ロコモ対策で認知症予防。具体的な運動法。

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ロコモの予防は運動と食事から。認知症予防にも大切な意識とは?

以前の記事

筋トレの習慣をつけよう!認知症を加速させるロコモティブシンドローム

では、認知症の発症、進行リスクを促進させるロコモティブシンドロームについて紹介しました。

今回は、ロコモ対策にいかに取り組むべきかを、NTT東日本関東病院部長の大江隆史先生の解説を元に考えてみようと思います。

ロコモ対策は認知症予防に繋がりますので是非頭に入れておいてください。

運動と食事でロコモを予防するためには?

ロコモは筋肉の衰え、骨のもろさが私たちの体に起こる根本的な原因になります。

特に下半身の骨の弱さと変形は致命的です。

もちろん体重が増えるとそれだけ足腰に負担がかかるので、適切な体重コントロールは大切です。

そのような生活習慣病対策は別記事を参考にしていただくとして、今回はロコモ対策に焦点を当てて紹介します。

運動でロコモ対策!年齢とともに運動は必須

運動によって足腰を丈夫にすることは基本的かつ重要なロコモ対策です。

転倒・骨折を防ぐために必要なスキルは、バランスをとる能力と筋力です。

これらを維持、向上させることで、ふらつきやつまづきは起こりにくくなります。

筋力というのは使わなければ衰えていきます。

一度筋トレしたくらいでは意味がなく、2〜3日に一回かそれ以上軽めの運動を継続してやることではじめて維持できます。

具体的な簡単なトレーニングを紹介します。

片脚立ち

バランス能力を鍛えるなら片脚立ちが最適です。

まずは転倒しないようにつかまれるものの近くに立ちます。

片脚を床につかない程度に軽く上げ、その状態を1分間ほど保ちます。

それを左右3回ずつほどやってみましょう。

ふらついたらすぐにつかまってください。

得意になってきたら目をつぶってもいいでしょう。

バランス能力の向上と、股関節周辺の筋肉増強が期待できます。

踏み出し運動

さらにバランス能力や筋力をつけるには、腰に手を当てて、片脚を大きく踏み出してみましょう。

踏み出したら太ももが床と平行になるくらいまで腰を深く落とします。

そして踏み出した脚を元に戻します。

これを左右5回ずつ、3セット行います。

しっかりやると、かなりきつい運動になるはずです。

スクワット

スクワットは誰もが知る基本中の基本のトレーニングです。

毎日スクワットするだけで大抵の病気は回避でき、長生きする、という医師もいるくらい健康のためのキングオブメソッドです。

肩幅より少し広めにつま先を30度ずつ開いて立ちます。

背筋と視線はまっすぐに正し、深呼吸をするペースでゆっくりとお尻を後ろに突き出しながら腰を落とします。

これを5〜6回繰り返し、3セット行います。

負荷がかかり過ぎて難しい場合は、机とイスを使いましょう。

机に手をつき、立つ、座るという動作を繰り返します。

踵上げ下げ運動

ふくらはぎの筋力をつけるには、かかとの上げ下げ運動が有効です。

両脚で立った状態でかかとを上げ、ゆっくりと下ろしていきます。

バランスが崩れやすい方はイスにつかまって行いましょう。

他にも少し前に流行ったつま先だけのスリッパを履いて行動することもふくらはぎの筋力アップにつながります。

ウォーキング

簡単に取り入れらるウォーキングですが、実はダラダラ歩いても意味がありません。

ロコモ対策では下半身の筋力の維持向上が目標になりますが、普通の速さでのウォーキングではあまり鍛えられないことがわかっています。

一つ推奨される方法が、

「速度を2段階に交互に変えながら歩く方法」です。

まずはゆっくりと普段の速度で歩きます。次に、歩幅を大きくして腕を大きく降り、息がやや上がるほどで歩きます。

これを3分ずつ繰り返して行うウォーキングがロコモ対策として推奨されます。

食事でロコモ対策!痩せ過ぎず骨と筋肉を強くする

ロコモを予防するための食事のポイントは、

痩せ過ぎないように低栄養に注意することと、骨や筋肉を強くする食事をとることです。

認知症予防には肥満の解消が大事と何度も言ってきましたが、

年齢が高くなってだんだん食べれなくなったときの急な体重減少は、まず筋肉が減り、骨ももろくなって脂肪だけ残るという最悪の事態を招きますので注意が必要です。

低栄養に注意

高齢者は低栄養になると、痩せてきて急激な筋肉量の減少を招いたり、骨粗鬆症を起こしやすくなります。

低栄養状態の高齢者は、要介護になるまでの期間が短い傾向があります。

65歳までは肥満予防を心がけ、65歳を過ぎたら低栄養による痩せ過ぎに注意します。

勘違いしてはいけないのは、肥満だから栄養が足りていると考えることです。

肥満は体内栄養バランスもかなりの確率で悪くなっていますので、必要な栄養が足りていないことも十分あり得ます。

肥満状態で足りているといえる栄養素は脂肪だけだということを理解しておきましょう。

食事の栄養バランスでいうと、10種類の食品群に分けた食事バランスをチェックして、できるだけ多くの食品群から取るようにしましょう。

食品バランスチェック表

  1. 魚介類
  2. 大豆・大豆製品
  3. 牛乳・乳製品
  4. 緑黄色野菜
  5. 海藻類
  6. いも
  7. 果物
  8. 油を使った料理

多くの食品群を摂る人ほど、低栄養になりにくく、筋肉や骨が維持されて、歩く速度が速い傾向があることがわかっています。

骨や筋肉を強くするには材料をしっかり摂り入れよう

体は日々の食事からできています。

ロコモの原因となる、骨や筋肉を強くする食事を摂りましょう。

高齢者は、体重に変化がなくても、筋肉量が減って脂肪に置き換わっている傾向があります。

意識的に筋肉を維持する必要があります。

少しきつめの運動をして体を動かすことを意識してください。

具体的に摂取した方がいい栄養素は、

カルシウム、ビタミンK、ビタミンD、タンパク質です。

特に筋肉を作るタンパク質は不足しがちです。

一日の総摂取カロリーをアプリ等で推測し、糖質、脂質、タンパク質の割合を把握してタンパク質を充足することが大切です。

具体的なレシピについては随時認知症予防レシピとともに載せていきますので参考にしてください。


ロコモに対する備えは、認知症予防に繋がります。

基本的に運動習慣は早いうちから習慣化するのが吉です。

習慣は自分の体を把握するのに役立ちますし、運動の記憶は筋肉に刻まれ、しばらく運動を休んで再開したとしても、その記憶で回復は早いと言われています。

認知症も早いうちから自分の体を把握すると変化に気がつきやすいのです。

ロコモについて合わせてお読みください。

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筋トレの習慣をつけよう!認知症を加速させるロコモティブシンドローム

無料の書籍の期間限定ですので是非お読みください。

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  • この記事を書いた人

山根一彦 医学博士

一般社団法人認知症協会理事。徳島大学大学院医科学教育学部卒。医学博士。 生体防御・感染症代謝を専門とし、ミトコンドリアの活性化、インフルエンザの重症化等を研究。第一三共ヘルスケア株式会社、SBIアラプロモ株式会社など、複数の大手製薬企業で商品の開発・改良に参加。知財として価値の高い複数の特許を取得。 2017年、認知症協会理事に就任。以後、認知症予防に関する講演・執筆活動を行う。2018年より一般の読者向けに無料メール(LINE)マガジンを開始し、現在の購読者は80,000人超え。著書「認知症にならない最強の食事」。

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