認知症予防とサルコペニア。認知症予防研究協会

認知症予防法

認知症と同時に予防が必要な老化に伴う合併症「サルコペニア」とは?

日本は現在「超高齢化社会」に突入しています。そしてこれからしばらくはさらに高齢化が進むでしょう。

平均寿命は現在女性が87歳を超えていますが、これからもまだ伸びそうです。

しかしながら「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命は、女性の場合74歳ほどであり、実に12年以上(男性では8年以上)は介護等の何らかのサポートがいる状態ということになります。

認知症だけじゃない、合併症にも注意

高齢になると様々な病気を発症する可能性が高まることは避けては通れない事実ですが、認知症と合併するとさらに日常生活に対する活動に影響を与える合併症があります。

サルコペニアはQOLを大きく低下させる

「サルコペニア」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

サルコペニアとは、筋肉量が減ることに加えて筋力が低下し、身体機能が低下した状態です。

サルコペニアが進行すると、例えば

・青信号で横断歩道を渡りきれない

・雑巾を絞りきれない

・何もないところでつまずく

・歩いていて人によく追い越される

・太ももが痩せていく

といった状況が見られます。

転倒のリスクも増え、骨折や寝たきりに繋がります。

骨折や寝たきりはさらにサルコペニアを進行させますので、筋肉をある程度維持することが重要になります。

サルコペニアはどうして起こるのか?

サルコペニアには、加齢が原因で発生する「一次性サルコペニア」と、それ以外の原因で起こる「二次性サルコペニア」があります。

もちろん加齢が原因で発生する一次性サルコペニアは、年齢が上がるに連れ仕方のない変化と考えられます。

しかし、二次性サルコペニアは、十分に予防が可能なのです。

二次性サルコペニアが起こる原因としては、

・不活発な生活スタイル

・寝たきり

・運動不足

といった日々の活動の少なさが原因のものや、

・多臓器不全、炎症性疾患、代謝異常等

の疾患が原因で起こるもの。

・吸収不良、薬剤による副作用、エネルギー摂取不足等

の栄養状態の悪化で起こるものがあります。

糖尿病は認知症にもサルコペニアにも悪影響

認知症は「3型糖尿病」とも言われますが、生活習慣病である糖尿病は、全身の筋肉の衰えであるサルコペニアにも悪影響を及ぼします。

糖尿病があると、筋肉でのインスリンの効きが低下し、筋肉の元になるたんぱく質を作る作用が低下します。

また、糖尿病になると炎症反応の産物である炎症性サイトカインが増えて、筋肉のたんぱくの分解が進むこともサルコペニアの発症に関わると言われています。

サルコペニアを防ぐには?

加齢に伴う一次性サルコペニアはある程度仕方のないことですが、

それ以上に悪化させないように予防が必要です。

●食事の工夫

高齢になってくると食も細くなり、低栄養や体重減少が起こってきます。

そうなるとエネルギー不足によるサルコペニアの悪化を招くので、筋肉が付きやすい食事を心がけます。

たんぱく質を多く含む肉、魚、乳製品、大豆、卵を積極的にとりましょう。

●筋肉をつける適度な運動をする

サルコペニアがあると身体機能が低下するため転倒しやすくなります。

転倒は骨折や寝たきりにつながるので、また筋力が激減する悪循環が起こります。

転倒や骨折を防ぐために、日頃から継続できる程度の軽めの筋肉トレーニングを心がけましょう。


認知症協会では、気になったときからすぐの認知症予防をオススメしています。

まだ先のことだ、と思っていても、確実に時とともに年齢を重ねています。

老化は避けては通れませんが、予防意識を持つことである程度進行を遅らせることはできます。

認知症の症状が自覚できるようになってからでは、ほかの老年症候群も現れて、状況は複雑になっていきます。

今とこれからがより健康に過ごせるように、いろいろな病気をしることも認知症予防だと考えます。

  • この記事を書いた人

山根一彦 医学博士

一般社団法人認知症協会理事。徳島大学大学院医科学教育学部卒。医学博士。 生体防御・感染症代謝を専門とし、ミトコンドリアの活性化、インフルエンザの重症化等を研究。第一三共ヘルスケア株式会社、SBIアラプロモ株式会社など、複数の大手製薬企業で商品の開発・改良に参加。知財として価値の高い複数の特許を取得。 2017年、認知症協会理事に就任。以後、認知症予防に関する講演・執筆活動を行う。2018年より一般の読者向けに無料メール(LINE)マガジンを開始し、現在の購読者は80,000人超え。著書「認知症にならない最強の食事」。

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