良質な睡眠は認知症予防に欠かせないことは周知の事実です。
睡眠は脳の疲れをとり、ストレスをとり、脳のゴミまで排出する。
自分の睡眠が適正かどうかを是非チェックしていただきく今回ご紹介するのは、睡眠時間は確保できているのに病的に睡眠がとれない「睡眠時無呼吸症候群」についてです。
睡眠時無呼吸症候群は、生活に支障を及ぼすだけでなく、高血圧や糖尿病などの病気のリスクを高めます。
睡眠時無呼吸症候群の可能性がある場合は、すぐに医療機関で治療をすることが大切です。
認知症の発症リスク、睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群とは、
「睡眠中に呼吸が10秒間以上続けて止まる無呼吸を繰り返す病気」です。
日本での罹患者は、200万〜300万人ともいわれていますが、
文字通り睡眠時に起こる病態なので、自分自身で気づくことは難しい疾患です。
睡眠時無呼吸症候群があると?
睡眠時無呼吸症候群があると、熟睡ができません。
そのおかげで日中の眠気や疲労感が出やすくなり、集中力や注意力が低下します。
睡眠時無呼吸症候群のある人は、健康な人に比べて、
交通事故の発生率が約2〜3倍高いというデータもあります。
交通事故は寝不足による集中力の低下等、直接的な原因で起こりますが、間接的に他の病気の引き金になることも報告されています。
重症の睡眠時無呼吸症候群がある場合は、健康な人に比べて、
脳卒中は約3.3倍、高血圧は約2.9倍、糖尿病は約1.6倍なりやすいとの研究結果も出ています。
睡眠時無呼吸症候群が病気を引き起こすのはなぜか?
睡眠時無呼吸症候群は文字通り無呼吸の状態が続くわけですので、酸素不足の状態に陥ります。
その状態から通常の呼吸に戻ると、過剰な酸化ストレスが起きて、脳などの血管にダメージを与えます。
アスリートの高地トレーニングに似たような状態です。
低酸素トレーニングは酸化ストレスの増大により免疫系に影響が起き、感染症を発症するケースががることが報告されていますが、抗酸化食品やサプリメントが一定の効果があることも報告されています。
睡眠の質や量が低下すると、血糖が高くなり、酸化ストレスによってインスリンの働きが悪くなったりすることで糖尿病が発症酢やすくなるといわれています。
睡眠時無呼吸症候群の2つタイプとは?
睡眠時無呼吸症候群は、大きく2つのタイプがあります。
「閉塞性睡眠時無呼吸」と「中枢性睡眠時無呼」です。
閉塞性睡眠時無呼吸
通常、健康な人でしたら睡眠時も気道は確保されていて、睡眠時も呼吸ができています。
閉塞性睡眠時無呼の場合は、喉の奥の軟口蓋や舌の根元が喉の奥に落ち込んでしまってこの気道を塞いでしまうため呼吸が止まります。
この閉塞性睡眠時無呼吸の主な原因は肥満です。
物理的に喉が閉塞することで起こるので、舌の根元や喉の周りに脂肪がついているとそれだけ気道が狭くなり、無呼吸が起こりやすくなります。
これには人種も関係しています。
日本人は欧米人に比べてもともとあごが小さいため、もともと気道が狭いことも関係しています。
さらに近年は食の欧米化でさらにあごが発達せずさらに小さくなっている傾向にあります。
気道が狭くなると、空気が通るたびに軟口蓋や下の根元が振動し、いびきが出るようになります。
睡眠時無呼吸があると、大きないびきをかく場合が多く、これが気道が狭くなっているサインになります。
中枢性睡眠時無呼吸
私たちは意識せずとも自然に呼吸ができますが、実は呼吸は脳から指令が来て行われています。
その呼吸のための指令を出すのが脳の呼吸中枢です。
呼吸中枢は、血液中の二酸化炭素濃度が高くなると呼吸をするように指令を出します。
この仕組みがうまく働かなくなるために起こるのが、中枢性睡眠時無呼吸です。
呼吸中枢の働きを妨げる原因になるのが、心不全や脳卒中、腎不全などの病気です。
例えば心不全が起こると、肺うっ血となり、肺に血液が溜まることがあります。
肺うっ血になると肺は過呼吸を起こし、血液中の二酸化炭素が減るため、呼吸中枢がうまく働かなくなります。
心不全を持つ人の約30%に中枢性無呼吸があるというデータがあります。
逆もまた然り、です。
閉塞性と中枢性睡眠時無呼吸の見分け方は?
閉塞性睡眠時無呼吸と中枢性睡眠時無呼吸は見た目ですぐに違いがわかります。
見る場所はお腹です。
無呼吸の間も呼吸をしようと胸やお腹が動くことを「呼吸努力」と言いますが、
閉塞性睡眠時無呼吸の場合は呼吸努力が見られますが、中枢性睡眠時無呼吸の場合は脳からの指令自体がストップするために、胸やお腹はほとんど動きません。
睡眠時無呼吸症候群の検査方法は?
もし自覚があったり、自覚がなくても家族に心配されるような状態の時はどうすればいいでしょうか?
簡易無呼吸検査法
まずは専門の医療機関を探しましょう。
そうすと、まずは「簡易無呼吸検査法」を実施することになります。
医療機関から貸し出されることがほとんどですが、血液中の酸素濃度や脈拍を調べるセンサーを指先に、呼吸を調べるセンサーを鼻につけて、睡眠中の呼吸の深さや無呼吸状態があるかを調べます。
この検査で、呼吸が浅かったり、無呼吸があった場合は、入院にて精密検査が行われます。
ちなみに呼吸の深さが通常の半分いかになる浅い呼吸のことを「低呼吸」と言います。
精密検査
入院での精密検査では、全身約20ヶ所にセンサーなどをつけ、終夜睡眠ポリグラフ検査が行われます。
この検査でわかることは、睡眠時無呼吸の重症度です。
脳波、眼球運動、筋電図から睡眠時間の深さ、口と鼻の気流、胸やお腹の動き、いびきから呼吸の状態を調べます。
重症度の判定は、無呼吸と低呼吸が起こった1時間当たりの回数で決定されます。
- 軽症・・・5〜15回未満
- 中等度・・15〜30回以上
- 重症・・・30回以上
となります。
睡眠時無呼吸症候群の治療は?
閉塞性か中枢性かのタイプによって治療方法が異なります。
閉塞性睡眠時無呼吸の治療
軽症の場合にまず検討することは、生活習慣の改善になります。
閉塞性睡眠時無呼吸の主な原因は肥満ですので、肥満のある人は減量が必須となります。
その他にも、飲酒によって舌や気道の周りの筋肉が緩み、気道が塞がりやすくなるため、特に寝る前の飲酒は控えるように指導されます。
中程度になると、マウスピースの導入が検討されます。
マウスピースの役割は、歯医者で使う歯の矯正の意味合いでなく、あごの位置を前にずらして、舌の根元が落ち込んで気道が塞がることを防ぐことにあります。
重症の場合は持続性陽圧呼吸療法(CPAP:シーパップ)による治療が検討されます。
自宅でやるにしては大掛かりな装置になりますが、鼻を覆うマスクを装着し、一定の圧力で空気を送り込むことで気道が塞がるのを防ぐ効果があります。
中枢性睡眠時無呼吸の治療
中枢性睡眠時無呼吸を引き起こしている原因によって治療方法は異なります。
大切なのは、原因となっている病気の悪化を防ぐことですが、心不全の場合は薬物療法が検討されます。
もちろん生活習慣の改善、減塩、禁煙はまず必須になります。
重症の場合は保険適用で夜間在宅酸素療法が検討されます。
鼻にチューブを装着して、高濃度の酸素を送り込み、酸素不足を解消します。
今回は睡眠時無呼吸症候群について紹介しました。
睡眠は認知症の脳になることを回避するには必須の行為です。
睡眠時無呼吸は自分ではわかりづらいので、周りの方にも協力してもらってチェックして見てください。
特に悩みがない方も、日中はしっかり体を動かして、夜はしっかり休んで脳を休めましょう。
他にも無料でダウンロードできる書籍には、脳のゴミを排出して健康な脳を作るヒントが書いてありますので是非ご覧ください。
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