知能のマネージメントは認知症の悪化を抑制する効果があるかもしれない。

認知症予防法

認知症の悪化と知能の老化のダブルパンチを防げ!知能のマネージメントとは?

認知症になるかならないか、その原因は一人一人によって異なります。

その一人にとっても、原因は1つとは考えにくく、遺伝や生活習慣も含めて様々な要因が積み重なって発症に至る症状だと考えられます。

認知症の要因の中で、誰もが避けては通れない原因である”老化”。

今回は老化がもたらす「知能の老化」について、国立長寿医療研究センターが発表した見解を踏まえて考察してみようと思います。

認知症の悪化と知能の悪化の原因は同一か?

認知症が悪化する要因として、例えば、

配偶者との別れ、施設から病院へ入院が必要になった場合等の周囲の環境の変化がありますが、

その変化がもたらす認知症の悪化の要因は、急激にアミロイドβ等の異常たんぱくが増えるというよりは、環境の変化による本人の気持ちの変化によるところが大きいと考えられます。

ということは、こうした気持ちの変化により認知症の悪化は、

脳の神経細胞の死滅というよりは、思考活動そのものの減退がきっかけとなっている可能性が高いということになります。

これは認知症というより、知能そのものの低下と考えることもできます。

今回の知能の老化については、国立長寿医療研究センターが見解を発表しています。

知能も考える意思がなくなるとともに減退する、認知機能も寿命も然りです。

この対策に知能のマネージメントが必要だとしていますが、これは認知症のマネージメントとも通じると考えられましたので、紹介します。

中高年者の知能の加齢変化

認知症では、その認知機能の低下が問題になりますが、認知機能とは広辞苑の定義を踏まえると、

「視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感を使って、外部の情報を的確に処理し、それを記憶し、推理・判断を加えて処理する機能」

であるといえます。

簡単にいうと、物事を的確に理解・判断して処理する能力ですが、大きく「知能」そのものと考えることができます。

●知能とは?

私たちの日常行動を支える知的な能力全般を知能と言いますが、知能は生きている間に直面する様々な問題や環境の変化に的確に対応できる能力であるとも言えます。

知能には大きく分けて2つ、

・流動性知能

・結晶性知能

の分類があります。

結晶性知能は、今までの経験、教育や学習などから獲得していく知能で、

言語能力、理解力、洞察力、想像力、自制力、社会適応力、コミュニケーション力などがあります。

流動性知能は、新しい環境に適応するために、新しい情報を獲得して処理し、操作していく知能で、

直感力、法則を発見する能力、図形処理能力、処理のスピードなどがあります。

この流動性知能と結晶性知能を相互にうまく使うことで、推理力、判断力、発想力、記憶力、計算能力などが発揮されるのです。

結晶性知能は20歳以降も上がっていき、高齢になっても安定していますが、流動性知能は10歳代後半から20歳代前半にピークを迎えた後は、

どんどん低下していきます。

このように一般的に知能には、加齢に伴って低下する能力だけではなく、低下しない能力もあると考えられています。

●知能の老化

知能は加齢と共にどのように変化するか、という疑問は、心理学や老年学では重要な問いです。

代表的な研究結果として2つ紹介します。両方の実験とも対象者は無作為で患者背景によらないので、認知症とは関係なく、一般的な知能の実験として示します。

・ソルトハウスらの実験

結晶性知能である「語彙力」は、60歳頃まで上昇し、その後もほとんど低下しなかったが、流動性知能にあたる「処理速度」「推論」「記憶」は加齢に伴って直線的に低下していく。

・シャイエらの実験

結晶性知能である「言語能力」は60歳代にピークを迎えるが、その後の低下は80歳代の前半まで非常に緩やかである。

流動性知能を含むその他ほとんどの知能も、55〜60歳頃までは高く維持される。

その後緩やかに低下するが、80歳以降は急激に低下する。

以上2つの実験結果より導かれた、知能全般が60歳頃までは維持されるというのは、現在の学術的に受け入れられている研究結果となっています。

認知症と診断される患者さんの年代は、65歳以上の2%から85歳以上では50%以上になりますので、

知能の低下と認知症の発症(実際はもっと前からタネは蓄積していますが)が悪い相乗効果を生むことは想像できます。

ですので、できるだけ知能を維持することが加速度的に進行する認知症の諸症状を緩やかにする手段になる可能性があると考えられます。

知能のマネージメントの必要性

先ほど説明した知能の加齢変化は平均的な変化ですが、実際は個人個人で状況は異なると考えられます。

年齢を重ねるにつれて積み重なる経験から得た結晶性知能は、人により全く違うと想像できます。

流動性知能も、全員がある年齢になったら一斉に低下するわけではなく、これまた個人の経験的な要素が大きく影響することがわかっているそうです。

では、高齢者の知能の老化に対して悪化を防ぐようにいい影響を与える心理的な特性について国立長寿医療センターの見解を紹介します。

●抑うつ的にならないこと

国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究では、特に高齢期においては、抑うつ状態がある場合に、結晶性知能や流動性知能の低下がより進行することが報告されています。

一般的に、高齢期には、家族や親しい知人との死別や、社会的活動からの引退、身体的疾患などを経験することが多く、抑うつ状態になりやすいですが、

周囲から支えやソーシャルサポートがあれば、あるいは若い頃からの経験から得た危機に面した時の心の強さがあれば、そのような状況に面しても抑うつに至ることなく、

結果として知能の低下も予防できるかもしれない、と結論づけています。

 

そしてその予防策として具体的に、

若い頃から、

❶多様性のある生き方をする。

❷孤立しない人間関係を形成するとともに、自分だけの時間も大切にする。

❸曖昧さに耐える能力を身につける。

❹必要な支えを他の人に求める態度を持つ。

❺過去にこだわりすぎず、今を大切にする。

これらが重要だということです。

このことは、高齢期の知能を、若い頃から将来を見据えて積極的にマネージメントしていく重症性を示していると言えます。

●経験への開放性が高いこと

抑うつの予防に加えて、日々好奇心を高く過ごすことも知能を高く保つために有効ということです。

高齢期の知能の中でも、特に結晶性認知症重要性は多く指摘されています。

例えば、高齢期には、高い結晶性知能を維持することにより、流動性知能など、その他の知能の側面の低下が補われます。

認知症の発症予防には、結晶性知能を十分に維持することが大切です。

経験への開放性が高いと結晶性知能を高く保つことは関連することは報告されていて、経験への開放性を高くすることが高齢期の知能全体をより良く維持することに繋がると考えられます。

 

そして経験への開放性を高くすることについては、

❶中年期から高齢期にかけて経験する、仕事からの引退や子供に自立などの移行期的なライフイベントを新しい経験に挑戦するきっかけとして捉える。

❷好奇心を持って取り組むことのできる活動を見つけること。

❸様々な新しい情報や考え方を取り入れてみる。

これらが重要だと説明しています。

日々の生活で、昨日とは違う今日を興味と発見を持って過ごすことで、

結晶性知能を高め、それが知的能力全体をより良く保つことに繋がるということです。


年齢を重ねてもワクワクする毎日を過ごすことが重要。

今回は、知能の老化とマネージメントについて紹介しました。

何年か前の話ですが、認知症は知能が低下する病気と紹介されていました。

なのでそれを防ぐには、本などで情報を蓄えて、勉強して知能を高めて備えることが重要だとされていました。

知能を高めておけば、それが認知症で減退したとしても、勉強する前のレベルに落ちるくらいだというわけです。

あながち間違ってはいない話ですが、知能を高めるだけでは限界があり、

それよりはポジティブに物事を考える姿勢の方が重要だと考えます。

老化が進み、孤立してく環境に悲観的になるよりも、今しかできないことや今だからこそ楽しめることを積極的に見つけて実行すること。これが知能を若く保って、認知症と老化のダブルパンチを防ぐ方法の1つだということは、疑う余地がないように思えます。

そしてこの考え方は、若いうちから実践する方がより効果的だということも付け加えます。


認知症協会では、様々な知識を発信していきます。

認知症の要因は知能の低下だけではないので、知識だけあっても認知症の発症は防ぐことができないかもしれませんが、

少なくとも積極的に知識を得ようとする姿勢は、認知症予防につながると言えるでしょう。

認知症は予防がすべての病気です。

いいと思ったことは1つでも多く取り入れた方がいいでしょう。

 

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