認知症治療薬、抗認知症薬の実際!認知症で処方される薬の効果は?認知症には大きく4つのタイプがあります。
・アルツハイマー型認知症
・脳血管性認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症
です。
今回は、4つの中で認知症の原因としては約20%といわれるレビー小体型認知症について紹介します。
”幻視”が特徴的なレビー小体型認知症
見えない何かが見えるような言動を度々繰り返す場合、レビー小体型認知症の可能性があります。
認知症はその全ての型がはっきりと解明されてはいませんが、現時点でわかっているレビー小体型の特徴をご紹介します。
レビー小体型認知症とは?
レビー小体型認知症とは、脳の中にレビー小体という変異たんぱく質の塊ができて、それによって脳の神経細胞が壊されることで起こる認知症のことです。
アルツハイマー型認知症では、タウやアミロイドβ等の異常タンパク質が神経細胞を壊すことが原因の一つとされていますが、レビー小体型認知症も似ています。
しかしながら、千葉大学の研究ではレビー小体型認知症でもアミロイドβが溜まることで脳が萎縮する可能性が示唆されており、
アミロイドβの方が脳の萎縮を促進させ、レビー小体は脳の萎縮は起こさないものの、神経細胞を障害して特有の症状を引き起こすという点で違いがあります。
レビー小体は徐々に広範囲に広がっていきますので、さまざまな症状が出るといわれています。
レビー小体型認知症の患者数は、日本で約50万人以上と推定されています。
特に75歳以上で発症することが多いですが、中には30代で発症するケースもあります。
原因ははっきりしていませんが、やはり早期発見、早期治療が大切になります。
レビー小体型認知症の症状とは?
レビー小体型認知症では、特徴的な症状が出ます。そしてこの症状は、常に現れているわけではなく、症状が現れたり消えたりすることも特徴です。
●幻視
レビー小体型認知症の特徴的な症状として、幻視がまず挙げられます。
幻視とは、実際にはいない人が見えたり、小動物や虫が見えたと思い込みます。幻視の出方は様々ですが、特に暗がりで起こりやすくなります。
これは、レビー小体型認知症を発症して視覚認知機能が低下すると、明暗の差や、細かい模様が見えづらくなります。
これに脳は対応しようとするため、本来意識しない陰影や模様が強調され、幻視を作り出すと考えられています。
●レム睡眠行動異常症
レム睡眠というのは、寝ている間も眼球が高速に動いている睡眠のことで、脳は活動していますが、筋肉は緩んでいるので体は動きません。
しかしながら、レビー小体型認知症になると、筋肉がうまく緩まないので脳の活動が筋肉に影響を与えます。
そうすると、夢に合わせて体をジタバタと動かしたり、大声で叫んだりします。
●パーキンソン症状
パーキンソン病は、レビー小体が原因となって起こる病気です。
違いは、レビー小体が発現する場所で、主に大脳皮質に現れるとレビー小体型認知症となり、脳幹に現れるとパーキンソン病となります。
パーキンソン病は、脳から筋肉への指令がうまく伝わらないことで体を動かしにくくなります。
レビー小体型認知症の進行に伴ってパーキンソン症状が出る人が7割ほどいます。
●認知の変動
ぼんやりとした状態とはっきりとした状態を繰り返します。変動する単位は1日のこともあれば数日の周期の変動もあります。
●人物誤認
家族や友人を他の人だと認識するようになるのが「人物誤認」です。
約5割ほどの人に現れるといわれています。
2017年から変わった診断基準
レビー小体型認知症は発見されたのが比較的新しく、詳しい原因やどうしてレビー小体が増えるか、など病気の解明が不十分なのが現状です。
そのため診断も難しく、うつ病などの他の病気と間違えることも多々あります。
レビー小体型認知症は、薬に対する過敏症を伴うため、うつ病の治療薬や、抗精神病薬を服用すると、症状が悪化することがあります。
そのため、これらの薬を服用しても症状が改善しないということで初めてレビー小体型認知症と気づくケースも少なくありません。
知っておきたい診断基準
そんな中、2017年にレビー小体型認知症の診断基準が改訂されました。
認知機能の低下に加えて、
・幻視
・レム睡眠行動異常症
・パーキンソン症状
・認知の変動
の4つの症状のうち、2つ以上があれば「ほぼ確実」と診断されます。
1つの場合でも「疑いあり」となります。
症状のうつ1つと、画像診断で特徴が見られた場合も「ほぼ確実」と診断されます。
診断のために使う画像診断
ちなみに診断するために使われる画像診断ですが、
・ドパミン・トランスポーター・イメージング
神経伝達物質のドパミンの分泌を調ベル検査
・心筋新地グラフィー
心臓の交感神経の働きを調べる検査
・睡眠ポリグラフ
レム睡眠行動異常がある場合に行う検査で、筋肉の低下を伴わないレム睡眠があるかどうかを調べる検査
・SPECT
脳の血流分布を画像化して、血流が低下しているところを調べる検査
が用いられます。
「ほぼ確実」な診断には、症状と、SPECT以外の確認が必要になります。
レビー小体型認知症の治療法は?
レビー小体型認知症は、まだまだその病状の全容が解明されていないため、アルツハイマー型認知症のように根本治療はありません。
わかっていることは、脳内で神経伝達物質であるアセチルコリンが不足していることです。
これは、アルツハイマー型認知症と同様の変化なので、病院で処方される薬もアルツハイマー型認知症の時と同じものになります。
具体的には、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンです。
ただし、保険適応が可能なのは(適応症と認められているのは)、ドネペジルという成分の入ったアリセプト®️のみになります。
(認知症治療薬について詳しくはこちらの記事を参照してください。→認知症治療薬、抗認知症薬の実際!認知症で処方される薬の効果は? )
根本治療は難しいですが、認知症の進行を遅らせたり、現在出ている症状を改善する効果は認められています。
特に幻視に関しては、9割の人が改善しています。
パーキンソン症状ばある人は、パーキンソン病の治療薬を服用することになります。
もちろんこういった薬でもレビー小体型認知症の患者さんは敏感に反応するので注意深く経過を観察する必要があります。
レビー小体型認知症の予防は?
レビー小体型認知症はその全容が解明されていません。
レビー小体が出現する理由や遺伝との関係性、何が有効かもわかっていません。
ですので完全に予防する、治療するというのは現時点では不可能です。
しかしながら確実なことは、症状として発現する前にはタネが育っているということです。
発症年齢としては75歳以上が多いですが、30歳代で発症する例もあります。
決して他人事でなく、いつ自分がなってもおかしくないという事を把握することです。
認知症協会では、すべての認知症予防はストレスを減らした生活、脳に刺激のある楽しみ、バランスの良い食事で脳に栄養を与える事であると考えています。
ストレスは周りの方の接し方も考えて行くべき事です。本人の気持ちになって接してあげるために、症状を理解しましょう。
脳の刺激は色々な方法はありますが、まず楽しめる事、笑顔を引き出しましょう。
バランスの良い食事と栄養は、不安要素があれば認知症予防に効果がありそうなマルチサプリで補って対応しましょう。
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