認知症予備軍、軽度認知障害(MCI)とは?
周りの人が見て明らかな認知機能障害が起きて病院に行き、認知症と診断される段階になれば、実はかなり認知症は進行しています。
認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症の場合は、
認知機能は軽度、中等度、高度とゆっくり低下していきます。
軽度認知障害の場合は、最近の出来事から忘れることが多く、物忘れが重なります。
日常生活に支障も出てきます。
本人もあれ?あれ?と思い始め、周囲も何と無く感じてきます。
中等度になると物忘れに加えて入浴して体がうまく洗えず、入浴を嫌がることがでてきます。
本人も以前はできていたことができなくなった焦りから苛立ちが多くなります。
高度になると、徘徊が始まったり料理や掃除などの日常生活のみならず、
食事や排便等の整理活動そのものもままならなくなります。
大きく分けると3段階となる認知症のステージですが、
実は軽度の時点でかなり脳自体の変性は進んでいて、
認知機能の低下は起きていると考えられます。
認知症予備軍、軽度認知障害とは?
物忘れや、あれ?と周りが思うことがあるものの、
日常生活には全く支障がない状態のことを、「軽度認知障害(MCI)」といいます。
日常生活に支障があるかないかが境目です。
日本には、この軽度認知障害の方が400万人いるといわれています。
そしてこの軽度認知障害の10%ほどが1年で認知症に進むとされており、
5年もすれば半数の50%が認知症になると考えられています。
「認知症にならない脳のつくり方」でも詳しく書いていますが、
この軽度認知症の段階でも、すでに脳にはかなり量のアミロイドβが溜まっています。
発症の25年も前から溜まっていく脳内ゴミは、
ある程度溜まると一気に症状になって表れるイメージです。
この軽度認知症の段階でも本人や周りの方が気づいて、
適切な対策や認知機能を改善するような活動を行えば、
認知症の発症、つまり日常生活に支障をきたさないようにすることができると考えられています。
病理学的は、認知症では多くの脳神経細胞が死滅していますが、
軽度認知障害の場合はほとんどの脳神経細胞が死滅せず弱っている、
という状態だからです。
この時点で神経細胞を死滅させることなく元気にすることができれば、
認知症としては発生しないという可能性があります。
以上、軽度認知障害(MCI)について書きました。
軽度認知障害が起きた時点で対策をとればいいのか?
答えは”NO”です。
認知症協会では、全く自覚のない時期から対策を取ることを強く勧めています。
アミロイドβは遅く見積もっても40代から溜まっていきます。
その頃から何もしなければ必ず来る未来が必然的に訪れるだけです。
まずは知ることから始めてください。
そしてできることを日常生活に取り入れてそれを当たり前にしてください。
認知症協会は、認知症は予防できるということを知っていただくために、
活動を続けます。