認知症予防に良い成分

認知症予防に効果的は飲み物を解説。食事とともにLet's 飲みにケーション!!

普段の生活の中で、必ず口にする飲み物。

食事中に飲んだり

仕事や家事の合間のホッとひと息つきたい時に飲んだり

気の合う仲間と飲んだり

身体を温めたい時、冷やしたい時に飲んだり

美容のために飲んだり・・・

飲むシチュエーションや飲む量は人それぞれ違いますが、私たちの生活に飲み物は切っても切り離せません。

そんな飲み物の中にも、認知症予防に効果が期待できるものがあります。

今回は認知症予防に効果があると言われている

緑茶、ブラックコーヒー、赤ワイン、100%生ジュース(野菜・果物)

について解説していきます。


《緑茶》の成分といえば茶カテキン。カテキンで活性酸素を消去しよう!

日本人にもっとも馴染みの深いお茶と言えば緑茶。

新茶を飲むとその年は無病息災で過ごせると言われていますが、様々な効用があることが知られています。

緑茶の成分であるカテキンは、口臭・体臭予防など臭いに作用する成分として有名ですが、

老化や動脈硬化・生活習慣病の原因となる活性酸素を抑制する抗酸化作用もあります。

そして、この抗酸化作用をもって認知症の予防効果が期待できることもわかってきました。

『緑茶または紅茶を、週4回以上飲んだ人は飲まない人と比べて認知機能の低下が37%低く抑えられた(UCLAの研究より)。』

『緑茶を毎日飲む人は、緑茶を全く飲まない人と比べて認知症あるいは軽度の認知障害にかかるリスクが7割も低い(金沢大学大学院脳老化・神経病態学神経内科学の山田正仁きょうじらの調査)。』

なお、緑茶は全く発酵させずに作る不発酵茶なので、

紅茶・ほうじ茶・ウーロン茶に比べてカテキンがたくさん含まれています。

また、緑茶でも煎茶や番茶、玉露などの種類がありますが、

それぞれカテキンの含有量が違います。

煎茶12%

番茶10%

玉露9%

高級な玉露よりも一般的に飲まれている煎茶の方がカテキンの含有量が多いんです。

ウーロン茶7%

ほうじ茶2%

紅茶2%

カテキンが認知症予防に効果がありそうなことはわかりました。

けれども、認知症予防のためだからとガブ飲みするのはちょっと待ってください。

カテキンを摂取するためのお茶選びは、ただカテキンの含有量の多さだけをみて選べばいいというわけではありません。

お茶にはカテキン以外にも様々な成分が含まれているので、

他の成分もよくチェックして選ぶ必要があります。

選び方の1つに、カフェインの量を見る方法があります。(150mlあたり)

玉露180mg

紅茶50~80mg(抽出時間によって異なる)

煎茶30mg

ほうじ茶30mg

ウーロン茶30mg

番茶15mg

カフェインが苦手だったり避けたい人は、カフェインの量は少なくてカテキンの量が多い番茶を選ぶのがいいでしょう。

また、昼間は煎茶や玉露など好きなお茶を楽しんで、夜は睡眠の妨げにならないように番茶を飲むようにしてもいいかもしれません。

睡眠の質は、脳にとってとても重要です。

カテキンを摂取したいからといって、カフェインの影響で睡眠不足になっては本末転倒です。

※カフェインも認知症予防に効果が期待できると言われているので、カフェインを多く摂取しても、特に睡眠や体調などに影響のない方は気にせずに飲んでもかまいません。

そして、カテキンを効果的に摂り入れるためにカテキンの性質をうまく利用しましょう。

カテキンは、ポリフェノールの一種で、水に溶けやすい性質をもっています。

そのため、一度にたくさん摂取しても外に出てしまいます。

また、効果も2~3時間しか続きません。

一度にたくさん飲むよりも、少量を何度かに分けて飲む方が効果的にカテキンを摂り入れることができます。

《ブラックコーヒー》のポリフェノールとカフェインのダブルパンチ!

「カフェイン」というとコーヒーを思い浮かべる人が多いと思いますが、最近コーヒーを飲むと認知症のリスクが下がる可能性があることが示されています。

コーヒー好きな方は嬉しい効果ですね。

『中年期にコーヒーをたくさん飲んでいた人は、将来認知症を発症する確率が65%も低かったとされています(フィンランドの調査)』

『コーヒーを1日3杯飲む高齢者の認知機能の低下がもっとも小さく、逆にコーヒーを飲まないという高齢者の中には認知機能の著しい低下が見られる人が多かった(オランダ国立公衆衛生環境研究所)』

コーヒーに含まれるクロロゲン酸というポリフェノールの効果と、カフェインが認知症予防に効果があるようです。

マウスを使った実験で、カフェインの投与によって脳内での老人斑形成が抑制されるというと結果も得られているそうです。

ただ、アルコールに弱い人がいるようにかふに弱い人もいます。そういう人は無理にコーヒーを飲む必要はありません。また、カフェインの過剰摂取はカフェイン中毒を起こす恐れがあるので気をつけましょう。

以下がカフェイン中毒の症状です。

エネジードリンクの飲み過ぎで死亡例もあるのでコーヒーとの飲み合わせも特に注意が必要です。

・手足の震え

・動機

・めまい

・吐き気

・胃痛

・頭痛

・夜、目が冴えて眠れなくなる

・気持ちが不安定になる

・集中力がなくなる

・イライラする

《赤ワイン》のレスベラトロールで認知症のみならず高血圧も予防!

赤ワインに含まれているポリフェノールが健康に効果が良いことは広く知られています。

ポリフェノールとは、苦みや色素の成分で強い抗酸化作用があります。

そして、アルコールと一緒に摂取すると吸収されやすいので、

赤ワインはポリフェノールを摂取するのに適した飲み物と言えます。

赤ワインに含まれているポリフェノールには、

「レスベラトロール」「タンニン」「アントシアニン」などがあります。

その中のひとつ、「レスベラトロール」は脳細胞に沈着しているアミロイドβを分解して脳細胞を正常に保ち、認知症を予防する効果があると考えられています。

フランスのボルドー大学の研究によると毎日グラス3~4杯(375~500ml)のワインを飲む人は、飲まない人と比べてアルツハイマー型認知症の発症率が1/3だったそうです。

出典:Rev Neurol(Paris).1997 Apr.153(3):185-92.

「レスベラトロール」は、脳機能を改善させる効果もあることがわかっています。

スペインのバルセロナ大学の研究によると、アルツハイマー型認知症マウスにレスベラトロールを長期経口投与したところ、記憶喪失を有意に防止したことを証明しました。さらに、レスベラトロールはアミロイド負荷を減少させて、マウスの脳におけるミトコンドリア複合体IVタンパク質レベルを増加させました。これにより、レスベラトロールはマウスの海馬で起こる有害なプロセスを軽減し、記憶喪失を防ぐことができることがわかりました。

出典:J Alzheimers Dis. 2014;42(4):1209-20.doi: 10.3233/JAD-140444.

フランス人が油物を好んで食べたりアルコール摂取量が多いのに、

心筋梗塞などの心疾患が少ないのを「フレンチパラドックス」といいますが、

これも「レスベラトロール」の血管を柔らかく保つ働きや、善玉コレステロールを増やして悪玉コレステロールを減らす働きの効果だといわれています。

さまざまな効果が期待できる赤ワインですが、1日摂取目安量は250mlくらいです。

ワイングラス1杯170mlくらいですので、個人差はありますが男女とも1日1.5~2杯くらいが適量です。

この適量のワインを飲むことは、血圧を下げる効果もあるそうです。

(過剰摂取は、高血圧の原因となるので注意が必要です。)

でも、中にはお酒が苦手という方、医師に飲酒を止められている方もいらっしゃるかと思いますが、大丈夫です。

実は「レスベラトロール」は、赤ブドウの果皮から抽出したブドウジュース、ブルーベリー、クランベリー、ピーナッツの皮、イタドリ、ココアなどからも摂取することができます。食べられるもの、飲めるものから摂取しましょう。

《100%生ジュース(野菜・果物)》のファイトケミカルで認知症を撃退!

シアトル在住の日系アメリカ人1836人の食生活を10年間追跡調査した結果によると、

”野菜・果物ジュースを週3回以上摂取している人は週1回未満の人と比べてアルツハイマー型認知症の発症リスクが76%も低いことが判明した。

一方、野菜・果物ジュースを週1~2回摂取している人のアルツハイマー型認知症の発症リスクは16%しか減少していなかった。”

つまり、野菜・果物ジュースの摂取は週2回では不十分であるということが調査で明らかとなったそうです。

100%生ジュースは市販のジュースではなく、

ミキサーを使って生野菜・生果物で作ったジュースです。

特に、ぶどう・りんご・レモンは皮の付いたまま丸ごと使ってください。

果物や野菜の皮には病気を予防するファイトケミカルや食物繊維が豊富に含まれているからです。

また、ジューサーだと食物繊維が取り除かれてしまうのでミキサーを使ってください。

100%生ジュースで摂取できるファイトケミカルには、抗酸化作用・免疫増強作用があります。

抗酸化作用で有名なファイトケミカルはポリフェノールです。

ポリフェノールは、強力な抗酸化作用によって血管内のコレステロールの酸化を防ぎ、

動脈硬化や心疾患などのリスクを減らします。

カテキン、アントシアニン、クルクミン、リグナンなどもポリフェノールの仲間です。

免疫増強作用の作用機序としては、

・免疫細胞の数を増加させる(バナナのオイゲノール、キャベツのイソチオシアネート)

・免疫細胞を活性化させて働きをアップさせる(ニンジンなどのβカロテン)

・免疫細胞を活性酸素の攻撃から守る(玉ねぎやニンニクのシステインスルホキシド類)

などがあります。

これによって、脳腫瘍などの脳の病気を予防します。

ファイトケミカルは皮や種の部分に多いため、

皮のついたまま丸ごと食べることがおすすめです。

そのため、できれば無農薬有機栽培や自然栽培の野菜・果物を選ぶのが望ましいです。

また、ファイトケミカルを含んでる野菜で熱に強いものは、

生よりも火を通した方がカサが減ってたっぷり食べられるので、スープにすると良いでしょう。


Let's 飲みにケーション!!

年齢関係なく、お茶やコーヒー、ジュースを飲みながらおしゃべりするのって楽しいですよね!!

大人になったら、赤ワインを片手にまったりと語り合うのもいいですね。

おしゃべりはストレス発散にもなりますし、脳も活性化するので、認知症予防にとてもいいんです。

何より日々を楽しむことが一番です。

おいしく身体に良い飲み物を飲みながら、今日も誰かと楽しく「飲みにケーション!」しましょう。

  • この記事を書いた人

山根一彦 医学博士

一般社団法人認知症協会理事。徳島大学大学院医科学教育学部卒。医学博士。 生体防御・感染症代謝を専門とし、ミトコンドリアの活性化、インフルエンザの重症化等を研究。第一三共ヘルスケア株式会社、SBIアラプロモ株式会社など、複数の大手製薬企業で商品の開発・改良に参加。知財として価値の高い複数の特許を取得。 2017年、認知症協会理事に就任。以後、認知症予防に関する講演・執筆活動を行う。2018年より一般の読者向けに無料メール(LINE)マガジンを開始し、現在の購読者は80,000人超え。著書「認知症にならない最強の食事」。

-認知症予防に良い成分

© 2020 認知症協会 All Right Reserved.