認知症になりたくなかったら今すぐパンをやめましょう

認知症の危険因子 認知症予防法

認知症になりたくなかったら、今すぐ小麦をやめなさい?!〜グルテンがあなたの脳を破壊する仕組み〜

認知症のタイプの中でも一番割合が多いアルツハイマー病ですが、

最新の研究でアルツハイマー病は予防が有効な病気だということが次々にわかってきています。

たとえば神経変性疾患の権威であるデール・ブレデセン博士は、

アルツハイマー病の特徴であるアミロイドβという脳のゴミが作られるのは、

脳が脅威にさらされた時である、としています。

では脅威とは何か?

ということですが、大きく3つに分けられます。

1、炎症

2、酸化

3、栄養不足

です。

特に炎症は外敵に対する体の防御反応ですが、外敵が常に押し寄せている状態だと、脳もダメージを受けます。

この外敵とは、傷による細菌感染だけでなく、ストレスや睡眠不足なども含まれますが、

その中でも最も身近でかつ、脳にダメージを与えるような炎症を引き起こすものは、私たちが日々口にしている食べ物です。

 

そんな食べ物の中でも、今回は認知症になりたくなかったらいいますぐやめるべき食材である小麦について、

解説していきます。

ぜひこの記事をお読みいただき、パンや麺類を食べるたびに思い出してもらえれば幸いです。

体を壊す、小麦の怖さとは?!

小麦が含まれる食品としては、いつでもどこでも手に入るパンが代表的ですが、

そのほかにも日本人の大好きな麺類やお菓子や、

加工肉、アイスクリーム、調味料、増粘剤、乳化剤などの添加物としても配合されています。

小麦の中に成分で問題となるのは、グルテンというタンパク質です。

グルテンは主に、弾力のあるグルテニンと、伸びをよくするグリアジンが結びついたものです。

小麦に水を加えて練ったときにできるグルテンは、麺やパンのふわふわ感、もちもち感となり、食感がブームとなる日本人には欠かせない食材と言えるでしょう。

しかし、このグルテンが実は私たちの体を破壊している可能性が高いことがわかってきました。

グルテンはあの粘りのおかげで単純に消化しにくい、ということだけでなく、

認知症につながる大きな問題を抱えています。

その問題点は、大きく以下の4つがあげられます。

1、腸漏れを起こす

2、血糖値を上げる

3、中毒性がある

4、農薬や添加物の問題

 

では、順に説明していきましょう。

グルテンは腸に穴を開け”漏れ”を引き起こす

私たちが日々使っているスーパーでも、グルテンフリーの食品を置く店が増えてきました。

グルテンが体に悪いというのは、なんとなく聞いたことがある方も多いかと思います。

グルテンが体に対して一番大きな悪影響を及ぼすのは、

グルテンが腸に穴を開け、腸から異物の侵入を許してしまうからです。

この腸に穴が空いてしまい、本来入るはずのないものが体に入る状態を「リーキーガット(腸漏れ)」といいいます。

このリーキーガットの状態は、程度の差こそあれ、日本人の約7割以上が陥っているとされています。

リーキーガットを引き起こすのは、グルテンの分解物の特にグリアジンで、

グリアジンが腸の壁を作っている細胞にくっつくと、細胞にゾヌリンというタンパクを作らせるような刺激を与えます。

作られたゾヌリンは、それ自体がまた細胞に刺激を与え、

通常はぴったりとくっついていた腸の細胞同士を離して、”あな”を作ります。

Zonulin and its regulation of intestinal barrier function:The biological door to inflammation, autoimmunity, and cancer.
Phisiol Rev. 91: 151-175 (2011)

この穴から漏れ出るのは、未消化の食べ物や、腸内細菌、病原体や毒素など、本来は体内に入ることのなかったものです。

このような異物が体内に入ると、体は侵入者とみなして攻撃します。

これが免疫反応であり、炎症の引き金となります。

血流にのった異物は、全身で炎症を引き起こし、炎症で作られた炎症性サイトカインは、脳のバリアもゆるくします。

そして脳にまで異物が流入し、炎症を起こし、アミロイドβが過剰に作られる原因となります。

リーキーガットを引き起こす原因は小麦だけではありません。

乳製品や、トランス脂肪酸、糖質、加工食品、殺虫剤、アルコール、抗生物質、ステロイド、抗炎症剤、ストレスなどたくさんあります。

ただその中でも、腸に穴をあけ、さらに分解されにくいためにそれ自体が未消化物という異物になり、炎症を引き起こす小麦は、まず避けるべき食材といえます。

甘いパンでなくても要注意!パンは血糖値を急激に上昇させる

例えば食パンは、白米よりも「GI値」が高い食べ物です。

GI(グリセミック・インデックス)値は、食品中の炭水化物50gを摂取したときの血糖値上昇の度合いを、ブドウ糖を基準とした相対値で表したものです。

食パンも白米もほぼ炭水化物ですので、同じ量を食べれば食パンの方が血糖値を上げるということになります。

ただの食パンでも血糖値をあげやすいので、砂糖がたっぷり入った菓子パンなどはさらに血糖値をあげやすく、なおさら危険です。

血糖値が急激に上がると、上がりすぎた血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが膵臓のβ細胞から大量に放出されます。

インスリンに反応した細胞は血液中の糖分であるブドウ糖を取り込んで血糖値を下げようとしますが、

あまりにインスリンが多く流れると、細胞はインスリンに対して反応しなくなります。

これをインスリン抵抗性といいます。

インスリン抵抗性は、細胞にブドウ糖を取り込む反応を鈍らせるだけでなく、インスリンがもつ脳の神経細胞であるニューロンを保護するような作用も鈍らせます。

Protection of synapses against Alzheimer's-linked toxins:insulin signaling prevents the pathogenic binding of Abeta oligomers : Proc Natl Acad Sci USA. 106(6): 1971-6  (2009)

この作用に対してもインスリンが常に多くあると、反応が鈍くなり、神経細胞を守れなくなります。

さらに、血糖値が下がり、仕事を終えたインスリンを分解するために出るIDE(インスリン分解酵素)は、アミロイドβも分解することが知られています。

Characterization of insulin degrading enzyme and other amyloid-β degrading proteases in human serum: a role in Alzheimer's disease? : J Alzheimers Dis. 29(2): 329-40 (2012)

インスリンが多くあると、IDEはこちらに手を取られてしまって、アミロイドβが分解されにくくなる、ということが起きます。

これがインスリン抵抗性によってアミロイドβが蓄積する理由の1つです。

血糖値が急激に上がることの害はまだまだあります。

血糖値が上がった状態が続くと、糖は体中のいろいろな物質とくっつき、最終糖化産物(AGE)を作ります。

AGEは体がサビる原因となり、いたるところで酸化と炎症を起こす原因となります。

パンは血糖値を急激に上げ、炎症をひきおこし、アミロイドβがたまる環境を作ると説明しました。

これはパンだけではなく、餅やうどんでも同じことが言えます。もちろんパンを米粉のパンにしても危険性は変わりません。

 

「パンが好き」は依存症を起こしている?!

パン屋さんの前を通ると小麦とバターの混ざった幸せな匂いがします。

この匂いでついついお店の中に入る方も多いのではないでしょうか?

パンやラーメンを食べる人の中には、食べると幸福感が増し、さらに食べたいという食欲も増す人がいます。

これがグルテンのもたらす依存性の中毒効果です。

グルテンが分解されるときに作られるグリアドルフィンという物質があります。

この物質は、小さなタンパク質の破片なのですが、簡単に脳のバリアを突破して侵入します。

そして、脳内でオピオイド受容体に結合しモルヒネのような中毒症状を示します。

パンや麺が繰り返し食べたいと思う欲求は、実はこの中毒作用からきている可能性が高いのです。

さらには精神的な不安定さや神経障害が引き起こされるともいわれています。

The opioid effects of gluten exorphins: asymptomatic celiac disease: J Health Popul Nutr : Nov 24;33:24 (2015)

ちなみに、グリアドルフィンは脳だけでなく全身でも作用します。

その結果、便秘や排尿トラブル、眠気や吐き気などの消化器症状もあらわれることがあります。

輸入小麦に含まれる禁断の農薬とは?

日本の小麦の自給自足率は約10%ですので、残りは輸入に頼っていることになります。

輸入先は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、フランスなどですが、

アメリカ産とカナダ産のほぼ全てからグリホサートという農薬が検出されています。

グリホサートは、除草剤として使用されている農薬ですが、その毒性についても話題となっています。

例えば、グリホサートは正常な腸内細菌を殺して、病原体を増やし、炎症を起こすことでリーキーガットを引き起こしたり、

脳に酸化ダメージを与えることが知られています。

日本でグリホサートは、農薬残基準値以下なので安全である、と説明されていますが、

少しでも不必要なものは体の中に入れないという選択が正しいと思います。

これは、国産小麦であっても注意が必要です。

なぜなら、「国産小麦」と表示できるのは、50%が国産であれば良いからです。

50%をこえていたら、そのほかは国産でなくても良いことになります。

殺虫剤も問題です。

世界で一番使われている殺虫剤のネオニコチノイド系農薬は、神経障害を引き起こし、記憶などの脳機能低下を引き起こします。

さらに輸入小麦には、ポストハーベスト農薬として防カビ剤などの農薬が使われています。

この洗っても焼いても落とせない農薬まみれの小麦を食べることは、とても脳に良いとは言えません。

その不調は全て小麦のせいかも?!

小麦の問題点を大きく4つ紹介しましたが、これだけでも小麦が全身に悪影響を及ぼすということがよくわかります。

ですので、認知機能の低下だけでなく、自己免疫疾患から日頃のだるさなどの不調まで、なんらかの形で小麦が関与している可能性が否定できません。

もし何か体調に悩みがありそれが継続しているなら、小麦をやめてみることをおすすめします。

例えば、

・便秘しやすい

・お腹周りが太りやすい、膨満感がある

・食後だるくなる

・食後に眠気が襲う

・原因不明のかゆみがある

・疲労感、倦怠感

・慢性鼻炎・喘息

・アレルギー

説明した通り、小麦には中毒性があり、さらに中毒性のある砂糖入りのパンをやめるのはなかなか大変だと思います。

全く食べてはいけない、とまでは言いませんので、せめて

・食べる頻度を減らす

・パン屋さんで良質のパンを買って食べる

この2点を意識してみてください。

良質のパンというのは、国産小麦や有機酵母など、こだわりのあるパンという意味です。

小麦を食べながらリーキーガットを防ぐにはどうしたらいいですか?

とか、ついついコンビニでパンを買ってしまいますがどうしたらいいですか?

という質問は多いですが、まずは自分をコントロールすることは認知症予防には大切ですので、

知っておいてください。


今回は小麦のグルテンを取り上げましたが、小麦と同じようにリーキーガットを引き起こし認知症予防には避けたほうがよい食品があります。

それが牛乳です。

牛乳についてはまた別の記事でまとめます。

  • この記事を書いた人

山根一彦 医学博士

一般社団法人認知症協会理事。徳島大学大学院医科学教育学部卒。医学博士。 生体防御・感染症代謝を専門とし、ミトコンドリアの活性化、インフルエンザの重症化等を研究。第一三共ヘルスケア株式会社、SBIアラプロモ株式会社など、複数の大手製薬企業で商品の開発・改良に参加。知財として価値の高い複数の特許を取得。 2017年、認知症協会理事に就任。以後、認知症予防に関する講演・執筆活動を行う。2018年より一般の読者向けに無料メール(LINE)マガジンを開始し、現在の購読者は80,000人超え。著書「認知症にならない最強の食事」。

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