認知症の危険因子 認知症の基礎知識

こんな食生活は要注意!認知症予防の第一歩は食生活の改善にあり

認知症になりやすい人は、若い頃からの食生活に特徴があることがわかっています。

認知症予防とは、将来認知症になるリスクを下げることに他なりません。

認知症になるリスクは多々ありますが、糖尿病、高血圧、高脂血症等の生活習慣病は、将来認知症になるリスクを格段にあげることがわかっています。

今回は普段の食生活を例にとって紹介します。

思い当たることはあるでしょうか?

①ごはん!パスタ!麺!炭水化物が大好物~!!ジュースや清涼飲料水、お茶がわりにして飲みます!!(糖質の摂り過ぎ)

普段から毎日ジュースや清涼飲料水を飲む習慣がついてしまっていませんか?

ジュースや清涼飲料水にたくさん入っている白砂糖、ブドウ糖果糖溶液は、

血糖値を急上昇させます。

さらにジュースや清涼飲料水は、無意識に摂り過ぎてしまう傾向があるのと、

甘いものには依存性があるので注意が必要です。

飲み物だけでなく、白米や小麦粉など精製された炭水化物も急速に血糖値を上げてしまいます。

この血糖値が急激に上がる状態である、「インスリンスパイク」が繰り返されると、

インスリン抵抗性が生じます。

インスリン抵抗性は、実は脳内でも起こることがわかっています。

このインスリン抵抗性は、認知症の4つの分類の中で最も多い、

アルツハイマー型認知症にとって、とても不都合な現象になってしまいます。

アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβが蓄積して、そのアミロイドβが脳細胞を死滅させることによって起きています。

インスリンは、このアミロイドβの分解を助ける働きがあります。

そのため、糖尿病でインスリンが出にくくなることで脳内のアミロイドβが蓄積されて、アルツハイマー型認知症を発症させる可能性があるのです。

実際、糖尿病だとアルツハイマー型認知症の発症リスクが2~4倍になることがわかっています。

糖尿病にも「糖尿病予備軍」という言葉があります。

糖尿病になるような生活が、脳にいいなんてあるわけないですよね。

②何にでも醤油をかけちゃう!(塩分の摂り過ぎ)

塩分を摂り過ぎで高血圧になると、

動脈硬化で脳梗塞などの脳血管障害が発症しやすくなります。その結果、脳血管性認知症のリスクが高くなります。

高血圧の人は、正常の血圧の人に比べて、最大で約10倍もの脳血管性認知症を発症しやすいことがわかっています。

一気に減らすのは無理でも、徐々に減らしていくように心がけましょう。

塩分を減らす工夫としては、

麺類のスープやつゆは飲まない。

・インスタント食品は塩分が多いので、食べる回数を減らす。

・佃煮、漬物、明太子、塩辛などのご飯のオトモは控える。

・味つけを、レモンなどの柑橘類や酢、香辛料でメリハリをつけてみる。

個人的には、ダシをしっかり効かせると、塩分を控えることができるどころか、

料理の味自体もワンランクもツーランクも上がり、幸せな気分になれます。

無添加のダシの素もスーパーに売っていますので、ぜひお試しください。

③肉大好き!揚げ物大好き!やめられない止まらないスナック菓子!(脂質の摂り過ぎ)

普段から肉を食べる人は、食べない人と比べると2倍認知症になりやすいといわれています。

肉には、アラキドン酸、HCAs、ニトロソアミンという注意しなければならない物質が多く含まれています。

アラキドン酸は炎症を誘発する物質です。

炎症は血管を老化させる原因とされていて、アルツハイマー型認知症の悪化にも関係しているといわれています。

HCAsは細胞を酸化させる物質です。

酸化によって血管の老化を促進させると動脈硬化になりやすくなり、認知症のリスクが高くなります。

ニトロソアミンは有毒物質で、肉を食べた際に体内で生じます。

糖尿病やアルツハイマー型認知症との直接的な関係が指摘されています。

ハムやソーセージなどの亜硝酸ナトリウムで加工された肉は、特にニトロソアミンが多く体内で生じるので注意が必要です。

また、動物の油(ラード、牛脂、バターなど)に多く含まれる飽和脂肪酸は、

血液をドロドロにするので、脳にも健康にも良くありません。

飽和脂肪酸の摂り過ぎは、糖尿病のインスリン抵抗性を高めるといわれていて、

脳内で起こったインスリン抵抗性はアルツハイマー型認知症の原因になるともいわれています。

飽和脂肪酸を多く摂取している人は、

アルツハイマー型認知症の特徴である脳の老人斑を発生させるリスクが高いこともわかっています。

唐揚げ、フライドポテト、コロッケ、トンカツ、海老フライ、天ぷらなど、揚げ物はおいしいですよね。ポテトチップスなどのスナック菓子も、ついつい手が伸びて気がついたらなくなってたり、、、。

これらの揚げ物やスナック菓子は、サラダ油(食用植物油脂)で揚げられています。

サラダ油などに多く含まれているオメガ6系の油の摂り過ぎは、

プロスタグランジンやアラキドン酸という炎症物質を増やすことがわかっています。

脳内での炎症は、神経細胞にダメージを与え、死滅させてしまいます。

神経細胞の死滅は認知症につながります。

④カレーは飲み物です!!(早食い、よく噛まない)

カレー粉の黄色のウコンに含まれるクルクミンには、

強力な抗酸化作用と抗炎症作用があり、認知症予防に効果があることがわかっています。

せっかく認知症予防に効果のあるカレー(ウコン)を食べているので、

ゆっくりよく噛んで予防効果をアップさせましょう!

「よく噛んで食べる」メリットは、胃腸の働きを助けて消化吸収を良くすることです。

早食いの人は、頭ではわかっていても毎回気がつくと早食いしてしまってる人が多いと思います。

最近、「よく噛んで食べる」ことは認知症の予防に効果があることがわかってきました。

「噛む」という動作は、脳内の運動、感覚、記憶、意欲、思考を司っている部位が刺激されるので、認知症の予防にも効果があるということです。

ただ「よく噛む」だけで脳が刺激されて活性化し認知症予防に効果が期待できるなんて、取り入れない手はないですよね。

⑤毎日ストレスがいっぱい!ストレス発散は食べること!(暴飲暴食)

ストレスが溜まるとツライですよね。

職場、家庭、友達関係、進学、就活、婚活、妊活、嫁姑、ママ友、病気、出世など、身の回りにはいろんなストレスがあります。

ストレスの発散方法は、人それぞれ違うと思いますが、「食い気」に走ってしまう人も多いのではないでしょうか。

頻繁に暴飲暴食していると、インスリンの働きが鈍くなってβアミロイドを分解しにくくなり、脳内にβアミロイドが蓄積しやすくなります。

アルツハイマー型認知症は、

脳神経細胞にβアミロイドが蓄積して進行することがわかっているので、暴飲暴食は、認知症を進行させる可能性があります。

⑥誰がなんと言おうとも、好きなものしか食べません!(偏食、野菜、魚を食べない、好き嫌いが多い)

アルツハイマー型認知症患者さんの食事内容と、標準の食事内容を比較してみると、

肉類や炭水化物の摂取量が多く、魚や緑黄色野菜、海藻類などの摂取量が少ないといわれています。

そして、アルツハイマー型認知症患者さんの1日の摂取カロリーが必要な摂取カロリーの約40%も多い傾向にあります。

たくさんある食材の中で、苦手な食べ物があるのはある程度仕方ないと思いますが、

こういった偏りすぎた食生活を若い頃から続けていると、

生活習慣病をきたし認知症になりやすい体質を作ってしまいます。

バランス良く色々な食材を食べることを心がけましょう。

⑦ご飯がススムおかず大好き!おばあちゃんの甘辛いおかず大好き!(味つけが濃い)

塩辛や明太子、鮭フレーク、海苔の佃煮、大葉味噌、肉みそ、ちりめん山椒などは、

味つけが濃いし、ご飯と一緒にどんどん進んでしまうので要注意です。

干物や漬物も同じく塩分が多いので、食べ過ぎには注意しないといけません。

また、おばあちゃんの甘辛い煮物が大好きな人、インスタント食品、

レストランや居酒屋のつまみなどを頻繁に食べる人も、濃い味つけに舌が慣れてしまってる可能性があります。

塩分の過剰摂取は、高血圧のリスクが高かくなります。

そして、高血圧の人は血圧が正常な人と比べて血管性認知症のリスクが3~4倍も高くなるといわれています。

⑧サッと食べられれば何でもいい。私には時間がないの!(コンビニやファーストフード、カップ麺、惣菜ものが多い)

朝早くから出掛けて、帰ってくるのは夜遅く。

忙しく働いていると、ゆっくりキッチンに立って料理をしている暇なんてないという人も多いのではないでしょうか。

とにかく、パパッと手軽に食べれてお腹が満たされればいい。

パパッと食べたい時に、とても重宝するのが、

コンビニやファーストフード、インスタント食品、お惣菜などです。

こうした食品には、糖分、塩分、脂質を過剰に含んでいてカロリーも高く、

ビタミン、ミネラル、食物繊維、良質なタンパク質などの栄養価はとても低いので「ジャンクフード」と呼ばれています。

ジャンクフードを食べ続けると、

糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病になりやすいだけでなく、

認知症とも大きく関連していることがわかっています。

⑨甘いもの食べてる時が幸せなんです!!(食事の代わりがお菓子や菓子パン)

甘いものを食べてる時に幸せ感じますか?

砂糖には依存性があるので、甘いものを食べて幸せを感じている人は、

「砂糖依存症」の可能性があります。

砂糖を多く摂りすぎると、大量の糖分を消化するために、

ビタミンB群やカルシウムも大量に必要となります。

そのため、体内にこれらの栄養素が足りなくなり、体に悪影響が及んで様々な弊害が起きます。

冷え性、うつ状態、骨粗しょう症、そして老化を進行させる「糖化」という状態が起こります。

「糖化」とは、体内で糖分とタンパク質が結びついて、タンパク質が変質してしまう現象です。

変質したタンパク質はAGEs(糖化最終産物)と言われ、老化の原因と考えられています。

たとえば、AGEsがコラーゲンに蓄積すると、肌の弾力がなくなり、肌はたるんでくすみます。

AGEsは、骨や髪の毛、内臓にも蓄積して全身の老化を促進させます。血管が糖化すると動脈硬化が進み、認知症とも大きく関連してきます。

この中で、思い当たる食生活をしている人は要注意です!

高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病にならないように気をつけることが、結果的に認知症予防につながっていきます。

よく「食育」といわれますが、子どもの味覚は家庭でどんなものを食べているかによって決まっていきます。早い段階で、味覚や食生活を正常化しておくと、自然と将来の病気を予防することができるのです。

  • この記事を書いた人

山根一彦 医学博士

一般社団法人認知症協会理事。徳島大学大学院医科学教育学部卒。医学博士。 生体防御・感染症代謝を専門とし、ミトコンドリアの活性化、インフルエンザの重症化等を研究。第一三共ヘルスケア株式会社、SBIアラプロモ株式会社など、複数の大手製薬企業で商品の開発・改良に参加。知財として価値の高い複数の特許を取得。 2017年、認知症協会理事に就任。以後、認知症予防に関する講演・執筆活動を行う。2018年より一般の読者向けに無料メール(LINE)マガジンを開始し、現在の購読者は80,000人超え。著書「認知症にならない最強の食事」。

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