厚生労働省の「国民健康・栄養調査」において、日本における肥満の割合は、成人男性で31.3%、成人女性で20.6%と発表されていますが、潜在的にはもっと多いと推測されています。
欧米に比べると日本人の肥満の程度は低いですが、だから安心というわけにはいきません。
残念なことに、日本を含む東アジアの人々は軽度の肥満でも病気を発症しやすいのです。
その理由は内臓脂肪にためやすいからといわれていますが、今回は肥満のリスクについて考察していきたいと思います。
肥満がもたらす健康被害
メタボリックシンドローム、いわゆる”メタボ”という言葉は既に世間に浸透しましたが、
メタボリックシンドロームとは、「内臓脂肪が多くなっている状態」がまず前提としてあります。
内臓脂肪型肥満に加えて、高めの血圧、高血糖、脂質異常のうち2つ以上に当てはまるとメタボと診断されますが、この状態を放置しておくと高血圧、糖尿病、脂質異常症という生活習慣病に移行していきます。
しかし、肥満が引き起こす病気はこれだけではありません。
高尿酸血症とそれが進行して起こる痛風、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、非アルコール性肝疾患、腎臓病、月経異常、不妊、睡眠時無呼吸症候群、関節の疾患も肥満との関係が強いことがわかっています。
認知症のリスクを高くする肥満
内臓脂肪が多い人は動脈硬化が進行しやすいことがわかっています。
それによって脳梗塞を発症し、「脳血管性認知症」を発生することがあります。
それだけでなく、因果関係は不明なものの、「アルツハイマー型認知症」も起きやすくなる傾向があります。
痩せすぎも認知症のリスクをあげるといわれていますので、BMI等の指標をまずは参考に、自分の適正体重をしることが大切です。
BMIについては「認知症予防にダイエットのススメ。私はダイエット必要?」の記事でも触れていますが、22を大まかな指標とするといいでしょう。
がんの発症にも関与している
がんはその生存率は高まってきているものの、以前として死亡リスクの高い疾患です。
国立がん研究センターが発表している最新の2017年のがん統計によると、生涯にわたってがんで死亡するリスクは、全てのがんをまとめると、
男性で25%(4人に1人)、女性で15%(7人に1人)ということです。
肥満とがんの関連も調査されていて、
国立がん研究センターの大規模な調査の結果では、閉経後の乳がんは肥満との関連が「確実」とされました。
大腸がんと肝がんでは肥満との関連が「ほぼ確実」とされています。
子宮体がんと閉経前の女性の乳がんでは、「肥満と関連している可能性がある」とされています。
ちなみに、
・乳がんは女性のがん死亡率の5位
・大腸がんは女性でがん死亡率1位、男性で3位
・肝がんは男性でがん死亡率5位
と報告されていますので、がん死亡率の側面から見ても肥満は放置できない状態であるといえます。
病気を引き起こす脂肪のつき方
肥満は、体の中で余ったエネルギーが脂肪となり蓄積してる状態ですが、皮下脂肪より「内臓脂肪」や「異所性脂肪」がより体に悪影響を及ぼすことがわかっています。
「内臓脂肪」のいたずら
皮膚の下につくものを皮下脂肪、内臓の周りにつくものを内臓脂肪といいますが、皮下脂肪は下腹部やお尻、太ももにつきやすいために下半身が太り、内臓脂肪がついた人はへそ周りがぽっこり出た体型になります。
健康被害が大きいのはもちろん「内臓脂肪」です。
近年脂肪組織が体にとって大切な物質を作って血中に放出していることがわかってきました。
これらの物質は「アディポサイトカイン」と呼ばれますが、アディポサイトカインは、生活習慣病に関係する糖の代謝や血圧に関係するものがあることがわかりました。
アディポサイトカインには、様々な種類がありますが、体にとって良い働きをする善玉と、悪い働きをする悪玉がいます。
厄介者の「異所性脂肪」
肥満のよる病気を防ぐために
内臓脂肪や異所性脂肪は、”たまりやすく減りやすい”という特徴があります。
ダイエットに取り組んで体重が減れば、こうした脂肪がまず減っていきます。
特に日本人は軽度の肥満でも病気を発症しやすいので、早めの対策を心がけましょう。
BMIは22以下をキープしたいところですね。
肥満と糖尿病の関係も含め、肥満が万病のもとになるということはご理解いただけましたでしょうか?
ダイエットの基本はカロリー管理ですので基礎代謝量以下に摂取カロリーを近づけることを心がけましょう。
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