認知症は、介護する側の人生までも壊してしまう

認知症協会の山根です。

人生100年時代をむかえるにあたり、認知症はますます予防の重要性が高まってくる病気です。

しかし中には認知症について、このようにおっしゃる方もおられます。


「年をとったらボケるのは当たり前。今さらジタバタするつもりはない」

「もう年だから諦めています」

「認知症になったらその時はその時です」


・・いろいろな考えがあるのはわかります。

しかしこのような意見は、ある種の「ひらきなおり」のように感じてしまうのは、私だけでしょうか?

 

認知症が進行すれば、多くのことがどんどんわからなくなっていきます。

最終的には家族の顔も、自分が誰なのかもわからなくなってしまうのが、この病気の恐ろしいところです。

確かに、何もかもわからなくなってしまった後のことなど、当の本人は知ったことではないのかもしれません

しかし、そのような方々には、もう一度残された"介護する側"の人々の負担のことを考えてみてほしいのです。

 

認知症患者の介護は10年以上に及ぶことも

認知症になったからといって、じゃあ殺してしまえなんてことはできません。

ゆっくりと変わっていくその人を、人生の最期まで、誰かが支える必要があるのです。

多くの場合、それは周りにいる家族・親族です。

認知症を発症してから亡くなるまで、介護が必要になる期間は5年から、長い場合で十数年にも及びます。

しかもそれはただの介護ではありません。

徘徊、暴力、興奮、失禁、拒食、妄想、介護拒否など、認知症は様々な周辺症状をもたらします。

それらと戦いながら、変わり果てていく患者の、身の回り全ての世話をおこなう苦労・心労は、筆舌に尽くしがたいものがあります。

 

トータルでかかる介護費用は1000〜3000万円?

介護費用や医療費用も馬鹿になりません。

認知症の介護にかかるお金は、在宅介護で110万円、施設介護で220万〜300万円と言われます。


ポイント

《医療費用の想定額》

◆通院費 … 6,000円/月(アルツハイマー型認知症で服薬、関節痛で湿布、マッサージ、診察など)
◆入院費 … 平均220,000円/回
(生命保険文化センター調べ)
◆入院雑費 … 50,000円/回(差額ベッドレンタル費、オムツ代など)
※年間で、通院費72,000円、年1回の入院で270,000円、合計で約350,000円が目安。
《介護費用の想定額 (要介護3を想定)》

在宅介護の場合
◆介護サービス費 … 30,000円/月
◆その他 … 30,000円/月
(福祉用具代、オムツ代など)※年間で720,000円が目安。

施設介護の場合
◆公的介護施設 … 平均150,000円/月(介護サービス費、生活に必要な費用を含む)
◆民間介護施設 … 平均220,000円/月
(同上)※年間で1,800,000~2,640,000円が目安。

1年間の介護にかかるお金の目安は……
在宅介護の場合は、110万円程度
施設介護の場合は、220~300万円程度

※引用サイト:https://eclat.hpplus.jp/article/49007/01/

10年介護が続くとすれば、在宅介護で1100万円、施設介護で2200万〜3000万円です。

しっかりと資産を築かれている方なら良いでしょうが、そうでない場合、この負担はそのまま家族に及びます。

認知症の家族の介護が原因で、仕事を続けられなくなったり、困窮してしまったり、精神的に参ってしまったりして、共倒れになってしまう人の話もよく耳にします。

 

ぜひ、あなたの伴侶や兄妹、お子さんの顔を思い浮かべてみてください。

このような負担を、彼らに押し付けるのは、あまりに酷だと思いませんか?

認知症予防は自分のためだけにするものではありません。

大切な家族や、残される人々のためにも行うべきものなのです。

 

認知症介護をめぐっては、悲しい事件も。

あなたは、こちらの記事に出てくる「京都認知症母殺害心中未遂事件」をご存知ですか?
https://www.sougiya.biz/kiji_detail.php?cid=885

認知症介護の壮絶さを物語る事件として有名なので、ご存知かもしれません。

私は今でも、この記事をよむと目頭が熱くなってしまいます。

事件に関してはYouTubeに当時のニュース映像があがっていましたので、こちらに貼っておきます。

https://youtu.be/w8ryWCukRy4

 

 

一昔前であれば、認知症の原因は謎に包まれていたため、予防・対策のしようがありませんでした。

しかし現在では、認知症に関して多くのことが判明しており、発症リスクを下げられるような対策もあります。

書籍や動画の内容などを参考にしていただき、日頃から認知症予防を心がけていただければと思います。

 

書籍は以下より閲覧できます。

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