンソン病とアルツハイマー型認知症

もちろんパーキンソン病になったからといって、レビー小体型認知症のみ気をつければいいというわけではありません。

最近では混合型認知症と言われる、2つ以上の認知症の型の合併することも少なくありません。

多いのが、やはりアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の合併です。

パーキンソン病、レビー小体型認知症、アルツハイマー型認知症は異常タンパクの増加という点で似ていて、実際にレビー小体の発生とアミロイドβの蓄積は並行して起こ得ることも確認されています。

パーキンソン病は体の自由が利かなくなるので、精神的に不安定になることも多く、ストレスも溜まりやすい病気です。

ストレスや睡眠障害は認知症予防のためには改善しなければいけない点です。

パーキンソン病をお持ちの方は、不必要な認知機能を防ぐためにも予防可能な認知症、アルツハイマー病や脳血管性認知症に関してはしっかりと対策をすることが必要と言えます。

将来のリスクのために、今からできることは是非すぐに行動に移してください。


パーキンソン病について紹介させていただきました。

黒質の神経細胞の減少を抑える方法はまだわかっていません。ですので減少するドパミンの量を増やすしかありません。

実は天然にもドパミンを含有しているものがあり、それはムクナ豆(八升豆)という豆です。

日本でも栽培されている豆で、サプリメントとしても売られています。

そういうものもうまく活用してQOLを維持していきましょう。

日頃の生活習慣については、認知症予防と通じるものがありますので、食生活と運動に気をつけましょう。

食生活に関しては書籍にまとめていますので参考にしていただければ幸いです。

発症してものは進行を抑える、予防できるものは今から実行する、その前向きな姿勢が何よりも大切です。

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減塩の強い味方!簡単、美味しい、便利な水だし汁! https://ninchiyobou.net/archives/2730 https://ninchiyobou.net/archives/2730#comments Mon, 10 Feb 2020 05:48:06 +0000 https://ninchiyobou.net/?p=2730 Copyright © 2024 一般社団法人認知症協会 All Rights Reserved.

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書籍「認知症にならない最強の食事」では、認知症予防にオススメの食材や食べないほうがいい食べ物の中で、

代表的なものを紹介しています。

その他にも認知症にならないためには、食べなくてはいけないが、量を控えたほうがいいものも多数あります。

それは、結果的に認知症につながるような病態を進行させてしまうようなものです。

今回のレシピは、脳血管性認知症の主な原因の1つ、高血圧。

そしてその高血圧を進めてしまう塩分過多に着目した作り置きレシピです。

冷蔵庫で一晩置くだけ!簡単!時短!おいしい水だし汁!

塩分を抑える基本はだしを効かせて旨味を感じることです。

しかし、市販の顆粒だしはやはり余分な添加物が入ってたりと使うのに抵抗がある方も多いはず。

無添加のものもありますが、

そもそも自分の好みのだしの味でしょうか??

だしの味と聞いてピンと来ない方、我が家のだしの味を作ってみたい方、

そんな方にもおすすめな簡単便利な作り置き水だし汁の紹介です。

水だし汁とは、昆布や鰹節や煮干し、干し椎茸などを水に入れて作るだし汁のことです。

火を使わないし、煮だし汁のように材料を取り出すタイミングを考えたりする必要がないので、誰でも簡単にだし汁を取ることができます。

【材料】

昆布 10g

鰹節 20g

ミネラルウォーター(軟水) 1ℓ

【作り方】

①鰹節をフライパンでさっと乾煎りするか、電子レンジで20~30秒温める。焦げないように注意してください。

②鰹節が冷めないうちに昆布と一緒に麦茶ポットなどに入れる。

③ミネラルウォーターを注いで一晩(6時間以上)置いたら出来上がり!

※鰹節の香りが立たせるために1度加熱するのがおすすめですが、めんどくさい場合は①を省いてもできます。

補足説明

水だし汁のおいしさ

水だし汁のおいしさの特徴は、雑味が少ないことです。

煮だし汁だと材料からアク汁が出てしまうことがありますが、水だし汁は火を通さずにゆっくり時間をかけて旨味が抽出されるので、すっきりとした上品な味わいになります。

また、水だし汁は冷ます必要がないので、冷たい麺料理やお浸しなどにもすぐに使えて便利です。

濃いコクのあるだし汁が欲しい場合も、水だし汁を材料も一緒に鍋に入れて加熱することで濃いだし汁をとることも出来ます。

この時、弱火で火にかけて沸騰直前で止めてください。

容器について

ふたでしっかり密閉ができて、だし汁の色がわかるように無色透明なものが良いでしょう。

また、容器の口の幅が広い方が材料の出し入れがしやすいです。

「お茶パック」や「不織布パック」を使えばもっと楽に!

パックに材料を詰めておくと、水の中に材料のクズなどが混じらずに後片付けが楽です。

水について

水だし汁に使う水は水道水でも構いませんが、ミネラルウォーターをおすすめします。

ミネラルウォーターには軟水と硬水の2種類ありますが、硬水は昆布や鰹節などと一緒に使うとアク汁が出やすくなるので向いていません。

ミネラル成分の少ない軟水を選びましょう。

日持ちについて

冷蔵庫で4~5日程度持ちます。夏場などは腐りやすくなるので、なるべく早く使い切りましょう。

材料が水面から出ていると、そこからカビが生えてしまうことがあるので常にひたひたに水が入っている状態にしておきましょう。

家族の人数が少なかったり使う頻度が低い場合は、半分量で作ってみましょう。

水だし汁を作った後の出がらし

出がらしの昆布や鰹節は捨ててしまうともったいないです。

だし汁を取った後でも十分おいしく食べられます。ふりかけや佃煮にするとおいしいです。

だしの材料はなんでもあり!

今回は昆布×鰹節で作りましたが、昆布、昆布×干し椎茸、昆布×煮干し、干し海老、干し帆立、昆布×干し海老、昆布×干し帆立など、色々作れるので、家庭のだしの味を作っていくのもおもしろいですよ。


今回は水だし汁の紹介でした。

塩分については、

認知症予防に減塩のススメ。まだまだ日本人は塩分過多だった!?

にも書いていますが、日本人にとって塩分摂取量を抑えることは大事なことと言えます。

急に塩分を抑えた食事にすると、味気なく感じて食事が楽しくなくなってしまいますので、

いろいろ工夫して楽しんでくださいね。

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認知症の原因、睡眠不足の原因になる病気はたくさんある!むずむず脚症候群って知ってますか? https://ninchiyobou.net/archives/2570 https://ninchiyobou.net/archives/2570#comments Fri, 07 Feb 2020 06:42:55 +0000 https://ninchiyobou.net/?p=2570 Copyright © 2024 一般社団法人認知症協会 All Rights Reserved.

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認知症協会では、認知症予防につながる知識を紹介していきますが、

今回はさまざまにお問い合わせを頂いている中で、皆様に共有した方がいいと思った知識を紹介します。

それは、不眠につながる疾患についてです。

睡眠が脳のゴミを取り除き、認知症予防に欠かせないことはご承知の通りですが、

その睡眠を邪魔するものは、ストレスもあれば生活習慣、食習慣、薬の副作用もあります。

さらには、不眠を引き起こす病気というものもありますのでそれに対しても知識を持って対処することが大切です。

不快からの不眠、むずむず脚症候群を知ろう!

寝ているときに、脚に不快感があって眠れないときはないでしょうか?

布団に入るとむずむずしたり、ほてったりしてなかなか眠れないのは、「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」かもしれません。

むずむず脚症候群とは?

むずむず脚症候群は疾患名をレストレスレッグス症候群(restless legs syndrome:RLS)、もしくは下肢静止不能症候群とも言います。

日本神経治療学会によると、日本でむずむず脚症候群の症状のある人の割合は4%程度とされています。

発症しやすい年齢は、60歳から70歳で、70歳以降は患者数は減っていきます。

性別では、男性より女性が多い傾向にあります。

むずむず脚症候群の特徴は、大きく分けて4つあります。

脚の不快感

よく言われるのは、脚の表面や内側を虫が歩くような感覚です。

それと脚のかゆみ、ほてり、痛みなどの症状の場合もあります。

特に脚の内部のかゆみは我慢がしにくく、脚を動かしたくなりじっとしていられなくなります。

夕方から夜にかけて脚の不快感が起こる

脚の不快感は夕方から夜にかけて起こります。

これが不眠の原因となってしまいます。

不眠が続くことで、ストレスがたまり、うつ状態になる人もいます。

もちろん不眠は認知症発症のリスクになります。

動かない時に症状が現れる

むずむず脚症候群の不快感は、姿勢を変えないで長時間いるときや、寝ているような安静時に現れたり、

余計に症状が感じられたりします。

脚を動かせば不快感が減ったり無くなったりする

不快感がある時に脚を動かしたり軽く叩いたりすれば、症状が減ったり無くなったりします。

脚の不快感よりも強い刺激を与えることで、むずむず症候群の症状を感じにくくしていることになります。

なぜむずむず脚症候群になるのか?

実はなぜむずむず脚症候群が発症するかは、まだはっきりとわかっていません。

現在有力な原因としては、

・ドパミンの機能障害

・鉄不足

の2つです。

これは後述のむずむず症候群が起こりやすい人からの考察と、運動に関すり情報伝達物質であるドパミンが大きく関与していると考えられるからです。

脳の神経伝達物質であるドパミンは、運動に関する情報伝達を行っており、機能が低下するために脚の不快感が起こると考えられています。

鉄分は、ドパミンを作るのに必要な栄養素のため、鉄不足がドパミンの量を減らしているのではないか、と考えられています。

また、ドパミンを作るのに必要な栄養素は、葉酸、ナイアシン、ビタミンB6もありますので、そちらも摂取する必要があると考えられます。

その他にも、透析患者さんでは高確率でむずむず脚症候群が現れるので、本来は出て行くはずの毒素が体内に蓄積されることで起こるものとも推測されています。

むずむず脚症候群になりやすい人はどんな人?

むずむず脚症候群の方の約半数は、遺伝的な体質が関係していると考えられています。

つまり、家族に発症した人がいると、むずむず脚症候群になりやすいということです。

特に45歳以下で発症した場合にはその傾向が強いということです。

その他にも、鉄欠乏性貧血、パーキンソン病、透析を受けているような慢性腎不全、糖尿病のある方、妊娠している方、

などで起こりやすい傾向があります。

ドパミンや鉄不足に関係する疾患に多いことがわかります。

腎不全をはじめとする臓器の疲労による代謝能の低下も関与していそうです。

むずむず脚症候群はどう診断されるのか?

むずむず脚症候群の診断は問診から始まり、血液検査と必要であれば睡眠ポリグラフ検査が行われます。

血液検査では、鉄が不足していないか確認します。

睡眠ポリグラフ検査では、不眠の原因を調べるため、むずむず脚症候群以外の不眠の原因も探るために行われます。

医療機関に入院となりますが、頭部や胸、脚などにセンサーを取り付け、睡眠中の脳は心拍数を測定します。

この検査では、「周期性四肢運動障害」があるかどうかもわかります。

周期性四肢運動障害とは、睡眠中、無意識のうちに一定の感覚で脚や手がピクッピクッと動く状態です。

この動きが1時間に15回以上繰り返す場合は、周期性四肢運動障害ということになります。

周期性四肢運動障害があると、脚や手が動くたびに目が覚めてしまうので、睡眠不足になる原因となりますが、

実はむずむず脚症候群のうちの4〜6割に周期性四肢運動障害があると考えられています。

むずむず脚症候群かな?と思っても近くの医院では検査ができない場合があります。

睡眠障害の専門医に診てもらう必要があります。

参考として睡眠障害の専門医がいる医療機関の一覧が日本睡眠学会のホームページに掲載されていますので、

リンクをつけさせていただきます。

↓↓↓

日本睡眠学会の睡眠医療指定医リストはこちらをクリック

むずむず脚症候群の治療は?

むずむず脚症候群も、症状をそのままにしておけばだんだん症状が強く現れる疾患です。

症状が軽いうちから改善するようにしたいところです。

症状が軽い場合

症状が軽い場合、まず考えるべきは日常生活の改善です。

例えば寝酒は症状が悪化させると考えられています。

また、コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインも摂りすぎると症状を悪化させたり睡眠不足を引き起こすので、

夕方以降はカフェインをとらないようにするべきでしょう。

入浴はシャワーも使って刺激を与えると症状が軽減する場合があるようです。

あとは透析が必要になるような生活習慣、糖尿病にならないような生活習慣をするには必須なことですね。

症状が強い場合

症状が強く出ている場合や、日常生活の改善で効果が見られてない場合は、薬物療法を考えます。

鉄不足が血液検査の結果、明らかになった場合は鉄剤を投与します。

鉄分を含む食材を積極的に摂るようにします。

ドパミンの伝達機能を改善する薬剤もありますが、認知症協会としては、栄養成分以外の薬剤は推奨しておりません。

あとは神経の障害に使われる薬剤や痛み止めもありますが、これもまた副作用の問題や、腎機能の低下につながるので

おすすめはしていません。

できるだけ生活習慣を改善する中で克服していきたいですね。


今回は大事な睡眠を妨げる可能性のあるむずむず脚症候群を取り上げました。

基本的な対策としては、健康的な生活習慣を心がけることと、鉄分を多く摂ることです。

まだはっきりとしたメカニズムがわかっていないため、一度発症するとすぐには治らない疾患ですが、

前向きに健康に生活することで和らいでいくことは十分可能性があります。

それはすなわち認知症予防の生活と同じですので、日々輝いていきましょう。

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