ストレスが認知症を悪化させる仕組み

認知症協会の山根です。

今日も若々しい脳を保つ秘訣を学んでいきましょう。

あなたは認知症について、
こんな話を聞いたことがありませんか?

・最愛の伴侶を亡くしてしまい、
残された方が急に元気をなくしてボケてしまった。

・事故や転倒などで怪我をし、
入院などで環境が大きく変わった途端、
急激に認知症が悪化した。

・経営していた会社が不況のあおりで倒産し、
それまで精力的に働いていた男性に認知症の症状があらわれてきた。

ストレスは脳にとって大敵!

こうした現象は単なる偶然ではありません。

実は、認知機能が低下してしまう、
もっとも大きな要因の一つは"ストレス"なのです。

上記のような例は極端なものですが、
私たちは毎日絶え間のないストレスにさられています。

仕事や老後への不安。睡眠不足。家族間やご近所との不和。疲労。体調不良。バランスの悪い食事。無数の食品添加物や化学物質。騒音。などなど・・・

私たちがストレスを感じた時、
私たちの腎臓の上にちょこんと乗っている
クルミほどの大きさの副腎の周りで、
"コルチゾール"と呼ばれるストレスホルモンが分泌されます。

このコルチゾールは、私たちの体を、
高ストレスな環境下でも生存できるよう、
血糖、血圧、免疫機能を調節し、
体内の脂質やたんぱく質をエネルギーに変える働きがあります。

しかし、このコルチゾール値が一定以上に高くなると、
私たちの脳、特に記憶をつかさどる海馬に対して、
破壊的なダメージを与えます。

具体的には、 「海馬の萎縮」「脳細胞の減少」「ニューロンの生成阻害」「シナプス保存要因の阻害」「脳の早期老化」 「無気力・無関心」、「アルツハイマー症の増加」などを引き起こします。

 

2014年に公開された
アメリカ分子精神医学ジャーナルによると、
「慢性的なストレスや高コルチゾールは、
通常よりも少ないニューロンをもたらす」
と記載されています。

カナダのマギル大学の研究では、
コルチゾール濃度が高い高齢者は、
正常な高齢者と比べて、海馬が14%委縮し、
記憶力も低下していることが確認されています。

ストレスとは様々な"二次災害"をもたらす

さらにストレスがもたらす問題は、
コルチゾールの過剰分泌だけではありません。

人はストレスがかかると、
つい食べ過ぎてしまったり、
質の良い眠りを得られなくなったりします。

例えば甘いものや炭水化物を食べ過ぎて
血糖値が急に上昇すると、
脳のゴミであるアミロイドβを除去する
インスリン分解酵素の働きが弱まります。

胃腸がダメージを受ければ、
そこから有害物質やウィルスが漏れ、
血流に乗って脳に達し、
アミロイドβが生み出される大きな原因になります。

睡眠不足は脳の機能を維持するのに欠かせない、
アストロサイトという細胞を必要以上に分解してしまい、
神経細胞が十分な機能を果たせなくなります。

これらは全てアルツハイマー病のリスク要因になります。

そのため、認知症を予防・改善しようと思ったら、
ストレスを軽減することはもっとも基本的、
かつ重要な対策となります。

 

例えば介護者が認知症患者を頭ごなしに叱りつけてはダメ、
というのは基本中の基本ですね。

患者は忘れたくて忘れたり、
失敗したくて失敗しているわけではありません。

全ては病気がさせていることです。

患者自身もあらゆることが思うようにいかなくなって、
自分が自分でなくなってまうような
不安や混乱のただ中にいるのに、
周りの人が頭ごなしに叱りつけてしまうと、
患者はますます不安・悲しみ・怒りといった感情が強くなります。

すると患者の中でコルチゾールが大量分泌され、
海馬がさらに萎縮し、ニューロンが破壊され、
認知症はただ加速するのみです。

患者の気持ちを害さないよう、
話をしっかり聞いてあげ、
時には話を合わせてあげたり、
失敗を笑って許してあげるような
寛大な態度で付き合うことが大切です。

(もちろんそれが難しいことも分かりますが…)

また、認知症の人にもプライドはありますので、
それを傷つけるような過度な子供扱いもよくありません。

 

ストレス原因から遠ざかることも大切です。

多いのが、高齢のご夫婦で、
どちらかが相手に強い不満を抱えているような状態。

たとえば横柄で高圧的な夫と、
それを我慢して腹の中で不満を溜めながら
しぶしぶ従っている妻。

よくある構図ですよね(逆のパターンもあるかと思いますが)。

この場合、妻の方が先に認知症になることが多いです。

当然です。ストレスが恒常化し、
四六時中海馬を殴られ続けているようなものですから。

心当たりがある場合、
ストレスがたまりそうになったらその場を立ち去る、
聞き流す癖をつける、
最悪の場合は別居や離婚も考えるなどの
対策が必要かもしれません。

我慢を続けて認知症になってしまっては元も子もありません。

それからご近所から嫌がらせを受け、
そのストレスが元で認知症の症状が現れ始めていたが、
思い切って引っ越した事でみるみる症状が改善した、
というようなケースもあります。

 

そして、ストレスの少ない生活を心がけること。

生活リズムを一定にし、睡眠をたっぷりとる。
栄養バランスの良い食事をとる。
趣味や運動など、気晴らしの手段を見つける。
好きな人たちと過ごし、よく笑う。
心地よい場所を探す。

認知症を予防するためには、とにかくストレスを避け、
リラックスする事が大切です。

 

また、ストレスによる脳へのダメージを
軽減するような成分をとることも有効です。

たとえばホスファチジルセリンという成分は
記憶力などの脳機能を改善するだけでなく、
ストレスホルモンであるコルチゾールの過剰分泌を抑えるため、
対ストレス素材としても知られています。

日常的に高ストレス環境下に置かれる
プロのスポーツ選手などでホスファチジルセリンを
摂取している方も多いですね。

日々の中でストレスが多いと感じる場合は、
ホスファジルセリンを摂取してみるのもいいでしょう。

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