ストレス前向き対処法コーピングをマスターして認知症対策。認知症予防研究協会

認知症の危険因子 認知症予防法

認知症予防にストレス解消法を会得しよう!前向きストレス解消法、コーピングとは?

認知症予防にストレス対策!体を緩めて心をリラックスさせよう

という記事の中で、ストレス対策で大事な考え方として、

「力まず」「避けず」「妄想せず」という考え方を紹介しました。

これは、認知症のタネを大きくするストレスが心身を侵していくルートとして、生理的ルート、行動的ルート、情動的ルートという大きく3つのルートがあり、それぞれのルートに対する対策を簡潔に表した言葉でもあります。

今回は、「避けず」に注目してストレス対策を考えていきましょう。

ストレスから逃げず、向き合うために

ストレスがたまると、やけ食いややけ酒、衝動買いや派手な旅行などの逃避行動をとることがあります。

これはストレスが病気を引き起こしていくルートの行動的ルートに沿った行動と捉えることができます。

その時はすっきりした気分になり、一時的につらさを忘れるため、こうした行動は癖になっていきます。

しかし、しばらくするとこうした行動は後悔の”タネ”となり、自己嫌悪に陥ったり、さらに違う行動的ルートを探し出したりします。

場合によっては体調を崩したり、経済的な負担が大きくなったりすることもあります。

ストレスを発散しているようで、さらに大きなストレスを産んでいくことは、”負のスパイラル”にはまるよくない行動パターンでしょう。

もちろんストレス発散に美味しいものや好きな場所に行くのはいいことですが、ここでの問題は、”その場しのぎ”の行動をとるという問題です。

根本的なストレスの原因はその場しのぎの行動では解決しないことがほとんどです。

目先の楽しみを手に入れて長期的な苦しみを抱え込む結末を避けるために、前向きにストレスを解消したり、ストレスの原因を減らすことが大切です。

前向きストレス解消法、コーピングとは?

アメリカで考案された「コーピング」という技術をご存知でしょうか?

コーピングとは、自分のストレスを意図的に対処する方法です。”上手に対処する」という意味の英語で、ストレスの対処法として使われるときは、適切な気晴らし、適切なストレス解消法ということになります。

コーピングには大きく分けて、

・問題焦点コーピング

・情動焦点コーピング

の2つがあります。

問題焦点コーピング

「問題焦点コーピング」とは、ストレスを与えるストレッサーそのものを除去する方法になります。

こうなると前向きとも言い難い感じがしますが、ストレスの元を断つことは、逃げることではなく、新しい一歩を踏み出すことだと考えます。

会社でのパワハラがストレスの原因であれば転職する、いじめが原因であれば転校する、老後の2000万円が不安なら今2000万円貯めておく、などなどです。

言ってみれば根本治療になりますので効果は抜群ですが、多くの場合、実現は困難です。

そして時間と費用、時には人の助けがたくさん必要になることもあります。

情動焦点コーピング

「情動焦点コーピング」とは、ストレスの元であるストレッサーに対する認知をかえる、という方法です。

例えば会社でのパワハラがストレスの原因であれば、パワハラする上司は、自分を厳しくも成長させてくれているんだと思う、いじめが原因であれば、いじめてくるということは自分に気があるんじゃないか?とか、老後の2000万円は今から65歳までに不用品を売ったりいろいろチャレンジして貯めよう、とか、少し強引ですがそう考えることでふっと力が抜けることは多々あります。

問題焦点コーピングが達成に難しい場合はこちらの方が簡単にできます。

物事の良い面、自分を成長させてくれる面を見つける努力をすることです。

メリットは何にでもどのような場面でも応用が効くことですが、デメリットは自分自身が納得しきらないと効果が薄いところです。

これは常に物事をいいように転換して考える訓練を続けることで身につきます。

何か嫌だなと思う出来事があっても、嫌だと思うネガティブな感情をフラットな感情、もしくはポジティブで前向きな感情を呼び起こす思考をさっと頭に張り巡らすことで、頭がネガティブに侵されることを防ぎます。

この訓練は認知症だけでなく全ての人生の過程に於いて最もおすすめしてい思考法の1つです。


コーピングの種類を説明しましたが、

大きくここではポジティブなストレス解消法全般をコーピングとします。

自分なりのコーピング法を書き溜める

そうは言っても情動焦点コーピングはなかなか難しいと感じると思います。

やはりストレスは何か好きな行動で発散した方がすっきりするだろうと考える人も多いはず。

そういう場合には、ストレスで起こした行動が心身に悪影響なく気分転換などの良い方向にだけ向かわせる必要があります。

その方法としておすすめなのが、ストレス発散方法を「あらかじめ考えて書き留めておく」ことです。

ストレスがたまった状態では、精神的に余裕がなく、なんとか対処しようと思ってもなかなか良い方法が思い浮かびません。そのため、やけ食いなどその場しのぎの方法を繰り返し、後で落ち込むという悪循環になります。

そうした状態にならないためにも、元気なうちから自分にとってのストレス解消法、コーピング法をあらかじめ考えておきます。

旅行に行く、好きなカフェに行く、景色の綺麗なところに行く、好きな趣味をやる、運動をする、好きなことならなんでもいいでしょう。

できるだけたくさんのコーピング法を考えておくことが大切です。箇条書きにしてコーピングリストを作っておくのもいいでしょう。

コーピングを考えるときのコツは、後で後悔しない「自分のためになる行動を選ぶ」ことです。また、「行動を細分化する」のもリストを増やすコツです。

コーピングは多ければ多いほどそのときのストレス度合いによって選ぶことができます。

そして実際試してみたら、その結果も書き留めておくと便利です。

コーピングリストのポイント

  1. 実行した後自分のためになる行動をする。逆に言えば、後で後悔したり、健康を害する行動をしない。
  2. 細分化して増やす。例えば、「掃除をする」ことがストレス発散になるのなら、掃除する場所も細かく分ける。
  3. 実際に試してみる。ストレスがたまってきたらコーピングリストから選んで実行する。効果の有無も後で振り返る。

いかがでしたでしょうか?

ストレスを軽減したりリラックス効果のある食品、成分、香り等、もたくさん出てきていますので随時それらも紹介してきたいと思います。

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  • この記事を書いた人

山根一彦 医学博士

一般社団法人認知症協会理事。徳島大学大学院医科学教育学部卒。医学博士。 生体防御・感染症代謝を専門とし、ミトコンドリアの活性化、インフルエンザの重症化等を研究。第一三共ヘルスケア株式会社、SBIアラプロモ株式会社など、複数の大手製薬企業で商品の開発・改良に参加。知財として価値の高い複数の特許を取得。 2017年、認知症協会理事に就任。以後、認知症予防に関する講演・執筆活動を行う。2018年より一般の読者向けに無料メール(LINE)マガジンを開始し、現在の購読者は80,000人超え。著書「認知症にならない最強の食事」。

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