16万人の認知機能テストの結果、50歳から徐々に認知機能が低下していくことがわかりました。しかし、テストの結果に現れる前から、認知機能の低下の原因は育っています。気になった今からが予防の始まりです。

認知症の基礎知識

認知症・MCI早期発見テストの受検者は予防のために年々増加。さてその結果は??

認知機能は50歳頃から徐々に低下、55歳から明らかに低下する

株式会社エス・エム・エスが提供する「認知機能チェック」というテストがあります。

このテストは、認知症になる前の軽度認知障害(MCI)で起こる認知機能の低下を数値化して測定し、予防や対策に繋げていけるようにと開発されたものです。

認知機能チェックの受験者数は年々増加しているそうです。

認知症に対する知識と早期対策の重要性が浸透してきた証拠だと理解できます。

そして最近のニュースですが、受検者数は16万人を突破したとのことです。

認知機能をテストする方法の中身は?

認知機能をテストする問題は、数多く出されています。

内容は、

  1. 12個程度の絵を覚えられるかどうか。(手がかり再生)
  2. 今日の日付、自分の誕生日や配偶者の誕生日など、時間を覚えているかどうか。(時間の見当識)
  3. 似たような絵の中から該当のものを分けられるかどうか。(識別)
  4. 数字の羅列から指定された数字に斜線を引けるか。(介入課題)
  5. 時計の絵を描いてしてされた時間をかけるか。(時計描写)

などがあります。

これを組み合わせたり絵を変えたりして、総合的に判断します。

高齢者の運転が最近問題になっていますが、75歳以上の運転手の免許更新時にもこのようなテストが行われます。

運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、高齢者講習の前に認知機能検査を受けなければならないこととされています。
認知機能検査は、運転免許証の更新期間が満了する日の6月前から受けることができます。
認知機能検査の対象となる方には、運転免許証の更新期間が満了する日の6月前までに認知機能検査と高齢者講習の通知が警察から届きます。(警察庁ホームページより)

認知機能テストで見えてきた、16万人の受検者の結果は?

65歳以上の高齢者の認知症患者は、2025年には約700万人を超え、高齢者の5人

に1人が認知症になると予想されています。(内閣府「平成29年版高齢者社会白書」)

医学的に認知症にならないとはっきり証明されている手段はないが現状です。

しかしそれは、個人個人によって足りない栄養や、食事、ストレス、睡眠等がバラバラであり、さらに何をしたから認知症にならなかったという、というような試験が現実的に難しいことにあります。

事実として、認知機能テストのスコアを上げるということはできます。

そこから考察するに、認知機能は鍛えれる可能性は 充分にあります。

そしてこのテストの結果ですが、

認知機能は50歳頃より徐々に低下、55歳から明らかな低下傾向にあることがわかったそうです。

認知機能テストの結果から見えること

この結果から、まずはテストの受検者が増えているということで、

認知症に対する理解が広まっているということが伺えます。

日本政府でも、認知症施策推進関係閣僚会議が設置され、平成30年の12月25日には初会合が開かれました。

認知症になっても地域で安心して暮らせる共生社会の実現と予防を「二本柱」として推進する方針を確認しました。

先進国ではすでに国家戦略を策定して認知症の予防が国をあげて進められています。

日本もそれに続いて本格的に認知症の予防と根本的な治療薬の開発を推進していくようです。

この国の流れは世の中の認知症に対する認知度が高くなっていることを示しています。

今年はこの流れはさらに加速するでしょう。

テストの結果明らかになった、50歳から認知機能が低下しているという事実。

老化によるものもありますが、予想よる早いと思った方もいるのではないでしょうか?

それよりも重要なのは、すでに認知機能が低下しているなら、その原因はその前から育っている、ということです。

認知症協会では、40代からの認知症予防を推奨しています。

私は大丈夫、と思っても、今立ち止まって客観的に自分を見つめ直してみましょう。

認知症は誰しもが通る未来です。

理解をしていれば怖さも半減します。

予防すれば発症も遅らせることができます。

認知症予防には何が効果的か?

先ほども言いましたが、現時点で何をすれば認知症を防げる、という確実な方法は医学的にはありません。

ただ、少なくとも健康に良いことが認知症には悪い、ということはまずあり得ません。

認知症予防研究会では、食事、ストレス発散、運動、サプリメント、健康に良いことすべてを総合的に取り入れることをお勧めしています。

認知症について気になった今から、

一緒に考えていけたら幸いです。

  • この記事を書いた人

山根一彦 医学博士

一般社団法人認知症協会理事。徳島大学大学院医科学教育学部卒。医学博士。 生体防御・感染症代謝を専門とし、ミトコンドリアの活性化、インフルエンザの重症化等を研究。第一三共ヘルスケア株式会社、SBIアラプロモ株式会社など、複数の大手製薬企業で商品の開発・改良に参加。知財として価値の高い複数の特許を取得。 2017年、認知症協会理事に就任。以後、認知症予防に関する講演・執筆活動を行う。2018年より一般の読者向けに無料メール(LINE)マガジンを開始し、現在の購読者は80,000人超え。著書「認知症にならない最強の食事」。

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