認知症予防研究協会が認知症とうつ病を考える

認知症の危険因子 認知症予防法

うつ病と認知症を考える。変わるうつ病の治療方針「レジリエンス」とは?

認知症と併発することで問題のうつ病ですが、軽度のうつ病は診断が難しく、治療が遅れがちです。

ですので、うつ病も認知症と同じく、早期発見や予防が重要な疾患と言えます。

認知症と診断された後にうつ病を併発するケースも少なくありません。

そして逆にうつ病が進行して認知症になるケースもあり、うつ病は認知症の発症要因の一つと言えます。

今回は杏林大学医学部教授、渡邊衡一郎先生の発表を教科書に、軽度のうつ病に対する治療方針から、認知症予防との関連性を考察して見たいと思います。

認知症予防にレジリエンスを刺激して気持ちを前向きにする

うつ病も認知症も同じく、ある日突然発症するケースは少なく、発症前から少しずつその芽は育っています。

うつ病は放っておくと重症化しやすいと言われています。

サインを見逃さないことが大切です。

うつ病の診断とは?

健康診断で実施する血液検査等と違って、うつ病は検査では判定できません。

うつ病はその症状で判断することになります。

診断基準に該当する症状がほとんど1日中、2週間以上続き、仕事や家庭に何らかの問題が生じている場合にうつ病と診断されます。

うつ病の見極めは専門の医師でも難しいと言われます。

心だけでなく体にも食欲の低下や疲労感が表れることがあります。

他の病気と間違うこともあります。

憂鬱な気分というのは、アルコール依存症や甲状腺の病気、がん、もちろん認知症でも起こります。

うつ病の診断基準

うつ病の診断基準は以下となっています。

  1. 憂うつ 気分の落ち込み
  2. 興味や喜びの喪失
  3. 食欲の異常
  4. 睡眠の異常
  5. ソワソワする または 体が重く感じる
  6. 疲れやすい
  7. 自分を責める
  8. 思考力・集中力の低下
  9. 死にたいと思う

上記のうち、1か2の症状のどちらか1つを含む5つ以上の症状が、

ほとんど一日中、2週間以上続き、仕事、学校、家庭などで何らかの問題が生じている場合、うつ病であると診断されます。

ただし、上記あくまでも目安であり、自己判断できるものではありませんので、

気になる場合は専門医を受診するべきでしょう。

うつ病の重症度とは?

うつ病は重症度によって対応の仕方が変わります。

うつ病と診断が出た場合、重症度を判定して治療に進みます。

判定のポイントとしては、診断基準の項目に当てはまる数と日常生活にどの程度問題が生じているか、になりますが、

重要視されるのは、後者の社会的な機能にどの程度問題が生じているか、です。

うつ病の重症度の判定

・軽症

診断基準の5つ以上の項目に当てはまり、うつ病の症状な出ているが仕事や学校を休まずに続けていられる状態

・中等度

6〜7つの項目に当てはまり、軽症と重症の中間に当たる状態

・重症

8つ以上の項目に当てはまり、仕事や学校に行けない、家事ができない等、入院を必要とするような日常生活に支障を来している状態

なぜうつ病は発症するのか?

うつ病の発症メカニズムはまだ明らかになっていない部分が多く、認知症と同じく原因は1つではありません。

そんな中でも、性格と環境の要因は関係が深いと考えられています。

うつ病になりやすい性格とは?

うつ病になるやすい性格があると考えれています。

几帳面で真面目な性格

・自分に厳しく、責任感が強い完璧主義者

・他人とのいざこざを避けるために他者に尽くすタイプ

このような性格に人は、心にストレスがかかることが多く、心のエネルギーの使い方も相当なものです。

エネルギー不足を起こしてしまうと、うつ状態に陥りやすいと考えられます。

うつ病になりやすい環境とは?

過労や離婚、死別等の他に、結婚、出産、昇進といった”良い変化”も、

ストレスになるうつ病発症の原因となることがあります。

自分で「私はストレスを感じないタイプ」だと思っている人でも、

感じないほどのストレスが蓄積している可能性があります。

長年仕事一筋で定年を迎えて何事にも無気力になるような、

気が緩んだ時に特に発症しやすいので注意が必要です。

認知症も生活の変化のタイミングで一気に悪化することが多々あります。

それは身近な人の変化として体験した方も多いのではないでしょうか?

軽症のうつ病の治療とは?

うつ病の治療に関するガイドラインが2016年に改訂され、症状の状態に合わせて休養をとることが望ましい、と明記されました。

ここで重要なのは、必ず休養しなければならないのではなく、病状によっては何かできることに挑戦するといった、その人が出来ることをやることで役割を与えられることが大切だという考え方ということです。

長く休むと社会復帰が難しくなるケースも多々あるため、頼れる専門医と相談のい上無理のない範囲で社会との接点を持つことが大切です。

認知症予防にもつながるレジリエンスとは?

うつ病の治療方針は少しずつ変わってきました。

現在の治療方針は、「ストレスを減らすこと」から、「レジリエンスを刺激すること」にシフトしていったと言えます。

レジリエンスというのは、ストレスの反対語のような言葉で、社会的ディスアドバンテージや、己に不利な状況において、その状況に自身のライフタスクを対応させる個人の能力と定義されます。

簡単に言えば、”ストレスを跳ね返す力”と言えます。

「レジリエンスを刺激すること」とは、個人のうつ状態から抜け出したい、前向きになりたい、といった気持ちそのものを刺激するということなのです。

軽症のうつ病の治療法、2つの柱とは?

うつ病の兆候が出始めた軽症の状態ならば、薬を使わずともよくなる可能性があります。

軽症のうつ病の治療では、心理教育支持的精神療法の2本柱で治療していくことになります。

・心理教育

患者さんと家族にうつについて知ってもらう教育のことです。

それは、うつ病の患者さんの多くが、自分が怠けているからこのような状態になったんだ、と責める方が多いですが、

この状況は病気であり、治療できるものと知ってもらいます。

その後治療の過程と今後の見通しを説明していきます。

認知症の患者さんは家族に勧められて受診するケースもありますが、本人は認知症だと疑いながらも否定することが多く、

告知と心理教育は最初の難関と言えるでしょう。

・支持的精神療法

専門医が患者さん本人のつらい体験やつらい気持ち、誰にも相談できなかった悩みをヒアリングして、共感して受け止めていきます。

そのヒアリングによって、蓄積され複雑化した問題を整理して解きほぐしていきく治療です。

・その他

軽症なら心理教育と支持的精神療法でかなり回復が望めますが、

食欲不振や睡眠障害がある、そわそわと落ち着かない人には薬物療法が勧められます。

ただし、薬は必ず副作用がありますし、認知症予防の観点からは、精神科領域の薬の服用はおすすめしません。

その他否定的な考え方や行動パターンを見直していく認知行動療法があります。

ストレスの原因が明らかな人や、妊娠や授乳中で薬が使えない産後うつにも有効ですが、行っている医療機関は少ないということです。

認知症予防にも有効な自分でできるうつ病対策

オランダである調査が行われました。

うつ病から回復した患者さんに、効果があったセルフケアをヒアリングしたものです。体験者に秘訣を聞いた、ということですね。

それによると、

・「いつ会社に復帰できるか」といった遠い将来ではなく、「明日は公園に行こう」というような明白にしたいことを考えること

・楽しかったこと、嬉しかったことのようなポジティブな記憶を思い出す前向きな態度

・決まった時刻に家を出るなどの生活リズムを整えること

に特に効果が認められたそうです。

その上でさらに、外に出て散歩をするといった積極的な行動も効果的であることがわかりました。

周りの方も「頑張れ」等の励ましは自責につながるので逆効果になります。

この考え方は認知症の患者さんに対しても同じことが言えます。

心配しすぎずつかず離れずの態度で接することが大事でしょう。


今回は認知症と同じような病態を示すうつ病を紹介しました。

認知症とうつ病は全く違う病気ではありますが、初期の病態では認知症もうつ病もその治療法は同じ考え方が使えるということです。

「レジリエンス」を刺激するというのはポジティブに生きていくために必要な訓練だと考えることができます。

何事にも興味を持つ、面白さを見出すことは日頃から貪欲に頭を回転させている必要があります。

そのための知識はジャンルを問わず、一生インプットし続けるべきでしょう。


認知症予防研究協会では、様々な知識を発信していきます。

認知症の要因は知能の低下だけではないので、知識だけあっても認知症の発症は防ぐことができないかもしれませんが、

少なくとも積極的に知識を得ようとする姿勢は、認知症予防につながると言えるでしょう。

認知症は予防がすべての病気です。

いいと思ったことは1つでも多く取り入れた方がいいでしょう。

無料の書籍も知識を深めるために是非ご覧ください。

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