認知症を悪化させるロコモティブシンドローム

認知症の危険因子

筋トレの習慣をつけよう!認知症を加速させるロコモティブシンドローム

最近所々で目や耳にする「ロコモ対策」

年配の方の写真と共に宣伝されていることは多いですが、

結局は運動習慣のない人達が陥りやすい状態ですので、できるだけ運動を習慣化した方がいいこと確かです。

今回は「ロコモティブシンドローム」について紹介します。

要介護になる最大のリスク、ロコモとは?

「ロコモティブ(運動器症候群)」とは、

体を支えて動かす運動器の障害によって、立ったり、歩くという機能が低下した状態をいいます。

運動器とは、骨、筋肉、関節、椎間板、神経など、身体運動に関わるものの総称です。

骨は体を支えて姿勢を保ち、筋肉は収縮して関節を動かします。

関節は体重の移動を助け、神経は体を動かすために必要な情報を伝える司令塔です。

それぞれの運動器が連携して働くことで体をスムーズに動かすことができます。

どこか1つ以上の運動器が障害を受けるとうまく動かすことができないのです。

運動器の機能が低下すると、体のバランスが安定せず、転倒や骨折のリスクが高くなります。

骨折して歩行が困難になったことで、やがて介護が必要になったり、寝たきりになることは少なくありません。

厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査」によると、

介護が必要になった理由は、18%の認知症を抑えて運動器の障害が24.6%が運動器障害です。

健康寿命を延ばすには、認知症対策とロコモ対策が必要だということです。

ロコモの原因は?

現代人は足腰を使わなくても楽に生活できるようになりました。

車や自転車も電動です。便利ですが、運動の機会を減りました。

オフィスワークで座ったままの仕事も増えています。

ロコモは突然なるわけではありません。

日頃の運動不足や偏った食事などの生活習慣の結果がロコモに繋がっています。

運動習慣のない生活を送ると・・・

人間の機能は、頭も内臓も全て、使わなければ衰えます。

あまり肉体を使わなくても良い便利な世の中だからこそ、意識的な運動は必要になってきました。

運動器も使わなければ徐々に衰えていきます。

年齢とともに身体機能の低下は仕方ありませんが、無理のないある程度の強度の運動を早いうちから習慣化することが大切です。

痩せすぎや太り過ぎ、体型のコントロールができないと・・・

痩せすぎると骨や筋肉が弱くなります。

反対に肥満になると膝にかかる負担が増え、関節にダメージを与えます。

食事はタンパク質を必ず撮るようにして、下半身の筋肉は意識的に落とさないようにしましょう。

活動量が低下すると・・・

エレベーターやエスカレーター、自動車ばかりを利用して脚を動かさないでいると、ロコモに繋がります。

「1駅前から降りて歩く」等決めるといいでしょう。

スポーツのしすぎ、事故による怪我があると・・・

適切なケアを受けずにスポーツをしすぎたり、軽い事故であっても、運動器に大きなダメージを残すことがあります。

著しく不可のかかるスポーツをする場合は、運動前後のケアを入念にしてください。

事故はどんな軽微なものでも放置せずに、「治るのを待つ」ということは避けなければなりません。

ロコモに繋がる病気は?

運動器の障害に繋がる病気はたくさんあります。

数日入院するだけでも著しく筋力は衰えます。

「廃用症候群」という安静にすることで体を動かす時間・強さが減り、体や精神に悪影響が起こる症状もあります。

退院前後に適切なリハビリを行わなければロコモに早く繋がっていく可能性があります。

その他に代表的な病気としては以下のものがあります。

骨粗鬆症

骨密度が低下して骨がもろくなる病気です。

女性ホルモンであるエストロゲンの欠乏が原因となり、閉経後の女性が発症しやすいですが、男性も運動不足と生活習慣で骨粗鬆症になることがあります。

ちょっと転んでも骨折します。

それどころか、脊椎椎体骨折といって、自分でもわからない間に背骨が押しつぶされていることもあります。

身長が縮んだり、背中が丸くなってきたと感じたら骨粗鬆症の可能性があります。

無料骨密度測定も実施している自治体もあるので、活用してください。

骨密度は、女性は50歳を過ぎたら1年に一度、男性は65歳を過ぎたら一度骨密度を測定するのがいいでしょう。

変形性関節症

関節の先にある軟骨がすり減って、痛みが出る病気です。

特に膝関節や股関節に起こることが多く、歩行に支障が出てきます。

手術でよくすることはできますが、現在ではボルトを入れても10年に一度交換が必要で、再手術となります。

変形性脊椎症

背骨の中の椎骨や椎間板に変形が起こった状態です。

背骨には、周囲を骨に覆われた脊柱管という細長い筒状の空洞があり、その中を神経が通っています。

その神経が、変形した椎骨や椎間板などで圧迫されると、脊柱管狭窄症が引き起こされて足に痺れや痛みが出てきます。

高齢者の転倒は自宅が最も多い

ロコモで一番注意が必要なのは、転倒・骨折です。

高齢者の転倒事故が最も多いには、1日の大半を過ごす自宅で、次が駅などの交通施設です。

家の中で最も転倒事故が多いのは、居室・寝室です。その次に玄関、縁側です。

転倒・骨折は要介護リスクを格段に高めますので、足元を明るくして段差をわかりやすくするといった工夫が必要になってきます。

体重移動の際に転倒することも多いので、立ち上がる時や座るとき、体の向きを変えるときには、慌てずにゆっくり体を動かしましょう。

私はロコモ?

ロコモの予防には、バランス能力や筋力の低下を予防、改善することが大切です。

次にロコモ度チェックを紹介しますので、50歳を過ぎたら意識して改善に取り組みましょう。

思い当たる生活習慣や運動器の症状があれば、今日から改善に取り組みましょう。

ロコモ度チェック

今回は、NTT東日本関東病院部長の大江隆史先生のロコモ度チェックを紹介したいと思います。

思い当たることがあるかどうか、チェックして見てください。

  1. 片脚立ちで靴下が履けない
  2. 家の中でつまずいたり、滑ったりする
  3. 階段を上がるのに手すりが必要である
  4. 家の中でやや重い仕事(掃除機、布団の上げ下ろし)が困難である
  5. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
  6. 15分間ぐらい続けて歩くことができない
  7. 横断歩道を青信号で渡りきれない

上記の中で、

1つでも当てはまればロコモの疑いがあります。

当てはまらなくても”あやしい”ものがあれば要注意です。

定期的にチェックをして、太り過ぎなど原因がわかるものがあれば改善する必要があります。


今回はロコモティブシンドロームについて紹介しました。

転倒して骨折、入院して治療し、退院して戻ったら認知症が発症、悪化していた、というのは非常によく起こることです。

ロコモを知り、意識して注意することで大きく運命が変わりますので是非参考にしてください。

運動と食事での予防法については別記事で紹介します。

無料の書籍も知識のために是非一読ください。

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  • この記事を書いた人

山根一彦 医学博士

一般社団法人認知症協会理事。徳島大学大学院医科学教育学部卒。医学博士。 生体防御・感染症代謝を専門とし、ミトコンドリアの活性化、インフルエンザの重症化等を研究。第一三共ヘルスケア株式会社、SBIアラプロモ株式会社など、複数の大手製薬企業で商品の開発・改良に参加。知財として価値の高い複数の特許を取得。 2017年、認知症協会理事に就任。以後、認知症予防に関する講演・執筆活動を行う。2018年より一般の読者向けに無料メール(LINE)マガジンを開始し、現在の購読者は80,000人超え。著書「認知症にならない最強の食事」。

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