認知症には大きく4つの種類があります。
(詳しくはこちらの記事を参照してください。
認知症の4つの種類を解説。認知症の原因は発症の25年も前から育っていた!)
一番多いのがアルツハイマー型認知症、次に多いのが脳血管性認知症です。
脳血管性認知症は、脳の血管が詰まることによって、脳の神経細胞に必要な酸素と栄養が送られなくなり、脳がダメージを受けて、認知機能に障害が起こり、発症します。
今回はこの脳の血管が詰まる原因の1つである「ラクナ梗塞」について解説します。
症状がない?!ラクナ梗塞を見逃さない!
ラクナ梗塞は、脳の細い血管が詰まることで起こります。
そのため症状が現れにくく、放っておかれがちですが、
多発すると認知症が発症する確率が格段に上がりますので注意が必要です。
ラクナ梗塞とは?
脳の深い場所に発生する直径15mm以下の小さな脳梗塞を「ラクナ梗塞」と言います。
脳の奥には、太い血管から細く枝分かれした「穿通枝(せんつうし)」という細い血管があります。
この穿通枝の抹消が詰まるのがラクナ梗塞です。
発症は、高齢者や男性に多いという傾向があります。
脳の太い血管が詰まる脳梗塞だと、脳の神経細胞が広範囲にダメージを受けるため、
麻痺などの歩行障害や、ろれつが回らないなどの言語障害など、さまざまな症状が現れます。
しかしながらラクナ梗塞は、ダメージを受ける範囲が小さいため症状が現れないことが多く、「無症状性脳梗塞」とも呼ばれています。
つまりは、ラクナ梗塞は、
それがおこっていても気がつかない場合が多い、
ということです。
ラクナ梗塞を放っておくと?
症状が現れなければ放置すればいいというものではありません。
そのままにしておくと、本格的な脳梗塞や脳出血を発症したり、
果ては認知症の発症リスクを大きくあげることがわかっています。
ラクナ梗塞の発症原因は?
ラクナ梗塞ができる原因さまざまです。
例えば、
- 加齢
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 慢性腎臓病
- 飲酒
- 運動不足
- 喫煙
- 肥満
- ストレス
- 家族歴
などなど、生活習慣病を中心に多岐にわたります。
つまりは体に悪い習慣全てが原因になり得るということですが、
特に注意すべきなのは、”高血圧”です。
高血圧状態が長く続くと、穿通枝の末梢で動脈硬化が進行し、ラクナ梗塞が発症しやすくなります。
そのほかにも、「脳卒中ガイドライン2015」によれば、
生活習慣から引き起こされる2型糖尿病がある人の3〜6割、慢性腎臓病のある人の4割にラクナ梗塞が起こっていたと報告されています。
ラクナ梗塞はどうやって発見できる?
ラクナ梗塞は、MRI検査で発見できます。
自覚がないことが多いので、ほとんどが人間ドックで偶然に発見されるケースです。
上記の発症原因に複数心当たりがある方は、MRI検査を受けてみてはいかがでしょうか?
MRIで脳の画像をみると、梗塞があれば白っぽく見えます。
大きな梗塞があると白い範囲が広く見えるので、あっと驚くことも多いです。
ラクナ梗塞の悪化を防ぐには?
ラクナ梗塞対策でまず重要なのは、血圧の管理です。
具体的な数字でいうと、
上の血圧が120mmHg未満で下の血圧が80mmHg未満の場合に比べて、上の血圧が140mmHg以上で下の血圧が90mmHg以上だと、ラクナ梗塞も含めた脳卒中全体の発症率は3倍になることがわかっています。
ちなみに上の血圧が120mmHg未満で下の血圧が80mmHg未満の60歳以上の人で、脳卒中の発症率は0.73%だったのに対し、上の血圧が140mmHg以上で下の血圧が90mmHg以上の人では2.38%に増えていました。
さらに上の血圧が180mmHg以上でで下の血圧が110mmHg以上になると、6.17%にまで上がることが報告されています。
(Arima H, et al. Arch Intern Med. 2003)
血圧を低くコントロールするには、日本人は何と言っても”減塩”です。
具体的な減塩については、
認知症予防に減塩のススメ。まだまだ日本人は塩分過多だった!?
を参照してください。
そのほかには、禁煙、お酒を控える、有酸素運動も効果的です。
数値が高すぎる場合は、病院で降圧薬を処方してもらい、適切に服用しましょう。
DHA・EPAなどのオメガ脂肪酸も血液の流れをよくするのでおすすめです。
まずは血圧をいつでも測定できるように、血圧計を備えるのもいいですし、ドラッグストアや薬局など、近くに血圧計が置いてあるところを日頃から活用しましょう。
病院に行くと緊張して血圧が高くなる(白衣高血圧という)ので、より正確なリラックス時の血圧を測れるようにしましょう。
ラクナ梗塞の多発で発症する認知症は脳血管性認知症
冒頭にも書きましたが、大きく4つある認知症の種類の中で、2番目に多いのが脳血管性認知症です。
1番目に多いアルツハイマー型認知症は、認知機能の低下は徐々に進行していきます。
それに対して脳血管性認知症は、症状が”まだら”に現れるので、
症状に波がある認知症として「まだら認知症」と呼ばれることもあります。
具体的な症状の例としては、
- 時系列に関係なく、好きなことは覚えているのに、興味のないことは全く覚えていない。
- 朝は自分で着替えることができなかったが、夕方になると一人で着替えができる。
など、記憶力の低下もまだらで、判断力や知識は衰えていない、ということが多く見られます。
その他に脳血管性認知症の症状には、記憶障害以外に、歩行障害や転倒、頻尿や尿意切迫、体の麻痺、些細なことでもすぐ感情が面に出る「感情失禁」などがあります。
早期発見には、本人とその周りの方が、それらの症状を見逃さないことが大切です。
脳血管性認知症は予防できる
ラクナ梗塞は、脳血管性認知症の原因の1つであると紹介しましたが、ラクナ梗塞は、高血圧をはじめとする生活習慣の乱れをきっかけとしていることも説明しました。
ということは、
ラクナ梗塞は予防が可能であり、脳血管性認知症は十分に予防が可能な認知症ということになります。
もちろん
減塩をはじめとする血圧コントロール、
タバコを吸わない人でも副流煙もできるだけ吸わないようにする、
お酒はたしなむ程度にとどめる、
健康的な食生活をおくる、
適度な運動をする、
良質な睡眠を確保する、
などなど、
予防のために実践できる方法は数多くあります。
もちろん全ての生活習慣をすぐに改善するのは難しいため、少しづつ良い方向に意識的に選択するようにしましょう。
血液の流れを良くして、ビタミンも補えるサプリメントの服用も推奨されます。
医薬品になると、効果はシャープですが、副作用の確率も高くなりますし、長期的にみると悪いことも多いのが実情です。
効果がマイルドでも安全に服用できるサプリメントは将来的な認知症のリスクを大幅に低下させることが期待できます。
このほかにも、自分の症状に合わせて適切に足りないものを補充していきましょう。
起きている可能性があります。
認知症の患者さんでは大多数が発症しています。
日常生活で少しでも違和感を感じたら、早めに専門医に相談しましょう。
認知症予防のヒントも多数書いています。
ぜひ読んで見てくだい。
↓↓↓