耳の状態で認知症になるかどうかわかる

認知症の基礎知識

耳たぶのしわで認知症になるリスクがわかる?!認知症予防に役立つ体からのサイン

体調が悪くなると体にサインとして現れることがあります。

例えば風邪をひいたら口の周りに「熱の花」ができる人がいます。

「熱の花」は口唇ヘルペスのことで、原因は顔の知覚神経に潜んでいるウイルスです。これが風邪をひいて体が弱っていたり免疫力が低下すると、活発になり顔の表面に出てきます。

口の周りにヘルペスができたら、それは体からのサインです。

「疲れているんだな」「ストレスが溜まっているんだな」

そうやって体からのサインを受け取って、しっかり休んであげることが大事です。

他にも体からのサインはたくさんあります。

顔が日焼けとは違う不自然に黒い人は肝臓が悪い、とか、

お酒を飲みすぎたら足が痛くなる、とか、

爪が”ばち”のように丸くなっていたら呼吸器疾患の疑いがある、とか。

挙げればキリがないですが、実は健康診断では正常でも少しずつ体が無理をしているサインは、自覚があるものもないものも含めてたくさんあるのです。

耳たぶに深いしわがあると脳血管性認知症のリスクが上がる?!

先日患者様とお話しした際に教えていただいたことがあります。

「耳たぶにしわがあると脳梗塞になりやすいらしいってホントですか?」

その方は新聞のコラムの欄を見て覚えていらっしゃったようです。

TBSの番組でも放送されていそうです。

確かに耳たぶの形は個人差がありますが、”しわ”まで注意深く見ることはないかと思います。

人相、手相とありますが、東洋医学では細かくその見た目やしぐさで診断することも多いのです。

いろいろと調べてみると、確かに体からのサインとして耳たぶは口ほどに物を言っているかもしれないと考えさせられました。

耳たぶに表れる動脈硬化のサイン

イシハラクリニック院長の石原結實先生の『病気のサインを見逃すな!』(PHP文庫)によると、

54~72歳までの108人を8年間調査したシカゴ大学医学部の研究で、「耳たぶにしわのある人」が心臓発作などの心臓疾患で死亡した件数は、「しわのない人」の3倍になった

ということです。

耳たぶには細い毛細血管はありますが、大きな血管はありません。

血液が流れる大きな動脈の支流のさらに末端にあるのが耳の血管です。

何らかの影響で血液の流れが悪くなると、すぐに影響を受けるのが耳の組織です。

先ほどの”しわ”がある人とない人の差ですが、

動脈の流れが悪くなる、すなわち動脈硬化が進んでくると耳の血管も滞りますので、脂肪細胞で栄養不足による萎縮が起こり、しわになってくるということです。

動脈硬化は心筋梗塞や糖尿病、認知症の発症要因にもなりますので、早めの対処が必要です。

35歳を過ぎてからしわが出てくることが多いので、しわが目立ってきたらしっかりと動脈硬化に対する予防策を取ることが大切です。

もちろん血液検査で正常な方でもしわができることがありますので一概には言えませんが、毎日耳を観察して見るものいいでしょう。

難聴も耳の血流悪化が一因

動脈硬化や耳の血流が悪くなって起こる病気はいろいろあります。

代表的なものに難聴があります。

国立長寿医療センターの発表によると、難聴を訴える方は50代後半から増え始め、60代後半には3人に1人、75歳以上だと70%以上が難聴だと感じているということです。

多くは加齢に伴い高音から聞こえなくなる「加齢性難聴」ですが、 この加齢性難聴に関係しているのが内耳にある有毛細胞です。

加齢と共に有毛細胞が少なくなることが、老化と共に耳の聴こえが悪くなる一因です。

さらに有毛細胞が減る原因となり得るのが、騒音と血流の停滞による栄養不足です。

騒音は昔から耳にはよくないと言われています。日頃から騒音に晒されている人は、耳を意識的に休めましょう。

それよりも深刻なのは、やはり血流の停滞です。

血流の停滞はもちろん糖尿病や動脈硬化、高血圧等の生活習慣病が最たる原因です。男性の方が顕著ですが、糖尿病の方は、糖尿病でない人に比べて、2~3倍難聴の危険性が高まるという報告があります。

内耳の有毛細胞は、栄養が供給される動脈が限られているので、ちょっと血流が停滞すると、すぐに酸素不足、栄養不足を起こして細胞が機能しなくなります。

もちろん血流が停滞する要因と言えば生活習慣病である糖尿病や高脂血症が一番頻度が高いです。

特に糖尿病の方は、失明の危険もあるので、失明に難聴となれば生活水準が下がることは間違いありません。

認知症の予防サインとも考えられる耳のサイン

耳のサインは耳たぶのしわだけでなく、耳の上部と耳たぶを折り曲げてくっつけることができるか、でもわかることがあるそうです。

耳の上部と耳たぶを折り曲げてくっつけたとき、激しく痛んで折り曲げることができない場合、耳の毛細血管は詰まって血流が悪くなっていると考えられます。

耳のしわも、耳を折り曲げた時の痛みも、要は耳の血管の血流が悪くなっているからであり、耳を通っている抹消血管が目詰まりを起こしているということは、全身で動脈硬化が起きている可能性がある、ということです。

そしてこの状態は、認知症の発症、進行を促進する可能性が大いにあります。

動脈硬化が続くと脳梗塞をはじめとする脳卒中の危険性が高まり、そこから脳血管性認知症になる可能性があります。

耳の抹消血管の流れが悪い原因が糖尿病であれば、それは第3の糖尿病とも言われる認知症は確実に進んでいます。

脳血管性認知症だけでなく、アルツハイマー型認知症も、生活習慣病と相関関係がありますので、耳をチェックして異変がある場合は、認知症予防の観点から見ても早急な対策が必要です。

耳の異変が見つかったらどう対策すればいいのか?

耳のしわや曲げたときに激痛がある場合は、動脈硬化の進行が考えられますので、医療機関で血液検査をしてもらう必要があります。

そこで異常があれば、きちっと治療をするべきなのですが、異常がなかったとしても早めの対策は行うべきでしょう。

●適度な運動

日頃から無理のない範囲でウォーキング等の運動を習慣化するべきでしょう。

特に下半身の筋肉を鍛えることで血液の循環が良くなります。

足は第二の心臓と言われるくらいですので、筋肉を維持してしっかり心臓に血液を返していきましょう。

●食生活を見直す

耳のしわは動脈硬化の疑いですので、動脈硬化に悪影響の食事は避けます。

日本動脈硬化学会が出している動脈硬化にならないための食事法についての10項目は、

  1. 1日3食、同じ量を規則正しく食べましょう
  2. 腹八分目
  3. 早食い・ながら食い・まとめ食い 禁止
  4. 食物繊維を多く含む食品を先にたくさん食べましょう
  5. よく噛み、ゆっくり食べましょう
  6. まわりに食べ物をおかないようにしましょう
  7. 好きなものでも1人前までしか食べない
  8. 寝る前の2時間はカロリーの高いものを食べないこと
  9. 食器は小ぶり(小さいもの)にしましょう
  10. 外食のときは単品(丼など)ではなく定食のような複数の食品をとれる献立を選びましょう

となっています。

●血液の流れを良くする食事をとる

基本的にはバランスよく食事をとることが大事ですが、なかなか全ての栄養素を意識して食事をするのは大変なことです。

それよりは血液の流れをよくするような食材を取り入れたほうが続けやすいでしょう。

血液をサラサラにするといわれる成分は、

・魚に含まれるDHAとEPA

・コレステロールの酸化を防ぐ抗酸化作用のあるポリフェノール類

・同じく抗酸化作用のあるビタミンEとC

・納豆に含まれていて血栓を溶かす作用のあるナットウキナーゼ

・コレステロールを溜めないようにさせる食物繊維

等があります。

●サプリメントをとる

バランスの良い食事や、意識的に血液の流れが良くなるような成分の入った食材を探して毎日取り入れていくのも難しい人は、手っ取り早くサプリメントを摂取する方法があります。

1つの成分だけでは、効果が不十分だったり合う合わないがあったりしますので、必ずマルチサプリメントを選ぶようにしましょう。

基本は食事のバランスですので、あくまでも補助と考えたいので、

満量処方のサプリメントより、多成分で、満遍なく適度に入っているもののほうがいいでしょう。

認知症協会推奨サプリメントもマルチサプリメントであり、DHA・EPAも入っています。

認知症予防サプリメントは、こうした生活習慣病を意識してカバーできる総合サプリメントであるべきだと考えています。

→認知症協会推奨サプリメント


いかがでしたでしょうか?

全身状態がわかる耳のサイン。

毎日見慣れている自分の顔ですが、耳も注目して見てください。

思わぬ変化に気づくかもしれません。

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  • この記事を書いた人

山根一彦 医学博士

一般社団法人認知症協会理事。徳島大学大学院医科学教育学部卒。医学博士。 生体防御・感染症代謝を専門とし、ミトコンドリアの活性化、インフルエンザの重症化等を研究。第一三共ヘルスケア株式会社、SBIアラプロモ株式会社など、複数の大手製薬企業で商品の開発・改良に参加。知財として価値の高い複数の特許を取得。 2017年、認知症協会理事に就任。以後、認知症予防に関する講演・執筆活動を行う。2018年より一般の読者向けに無料メール(LINE)マガジンを開始し、現在の購読者は80,000人超え。著書「認知症にならない最強の食事」。

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