認知症予防のサプリは本当に効くのか?

認知症協会の山根です。

いくつかの食べ物の成分が認知症に効くことは、
すでに実証済みの事実です。

書籍の中でも、お勧めの食べ物をご紹介しています。

ただ、相談に来られる方の中には、
「魚が苦手で…」とか、
「どうしても長続きしなくて…」
とおっしゃる方がいます。

そこで私がサプリメントをお勧めすると、
「サプリメントはなんとなく飲みたくない」
「効いているかどうかわからないからいやだ」
とおっしゃったりします。

特に高齢の方ほど、サプリメントというものに
抵抗がある方が多い印象です。

 

もしあなたが少しでもそういう認識があるのでしたら、
ぜひ今日からそれを改めてください。

なぜなら、あなたが本気で認知症を予防し、聡明な記憶力を維持しようと思ったら、
サプリメントの利用は避けて通れないからです。

 

認知症予防にサプリメントの活用はほとんど必須になってきている

実際、先進的な認知症専門のクリニックでは、認知症の進行をおさえたり、MCI(軽度認知障害)の方を回復させたりするために、サプリメントを活用するのがほとんど必須になってきています。

先日ご紹介した画期的な認知症治療法である「リコード法」も、運動・睡眠・食生活の改善に、サプリメントを組み合わせたアプローチでしたね。

研究が進むにつれて、認知症予防におけるサプリメントの有用性が改めて見直されている形です。

 

そもそも、なぜ認知症予防にサプリメントを活用すべきなのでしょうか。

その理由を詳しく見ていきましょう。

 

○発症前の予防に使える薬はない

アルツハイマー病の進行は、
発症の20年以上前から始まっています。

例えば70代、80代で認知症を発症するとすれば、
40-50代くらいからその芽は育ち始めているのです。

この文章を読んでいる方の中にも、
まだ発症はしていないが、すでに脳の変化は始まっている……
という人はいるでしょう。

(なにせ65歳以上の3〜4人に1人は認知症または予備軍ですから)

この20年間をどう過ごすかによって、
認知症を発症するか、それとも発症から
逃げ切れるかどうかが決まります。 

しかし、発症後に進行を遅らせる薬はあっても、
発症前にそれを予防する薬というものはないのです。

それでも予防の可能性を少しでも高めようと思ったら、
現状サプリメントを使うしかありません。

一度進行を許してしまったら、どんな薬を使っても元どおりにはなりません。

 

○食事では十分な量の有効成分を取れない

そもそも日々の食事だけでは、
十分な効果を期待できるだけの有用成分を
とり続けるのはかなり難しい、というか、
実際はほとんど不可能なのです。

あなたもテレビでこんな番組を見たことがあると思います。

「○○予防には○○が効く!」

すると翌日、スーパーではその食材が飛ぶように売れます。

中には食べたくもないのに、
毎日頑張ってその食材を食べておられる方もいます。

 

テレビに取り上げられる以上、
実際にそれには効果があるのだと思います。

ただしそれは、
"人体に効果が見込めるだけの十分な量"
を摂取した場合に限られます。

夕飯のおかずにたまに一品付け加える程度では、
大抵の場合あまり意味がありません。

たとえば一時期、ガン予防にエノキが効くと
話題になったことがありました。

しかし本当にエノキで癌を予防しようと思ったら、
畳4畳半を埋め尽くす量のエノキを毎日食べなければなりません。

テレビではそんなことは教えてくれません。

 

たとえば脳機能を改善する素材として期待されているものの中に、
ホスファチジルセリンがあると書きました。

しかし残念ながら、ホスファチジルセリンはもともと
食材にわずかにしか含まれません。

しっかりとその効果の恩恵を受けるためには、
毎日納豆何十パック分もの大豆を食べなければなりません。

しかも一日や二日では意味がありません。

そのような生活を何ヶ月、
場合によっては何年も続ける必要があるのです。

あなたはそれでも、
食事だけでこれらの成分をとりたいですか?

 

なぜこんなにも大量の食材を
食べなければならないかというと、
そもそもほとんどの野菜は9割以上が水分だからです。

ホウレン草も、シイタケも、ナスも、トマトも、
90%以上が"水"です。

普段食べている野菜やキノコの中に、
本当に栄養となる成分はわずかにしか含まれていません。

このわずかにしか含まれない有効成分を、
どうにか効率よく摂取する方法はないか?

そこで考え出されたのが、
食材から有効成分だけを精製し、
一粒のカプセルや錠剤の形に凝縮した薬やサプリメントです。

あの小さなカプセル・錠剤の中には、
何キロもの野菜・肉・魚を食べるのと
同じだけの有効成分が詰まっているのです。

こうした現代医学の進歩を
おおいに利用させてもらうほうが、
毎日必死に何キロもの食材を食べようと格闘するより、
ずっと賢いと思いませんか?

(というか、何キロもの特定の食材を毎日食べたら、有効成分はとれても、カロリー・塩分・糖質・脂質などのとりすぎで結局早死にします・・・)

 

○機能性食品にもいいものがある

製薬業界も一生懸命研究しています。

認知症医療の市場はとても大きなものです。

WHOによると、
世界の認知症患者は推計5000万人おり、
毎年約1000万人が新たに発症しています。

ライバルより先に有効な治療薬や
サプリメントを開発できれば、
大きな売上になるため、各社しのぎを削っています。

販売されているサプリメントの中には、
きちんと臨床試験で安全性や有効性を確認してから
販売しているものもあります。

そういうものは利用しても問題ないでしょう。

 

「本当に効くなら、どうして薬にならないの?」

と疑問に思われるかもしれませんが、
日本で治療薬として認められるには、
途方もない高いハードルを乗り越えなければならないのです。

現状、世界中の研究によって、
「認知症に効くかもしれない成分」
「認知症に効く可能性が高い成分」
「人によっては効く成分」
みたいなものは多数見つかっています。

ヨーロッパでは実際に効果がある事が証明されれば
医薬品としての許可がおりますので、
たとえば書籍でご紹介したイチョウ葉エキスは、
ヨーロッパでは認知症の治療薬として利用されています。

 

しかし日本の厚生労働省は、
少しでもあいまいな部分があれば薬として認可しません。

イチョウ葉エキスに含まれる
ひとつひとつの成分の作用を解明し、
更に特定の症状に対するイチョウ葉エキスの
効果を一つ一つ治験で証明できて、
初めて薬として認めらます。

イチョウ葉エキスの成分は無数にあり、
その薬効を個々に証明するには、
膨大な月日が必要になってしまいます。

また、イチョウ葉エキスはおそらく
テルペンやフラボノイド以外の未明な成分も
絶妙に絡み合ってその効果を発揮するため、
ひとつひとつの成分を解明することは困難です。

そこで日本では薬ではなく
サプリメントとして販売されているのです。

 

しかも、新たな治療薬が開発され、
認可が下りて患者の元に届くまでには、
早くて10年、遅くて20年。

一方、アルツハイマー病発症後の平均余命は8年。

新薬の開発を待つ間も認知症は進行し、
回復のチャンスは刻一刻と遠のいていきます。

末期になってから、あるいは死んでしまってから
新薬が開発されても、私たちには何の慰めにもなりません。

そこで、いつ完成するかわからない新薬を待つよりは、
とりあえずの対策として、
100%ではないが効く可能性があり、
かつ安全性が確認されているサプリメントを使うというのが、
現状私たちが取れるもっともベストな対策でしょう。

 

上記の理由から、
認知症予防の可能性を少しでも高めるために、
サプリメントの利用はほぼ必須であると私は考えています。

 

ただ注意点として、以前もお伝えした通り、DHAなど特定の成分を1種類だけとっても効果は限られること。

また海外製のサプリメントは、体格の大きい外国人向けに作られていることや、品質が安定しないことなど、安全性の観点から、知識がない限りあまりオススメできないことをお伝えしておきます。

 

PS.

認知症関連のサプリメントは
非常にたくさんの種類がありますが、
まさに玉石混交という言葉がぴったり。

きちんと信頼できるものもあれば、
一見販売ページが綺麗でも、
薬学の知識がある私が見ると、
頭を抱えたくなるような酷いものもあります。

(有効成分がほとんど配合されていなかったり、
体に害になるものが含まれていたり)

どのサプリメントを選ぶのが良いかという話もそのうちしようと思います。

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